エイトル・ヴィラ=ロボス(1887/3/5 - 1959/11/17)とダリウス・ミヨー(1892/9/4 - 1974/6/22)とミェチスワフ・ヴァインベルク(1919/12/8 - 1996/2/26)の弦楽四重奏曲 第十七番
H. V.-L.の弦楽四重奏曲第十七番(1957)
ミンジーニャに献呈
1. アレグロ・ノン・トロッポ
2. レント
3. アレグロ・ヴィヴァーチェ
4. アレグロ・ヴィヴァーチェ コン・フオーコ
結果的に最後の弦楽四重奏曲とはなりましたが、遺稿には第十八番のスケッチが残されていたそうでご本人にはこれで最後との意識はなかろうと。実際特別感もなくいつも通りのH. V.-L.すかね。第1楽章三部形式、三連符が支配的な主部と歌の中間部。レントは感傷的に歌、中間部はよりラテンぽく生き生きと。スケルツォはいつもながら名人芸が要求される。フィナーレ、中間部の愛らしいメロディを挟む活発な主部。いつもより聞かせる歌多めで何かちょと意識あったんかなあ。
D. M. の弦楽四重奏曲第十七番(1950)
(息子)ダニエルの誕生日に献呈
1. 荒々しく
2. 優しく
3. 軽快に、かつ険しく
4. 力強く
けっこうぎしぎしする多調が復活し構成も複雑化。第1楽章は3かける3の9つの楽想が提示され、展開部は第一主題群のカノン、再現部は9つの楽想が逆順で再現される手の混みよう。第2楽章は短い序奏の後豊かな伴奏で1stのメロディ、薄めの中間部の後再現部。第3楽章はスケルツォ風ながら実は前奏曲とフーガの形式。前奏曲はフーガで使用される対主題4つを同時に演奏して提示。フーガに移ってゆるやかリズムのフーガ主題が四人の各楽器で受け渡す度に対主題4つが。冒頭再現後フーガ主題ももう一度。手が混んどる。フィナーレには第1楽章 の活気が戻り4つの主題で自由な形式、静かな終結。
M. W. の弦楽四重奏曲第十七番作品146(1986)
1. アレグロ - アダージョ -
2. アンダンティーノ - アダージョ -
3. レント -
4. アレグロ
ボロディン弦楽四重奏団40周年の祝いに献呈
第十六番から五年間、その間も旺盛な創作力。弦楽四重奏曲に注目すれば第一、第二番を改訂し新たな作品番号が付けられたり、第八番と関わりの深い最後のオペラ「白痴」を完成した。
最後の弦楽四重奏曲となった第十七番。切れ目のない4楽章なのか、単一楽章なのか盤によって表記が異なるんですが、内容構成としてはシンプルで古典的にみえる。冒頭明るいけど少々ショスタコーヴィチ流のイロニーも感じる主題で始まる。第2の主題はチェロ、無伴奏チェロソナタ第四番と関連があるらしい。中間部の長い緩徐部はソロやデュエットが多く謎めいた雰囲気。おずおずとスケルツォっぽく活気を取り戻しやがて冒頭主題が回帰して結構なお祝いムードでニ(D)音のユニゾンで終結。