気になっていること(1)

 ずっと気になってはいた。だけど無意識にか、あるいは意識的にかそれを考えることを避けてきた。避けるというよりも、あたかもそれを考えるという行動に思いつかないようなふりをしていたというべきか。

 それに、それはあまりに唐突で不可解な事件で、考え始めたとしてもすぐに息詰まるのは目に見えている。取るに足らない、自分には関係ないことだ。

 最近、その事件に関してすこし真剣に考えてみようかという気持ちが芽生えている。でもまだためらっている。それが何かを書かないのはそのためだ。



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