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エリアフ・インバルのマーラー交響曲第七番

…but me, I’m not an impressionist (AI) at all, absolutely not!…I hope so…

 存在が確認できた音源は
① フランクフルト放送交響楽団 1986年5月14日~17日 フランクフルト、アルテ・オーパー

② ウィーン放送交響楽団 1987年6月3日 ウィーンコンツェルトハウス NHK FM放送

③ ベルリン放送交響楽団 1989/6/11 サントリーホール NHK収録

④ チェコ・フィルハーモニー管弦楽団年 2011年2月24、25日 プラハ、ルドルフィヌム、ドヴォルザーク・ホール

⑤ 東京都交響楽団 2013年11月8日 横浜・みなとみらいホール、11月9日東京劇術劇場

 ①より以前のライヴがNHK FMで放送されていたのかもしれませんが私は知らずに過ごしておりました。
 ①は言わずと知れた名録音、皆が最も耳にしたかと思います。マーラーでも最も謎めいて理解し難い曲を、普通はいかに分かりやすくするかに腐心しそうなものを、そのまんまというよりその支離滅裂な部分もより強調したぐらいなのに全てが極度にクリアに演奏し切っていた。当時皆唖然としましたよ。
 ②は①を更に過激にしたようなライヴで忘れられない。実は私このエアチェックばかり聴いていた(①よりも)。日時はORFのサイトで確認できました。ライヴの高揚感。終楽章第86-7小節目にいいチェックポイントが。

ファンファーレが呼び出して冒頭主題の変形が弦楽とティンパニで再現する直前はpesanteからフェルマータにkurz(短く)とあり。ここを①ではそれまで聴いた事がないほど短く扱って皆に衝撃を与えていた。②はもっともっと、いぢでもここは間を開けないぞという感じ。それによってコラージュ性が強調されている。
 ③ではそれらの過激さが目で確認できる貴重な記録でした。インバルの指揮ぶりがもう腕が何本あっても足りないようなキューの出し方で、阿修羅の様って金子健志さんに言われてました。
 ④が明らかな変化あり。テンポは落ち着いた感じでチェコフィル伝統の音色を活かすイメージかと。チェックポイントではしっかりとブレスをとっているのが象徴的。
 ⑤では再び早めのテンポで筋肉質の響き、メリハリと力感が強靭ですが、流れはスムーズで先へ先へ進む感じ。チェックポイントではしっかりブレスをとっている。
 敬愛する諸井誠さんがフルトヴェングラーのベートーヴェン「交響曲第五番」の演奏比較をした論考と同様、インバルさんはその度の演奏で前の解釈を常に刷新して新たな挑戦をしているのが感じられました。③と④の間の演奏記録や、都響との複数回のチクルスが比較できるともっと面白いかもとは思いますがそこまで暇ぢゃないんでここまで。
 最後におまけ。

やっぱすげえ。

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