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「看護実習がつらい→泣く→やめたい」こんなの教育じゃない

ツイッターにはいつも興味深いツイートがあります。特に看護系アカウントは普段のストレスが溜まってて混沌としています。

こんなツイートを見つけたので、ボクの意見を書いてみます。

ボクもオーストラリアで看護師を目指している人に向けてツイートをしていますので気が向いたらフォローしてください(@AusnurseDash

このツイートに興味を持った理由は「日本の看護教育がかわればいい」という想いがいいねと思ったからです。

日本の看護教育って固いよね

看護学生教育は日本の古き良き看護教育を凝縮しています。どういうことかというと、

  • 座学重視

  • 理想重視

  • 実践経験ほぼなし

いかにも日本の学校が好きな「詰込み型」の教育システムです。

知識を持つことは悪くありません。が、そのバランスですよ。ボクが言いたいのは。

  • 学校では基礎を勉強

  • 実習でもケーススタディ

  • 国家試験のために知識を詰め込む

で、見事に看護師になったあとに待っているのは「臨床では働けない新人」という残念なスタートです。

そしてシコタマ怒られる。

今日も明日もあさっても。

気を病むまで。気を病んでも責められる。

実践経験がほとんどないから何もできないんですね。この一言につきます。

当たり前ですけど、これは新人ナースの問題ではなく育てる方の問題。つまり看護教育ですね。

例えば車の免許を取りに行って、筆記試験をパスしただけで免許証を貰っていきなり公道に出るようなもの。

高速を時速160km/hで走っている大型トラックと一緒に走るようなもの。見たことないけど。

「誰が爆走トラックや?」とツッコんでくる先輩の顔がまぶたの裏にまで浮かんできます。

え?そんなことまでするの!オーストラリアの看護教育

一方オーストラリアの看護教育はというと、だいぶ日本とは違います。

どのように違うかというと、実践(技術習得)にかける時間がとても長い。

看護学生といえど看護師とほとんど同じことをします。例えば、

  • 注射を混ぜて打つ

  • 患者に創傷管理を指導する

  • 医者に異常を報告して指示を仰ぐ

これを見たときには驚愕しました「え?マジかよ。医者と話すなんて3か月たってもできなかったぜ。」

かたや日本の看護学生が病棟の隅でビクビクしながら学生同士で集まっている間に、オーストラリアではすでにプロの横で実戦しているわけです。

このように紹介すると「学生には危険だ」という意見が出てくるでしょう。

もちろんすべての担当の看護師が一緒に行うのというのが前提です。

そうすると今度は「現場は忙しいのに学生まで面倒を見ていられない」というお叱りを頂くと思います。

しかし指導をするのは同じです。学生の間にやるか、「プロ…?」になってから教えてもらうか。

「プロだからできて当たり前」と変なプレッシャーを与える前に、学生という「誰から見ても学んでいる時期」に実戦をしてもらった方がいいと思っています。

ドラマ・映画の見すぎじゃない?

オーストラリアには、日本の看護実習でよく目にする患者のベッドサイドに座っておしゃべりをする時間はありません。

・椅子に座って話し
・パンフレット作ったり
・折り紙をおってたり

傍から見たら遊んでるように見えるかも。それぞれ意味があってやっているので否定しません。

しかし仕事となればこれは求められてはいない。というよりやってる時間はありません。

ではなぜ実践しないことを学生の間にするのか?

それができる唯一の時間といえば聞こえはいいですが、理想を追い求めすぎてると思う。

「どれだけ患者様に尽くせるか?」が、いい看護学生かどうかを決めているわけです。

ボクの看護師としての時間に鶴を折りながら患者さんとほほ笑む時間はいまだに訪れていません。そしてそれは今後もそうでしょう。

それが日本らしいと言えば日本らしいのですが。

つまりは映画やドラマに出てくるような「いい看護師」を作りたいわけですね。いや逆か?

現場とドラマの中の理想はかけ離れすぎてていつも面食らいます。

看護教育ってどうにかなりません?

教育改革と言うと仰々しく聞こえますが、変化が必要な理由はストレスが大きすぎて辞めてしまう新人が多いから。

  • 朝から3人食事介助しながら与薬

  • 更衣介助にシャワー、リハビリに連れて行ったらすでに昼過ぎ

  • トイレに行く時間もなく1日中走り回って、サービス残業

  • 休憩にさえも周りの目があって行けない

学校で育てられた「いい看護師の卵」たちは、こんな嵐のような現実に直面したらメンタルやられるでしょう。

だって経験してないもん。そりゃあ戦意喪失ですよ。

新人看護師たちだけがツラいわけではなく、彼ら彼女らを迎える方も同じです。学校でもできる技術指導を1から行う、過酷な業務に加えて新人教育は大変です。

だから日本の看護師は新人も、受け入れる側もいっぱいいっぱいです。

そんな環境で働いてる日本の看護師さんたちは凄すぎる。尊敬ですよ。ピュアな尊敬の念しか出てきません。

日本VSオーストラリア、どちらの看護教育がいいのか?

ここまでバッチリ日本の看護教育をディスってきました。

だから「オーストラリア最高!みんなオーストラリアで働けよヤホーイ!」と言ってるわけではありません。

日本がダメだからオーストラリア流にすればいい。というのは極端すぎる。

むしろ両者ともにメリット・デメリットがあるから。

日本は実践不足、オーストラリアは知識不足というのが新人看護師の課題でしょう。自分のことは棚に上げてます。

だから日本の看護教育はもっと実践する時間を増やすべきなのは明らかです。いいじゃない、ちょっとぐらい勉強する時間が減っても。

全く注射をしたことないのに「今からやれ」と現場に放りだされる新人の身にもなってあげてよ。

日本の看護教育の現場が学生を「学生」として扱ってる以上、何も変わらないでしょう。

今の若者はSNSで看護師の職場がダークなのは調査済み。

さらにコロナで大変なのは目に見えてるのに、それでもこの業界に入ってくる彼ら彼女らには本当に感心します。

みんな意識高いわ。自分はそんなキラキラしてませんでしたよ。

そんな新人たちが少しでも現場の強風に煽られて飛ばされないようにと思って意見を書きました。

看護協会、厚生労働省のエライ人達よ、頼むで、ホンマ。

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