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海外と日本の看護の違い~オーストラリアの介護施設編~

「所変われば品変わる」

その土地によって習慣や言葉は違って、物の呼び方まで変わることを表したことわざなんですけど、オーストラリアで看護師をしていて強く実感しています。

どういうことかと言うと、日本とオーストラリアでは看護がけっこう違うんです。

ボクはオーストラリアに留学して今は介護施設で働く看護師です。

2つの国でどのように違うかを「これからオーストラリアの医療現場で働いてみたい人」に向けて説明したいと思います。

どちらが良い悪いではなく、日本とオーストラリアの治療や看護技術に違いがあることを知ってもらいたいんです。そこからボクが感じたことを一緒にお伝えしていきます。

日本・オーストラリア、介護施設での治療の違い

まずは治療の違いですが、ざっくりと簡単にまとめるとこのようになっています。

日本の介護施設で働いたことがある人にとってはよく見る光景だと思いますが、オーストラリアではこういう治療ってホントにレアです。ボクも病院の実習のときに見たぐらい。

留学する前に少し日本の介護施設でも働いてたからわかるけど、気切、胃ろう、経腸栄養は多いですよね。

この治療の違いからある方針が見えてきました。

オーストラリアでは積極的な延命治療をしない

上の治療の違いから分かることはオーストラリアと日本の違いは治療の方針です。

日本では嚥下機能が落ちた人には、

  • PEGを作って

  • 経腸栄養で栄養補給

  • 気切もする

わりとこれらの治療が広まっているように感じます。
「口から食べられなくなったら経腸」

しかしオーストラリアではあまり一般的ではないので、
「食べられなくなったら、緩和ケアの開始」

食べる機能の有無がその患者さんの最期を決めるスタート地点になっています。

延命治療の違いについてもう1つの決定的な違いは、オーストラリアでは尊厳死が合法だということ。最期のタイミングを自分で選ぶことが可能。

ウチの施設でもその選択をした利用者さんがいましたが、現状としてはそれほど広まってはいません。

尊厳死に対してボク自身は賛成。日本では法の整備がないことから考えたこともありませんでしたが、オーストラリアでは何度か遭遇したのでこのような意見になりました。

これは尊厳死を、というよりもう少し大きな視点で、日本の看護との違いをダイレクトに感じたからです。

患者の意思を尊重する

日本とオーストラリアの大きな違いは患者の権利・意思をどれだけ尊重するかということです。

外国では「権利」に関して強い意識があるイメージがある人も多いかもしれませんが、まさにその通り。

例えば患者が薬を拒否することはよくありますよね。

日本では拒否する患者の意見を医療者側の意見に沿わせようとする風潮があります。たとえリスクを理解していても。

病棟で先輩看護師に
「なんで飲ませなかったの?」
「拒否したからです」
「なんでちゃんと説得しないの?」

このようなやり取りは現場で一般的ですが「結局、誰のために何を勧めているのか分からなくなることがありました。

そういう点において日本は押しつけがましく、患者の意思を尊重することが徹底できているようには思えません。

オーストラリアに来てから看護観の変化

「看護観」って日本ではよく使いますよね。

意識高い感じが苦手で、あまり考えたことがなかったのですが、それでも「こういう風に仕事をしたいな」と考えることはあります。

それはフレキシブルにいこうということ。

日本ではICUで治療優先の忙しい環境で命優先。

オーストラリアでは患者さんの意思を尊重して、やりたいようにやってもらう。もちろん何でも受け入れるわけではないけど。

このフレキシブルさはオーストラリアで働くのに大切だと感じています。

どちらかというと自分がこうしたい。と積極的に構えるというより、オーストラリアで働き始めての変化ですが価値観が変わった自分を楽しんでいます。

これからオーストラリアに来る人も日本との違いを見て、自分にどんな変化が起こるのかを観察してみると新たな発見があるかもしれませんよ。

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