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神奈川往還を走る 八王子~横浜

 神奈川往還は、幕末から明治にかけて、日本からの主要な輸出品であった生糸を、八王子から横浜への運搬するために用いられました。そのため、「絹の道」とも呼ばれています。
 明治41年に横浜鉄道(JR横浜線)が開通すると、「絹の道」としての役割は終わりましたが、現代でも一部は16号線に姿を変え、関東近郊の主要都市を結ぶ幹線道路の役割を担っています。

 明治初期に作られた関東迅速測図は、この道が生糸の運搬に盛んに使われた時代に作られたものであり、主要街道のひとつとして地図上に強調されて描かれています。今回のルートも、この迅速測図を参照しながら作成しました。
 区画整理された現代の道の間に、迅速測図に描かれた古道が残っている個所を見つけると、行ってみたいという気持ちを抑えられなくなります。

 この道は、八王子では神奈川往還や浜街道、途中は町田街道、横浜では八王子道(街道)とも呼ばれていました。土地土地で行先を道の名前としていたようです。
 今回は八王子からスタートするので、神奈川往還としました。




八王子~小山 10㎞

 八王子から南下し、途中16号線より内側を通り、鑓水峠を越えて町田市に至る。

八王子~小山


 横浜線で八王子に着いたのが、9時ごろ。20号線と16号線が交差する八日町をスタート地点とする。八がつく日に市が立ち、絹織物が売買されていたとのことなので、絹の道の出発点にふさわしい。

八王子・八日町南交差点


 湯殿川を越えて、16号と別れる。

片倉・湯殿川


 片倉駅を過ぎて、旧道の坂に入る。いい感じの坂に会えた。

片倉・坂


 16号線八王子バイパスのわき道から、歴史の道百選「絹の道」に入る階段を上る。ちょうど陽が入り始めた。

絹の道階段


 未舗装の古道の形を残す。散策ルートとして気持ち良さそう。

絹の道


 絹の道資料館に立ち寄る。絹取引で財を成した鑓水商人の館の跡地だそうだ。

絹の道資料館


 鑓水団地の中の遊歩道を通る。この辺りも散歩には良さそうだ。

鑓水


 町田市に入る。ここから町田が長かった。

町田市境


 現代の幹線道路としての町田街道に入る。しばらくは本街道沿いを進む。

小山・町田街道


 唯一の峠超え区間は、山道として古道が残っていた。古道の散策が目的だったらこの区間だけでもいいかも。多摩境駅から帰宅できる。


小山~町田市街 9.9㎞

 町田市中心部まで町田街道沿いを進むが、旧道区間が多く、意外と現在の町田街道は通らない。

小山~町田市街


 早速、旧道区間に入る。道の両側に古道を思わせる石碑が並んでいる

小山町・旧道


 旧道の並木かも。その先は町田街道に合流する。

小山町・並木?


 町田街道沿いにも古道の雰囲気が多少残っている。

常磐町・町田街道


 府中通り大山街道と合流する。

木曽町・旧大山街道


 次は鎌倉街道(上道)と交差する。

森野交差点


町田市街~上川井 10㎞

 町田市中心部を過ぎ、町田を抜けて横浜に入ったところで16号と再び合流する。

町田市街~上川井


 町田の中心部に近づくと、人通りも多くなる。

町田・小田急線踏切


町田駅裏通りを進む。人込みをかき分けながら歩く。

町田駅裏


 246号と16号、そして東名高速が近接する。一般道側からは、幹線道路は障害物にすぎない。

南町田付近


 16号線バイパスの高架の下に、古道の趣が残っている。

横浜町田JC付近

 

現在の幹線道路を渡るためには、遠回りを強いられる。

川井浄水場入口交差点


 横浜町田ICが近いこともあり、古道の脇にラブホが立ち並ぶ。

上川井・ラブホ通り


 ラブホ通りから5分も離れず、古道の雰囲気が残る旧道区間に入る。印象が急に変わるのが面白い。

上川井・旧道


 ようやく行程の半分をすぎたところだが、かなり疲れて、足も攣りそうになり、歩くことが多くなった。この日はここで終わりにしてもよかったが、足は止まらなかった。


上川井~上星川 10㎞

 16号線沿いのルートを進むが、16号線に並行して旧道が残っている。理由を考えてみたが、車も通れる広い道を造るためには、旧道を拡張するより、近接する田畑に新たに道を造るほうが早いし、安上がりだったのでは。

上川井~保土ヶ谷


 この辺りも古道の雰囲気が残っていて気持ち良い。

上川井・神明神社脇


 旧道区間が多い。

下川井付近


 名前の通り宿場があったのだろう。

今宿付近


 旧道には一部階段区間もある。今回はここだけだった。

鶴ヶ峰本町・階段


 相鉄線西谷駅は特急も止まる駅だが、駅の周辺は賑わっておらず、旧道がメイン通りだった。

西谷駅付近


 背の高い人には厳しいガード下をくぐる。

西谷・相鉄線ガード下


 横浜側での名称「八王子道」の石碑があった。

東川島町・旧八王子道道標


 ちょっと走ると足を攣りそうになるので、ほぼ歩き続けた。


上星川~関内 8.7㎞

 横浜の中心部に入り、外国人居留地があった関内までのルート。

上星川~関内


 現在の16号を横切ることはあるが、旧道を進むことが多い。

星川付近


 旧東海道との分岐点の追分に到着。東海道を走ったとき、この標識を見て本古道を知った。

浅間町・八王子道追分


 関内までの道として、一直線に進む道と、野毛を回る道を開いたとある。今回は疲れていたのもあり、一直線に進んだ。

浅間下付近・よこはま道案内看板


 平沼橋の登りを進む。あとわずかだと思うと急に元気が出て、再び走り始めた。

平沼橋


 平沼橋商店街を走り抜ける。

平沼橋商店街


桜橋を渡る。足攣りもなぜかおさまった。

桜川橋


 関門があった𠮷田橋に4時半ごろ到着し、神奈川往還を完走した。

𠮷田橋


 中間地点の町田あたりから、ほぼ歩いていましたが、50㎞近く走った(歩いた)のは今回が初めてでした。
 八王子から横浜までは遠い印象ですが、達成感も薄く、時間をかければ走れるんだ、ぐらいの感想でした。

 見どころとしては、八王子近郊の「絹の道」が、自然探索としても楽しめる古道区間でした。
 あと、幹線道路の裏道として残る各所の旧道区間は、車も人も少なく、普段の散歩ルートとしても良いのではないでしょうか。

 次は、江戸時代のメジャーな街道だった大山道を歩いた記録を紹介する予定です。


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