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検討の反省(2022年4月9日)

 昨日の「かけつぎ」の検討の反省。インストラクターと高段者の対戦から。高段レベルになってくると、なかなか難しい。

【総譜】1~143 打掛け

 右下は白の動きが重く、黒がペースをつかんだ。

【図1】常套のサバキ

 実戦の白10(2間開き)では、よくあつ白5までの処理がよかっただろう。もっともkatagoは白5を手抜きするように言ってくる。その辺りの感覚はよくわからない。

 実戦の黒35~43は明らかな誤算があったようで、白が優勢に。黒35でのkatagoの推奨図が以下の通り。

(図1)一子は捨てて処理
黒勝率88% 5.3目差

 これで黒が5目程度のリードだという。しかし黒1は筋が悪い感じがあるし、一子を抱えられると白が手厚くなる。白も数値ほど悪い気はしない印象があるし、黒としてはやや気が進まない感じ。

(図2)ハネずに処理
黒勝率91% 9.8目差

 要するにハネが少し打ち過ぎで、単に3子を制しに行くのがより良い図のようだ。これなら黒は10目近いリード。

 

【実戦】白44の場面
黒勝率23.8% -5目差

 ここから双方ともに白3子(○印)の動向により注意を払った方が良かったようだ。右辺の白が厚くなっただけに、この3子の要石としての価値が高くなっている。

(図3)3子を積極利用
黒勝率19% -5目差

 例えば黒のカカリに白1、3のような活用をするなど。黒もカカリまで足を延ばさずにしっかり3子を取りきる方が評価が高い。

  左下でアルファ碁定石が出現したが、そこでも右下隅との関連した変化が出てくる。

(図4)隅を捨てて変化
黒勝率21.6% -4.7目差

 黒1とこのタイミング(実戦黒59)でキリを入れるのが定石化されている(実際にkatagoも推奨)が、この碁の場合は白2と変化するものらしい。白6に回って右辺の白(○)の強さを活かしていく。この図は今回の検討の中でももっとも感心した図の一つ。

 もっとも黒1が推奨手なので、この変化の中で黒が損をしているということもないようで、白が活用すべき黒の隙を突き損ねて損をしている感じ。

【実戦】黒63、白64の場面
黒勝率47% -1目差

 白64は「大きなヨセ」ととらえて手抜きすることが多い。実際に白64の場面のkatagoの推奨手はEの三三入り。

 また白A~黒Dの交換を打っておくのもあり、黒Bのかなり損な犠打を強要する意味。

  ただこの碁では右方の白3子の問題があるので、通常よりも下辺の味の問題が深刻だったようだ。白64に手抜きするのは普通に見えるが、後手でも黒Aともう一手かけるのが有力だった。

(図5)下辺への仕掛け
黒勝率45% -1.3目差

 黒が滑って(△印、実戦黒69)、左上のかたが付いた場面。ここで白1などとしかけるのが有力な手らしいのだ。変化はいろいろあるが面白いものを一つ紹介する。

(図6)華麗な脱出
黒勝率36.2% -2.1目差

 黒2と上を押した場合。

 そこで白3から仕掛けていく。黒4から利きを作って封じにかかるが、それに構わず白11までデギる。そして白13のコスミツケ。この手がやたらぴったりと決まっていて、白17まで華麗に3子を助け出している。(形勢は思ったほど差が無いようだが)この図も今回感心した図の一つ。

(図7)振り替わり
黒勝率47.3% -0.8目差

 黒もこの図のように左下を捨てて下辺を確保するのが良いようで、この図はかなり微細なようだ。こう対応されると白の仕掛けは失敗気味。

【実戦】黒75~白84
黒勝率78.8% 3目差

 この黒の打ち方は違和感があってあまり賛成できなかった。AやBの断点が不気味で打ち切れる気がしない。

 ただkatagoのよるとむしろ白の評価が下がっており、大きな問題はないようだ。ここは個人的には意外だった。白があまり価値のない上辺に力を入れ過ぎていることと、この線を切っておくことの効果もあるということか。

【実戦】黒101
黒勝率57.6% 0.1目差

 対局者から質問されれた場面で、無難にAだったかと。当初は定石通りAという気がしていたが、検討するうちに黒101と圧力をかけておくことで黒の味悪もカバーされるので、効果的に見えてきた。意見がかなり変わって、かなり判断に迷った場面だ。

(図8)katagoの推奨手
黒勝率68.7% 1.6目差

 ちなみにkatagoの推奨は黒1のツギ。下辺の味悪を解消するのが急務というのはずっと示してくる。

(図9)白の対応策
黒勝率62.2% 0.7目差

 黒101に対するkatagoの回答は白1と右辺に回るというもの。黒6からの攻めには白11までと生きておく。生きる前に白9を利かしに行くのがタイミングだとは理解できるが、白9黒10が得になっているのかどうかは微妙でよくわからない。

(図10)読み筋
黒勝率25.2% -4.4目差

 実戦黒101に対して、白1のキリと白5のツケコシを絡めてさばけないかというのが個人的な意見。ただ複雑な戦いで、自信が持てない部分もある。

 もしこの通りに進行したのであれば、白が打てそうな評価値だ。しかし・・・

(図11)katagoの対応
黒勝率68.6% 1.4目差

 katagoに対応は、まず隅は黒4の飛び(この方が地が得)で受け、ツケコシ(黒5)にはもう手抜きして、黒6を利かして黒8に回るという。これでわずかに黒よしだという。肩透かしを食らった感じだ。部分にこだわりすぎる悪い癖が出たようだ。

※黒6は白A、黒B、白Cのヨセを封じる意味だろう。

 あまり良い意見がいなかった感じはあるが、それだけにとても勉強になった。

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