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フジファブリックのペダルと御坊さんの一言


だいだい色そしてピンク
咲いている花が
まぶしいと感じるなんてしょうがないのかい?

フジファブリックのペダルより

アルバムの始まり曲の冒頭からこう始まるこの曲を初めて聴いたとき、私はとても情けない気持ちの真っ最中だった

なんで自分は誰かの1番になれないのか
駅で前を歩く人がひどく煩わしく感じる、そんな自分が情けない
好きなことを何度練習しても好きなのに上手くいかないセンスのなさ
人に心を開けない

いろんなこと

それで、この歌詞が頭に入ってきたときに
十年も前に立ち寄ったお寺の御坊さんの言葉を思い出して
情けなさがふと軽くなった

歴史が好きでその方の墓所があるお寺にお邪魔した時のこと

住宅街にあるその小さなお寺は
同様の観光客がたくさん来ていて、
私が門をくぐるときには一組の観光者がお寺から出てきた住職から一言小言を言われて出てきたところだった

ここは観光地じゃない
仏様がやすんでいる場所です
そのような振る舞いはしないでいただきたい

そんな内容だったと思う

一気に背筋が伸びた私は、お邪魔いたしますとおじぎして
奥の墓地に向かい
5分ほどお参りをして
またお寺の正面に戻ってきた

すると先程の住職さんが、外で花の世話をしていた

私はお礼を言って
怖いのですぐ立ち去ろうとしたけど
その花がお寺の横でとてもいきいきと彩り豊かにたくさん植えられていたものだから
きれいですね
とつぶやいた

すると住職さんが
花をきれいと思うあなたの心がきれいなんですよ
と言った

先ほどの強面シーンを見てしまったあとだったのでそのギャップにも面食らったが
それにもまして
ただ瞬間に

ああ、そうなんだ
そんなふうにとらえてもいいのか
そんなことで自分を許してもいいんだ

恥ずかしいのと
思ったことのない発想に驚きつつ
入り混じった
あたたかさを心にじんわりと感じた


ピンク、黄色、青紫
色んな花の色をきれいと思う気持ち

日常が穏やかだと受け取れているとき
そんな気持ちになる


情けない気持ちだったさっきまで
そんな言葉を忘れていた

日常を愛せる感情が
私にも残ってる
いま情けないけど でも
そんなときもあるんじゃないか

ギターからはじまり
どんどん増えていく
楽器の音と
リズムに合わせて
この歌はどんどんと
日常の素晴らしさを
あらわす

とてもとても素晴らしい曲

この曲に出会えてよかった


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