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【質問回答集】子供の内斜視について



こんにちは!視能訓練士のヤスです。
視能訓練士免許(国家資格)を取得し、小児眼科に勤務して17年になります。

InInstagramで『子どもの目の健康』の情報発信を行っています。

そんな中、DMやストーリーズの質問募集にて、子どもの目で悩んでおられる親御様からたくさんの質問が日々届いています。

この記事では、親御様からいただいた多くのご質問の中から、主に『内斜視』に関する質問とそれに対する回答を紹介します。【医師監修あり】

※視能訓練士は診断はできませんので、一般的な眼科疾患知識の説明と現在の治療方針の解説になります。

内斜視の種類の中でも先天性内斜視、調節性内斜視がよくあるタイプで、斜視による弱視(斜視弱視)も主に内斜視が原因で起こります。

お子様の未来のために、全国で治療を頑張っておられるパパママのお役に立てれば幸いです。

目次で質問内容を確認の上、ご購読下さい。


内斜視 ・ 斜視弱視に関する質問

(Vol.1) 発見が遅れた先天性内斜視の両眼視機能は鍛えることはできないの?(1歳3ヶ月)

【質問】
我が子の両眼視機能を少しでも鍛えたくて、メッセージさせていただきました。
娘が現在1歳3ヶ月(先天性内斜視、発見が遅れ手術はしていません)で、眼鏡を着用中です。(遠視もあるため弱視を予防するためにもかけています。)

ブログを拝見したのですが、弱視訓練と同じように絵本を一緒に読んで見せてあげたりすると良いのでしょうか?

また、眼鏡も嫌がり外してしまうことが多いのですが、起きている間ずっとかけていないと効果は薄いのでしょうか..?

【回答】
質問にある両眼視機能の発達に関してですが、先天性内斜視と診断を受けている場合、正直かなり難しいのが現状です。

まず前提として、両眼視機能を鍛えようとする場合は、必ず斜視がない(もしくは軽微な)状態で行う必要があります。
手術やプリズムメガネがその方法です。

ただ、これらの両眼視向上対策は、かなり早期に行わないとほとんど意味がないと言われています。

先天性内斜視の両眼視機能についての一般的な考え方について説明しますね。



両眼視機能というのは斜視がない(もしくは軽微な)状態で初めて育つ機能で、生後3ヵ月頃〜6ヵ月頃までに両眼視機能の基礎部分(大まかな立体視)ができ、その基礎を土台としてさらに高度な両眼視機能(細かな立体視)が4〜5歳頃まで徐々に育っていきます。

例えとして、家を建てる時の基礎とその上に建てる本体を想像していただくとわかりやすいかと思われます。

家(細かな立体視)を建てるには、必ず基礎部分が必要不可欠です。

この基礎部分は生後6ヵ月頃までの脳細胞がものすごいスピードで分裂しているこの時期でないと育てることが難しいと言われています。

生後まもなくから斜視の状況下が続いている場合は、両眼視機能発達の土台となる基礎部分が脳の中にほとんど存在していないことが多いので、それ以上の両眼視機能も育たないというわけです。

一般的には超早期手術(生後6〜8ヵ月以内)でないと両眼視機能(立体視)の獲得は困難だと考えられています。

ただ両眼視機能が悪いというのは、あくまで3D感覚を感じにくいだけであって、距離感がわからないというわけではありません。
3D感覚が苦手でも、別の脳領域を使った物の大きさなどによる経験的な知覚により、日常生活を不自由なく過ごすことが可能だと言われています。

実際、自分の友人にも先天性内斜視で両眼視機能がない視能訓練士がいますが、「特に普段何も困ってないよー」って笑いながらいつも話しています。

でも視力はそういうわけにはいかないので、しっかり育つように管理していく必要はありますね。

ある程度の遠視があるなら、やはりメガネは常用が好ましいです。
内斜視も多少軽減する可能性もあります。

時々はずすことがどれほど影響するかは、弱視リスクがどのくらいあるか人それぞれ違うので予測は難しいですが、良いも悪いも幼い時期ほどメガネ装用可否の影響は受けやすいと思います。

1歳3ヶ月であれば、まだ塗り絵、探し絵、迷路、トレーシング等は難しいと思うので、興味のある絵本を見るのも良いし、絵本に限らず目で見て手先を使って行うようなお子様が好きな遊びであれば何でも有効だと思いますよ。

あとは輪通し法と言って、穴に糸や紐を通す遊びです。
代表的な物はビーズ遊びですね。
小さなお子様はビーズは誤飲リスクもあるので、もう少し大きい物が好ましいです。
リング状の物とそれを通すものがあれば何でも代用は可能です。
色んな知育玩具も発売されてるので、下記も参考にしてください!

まだ輪通しが難しいお子様だと、ルーピングというおもちゃも乳幼児にはおすすめです!

ブロック遊びなんかも立体感覚を刺激しますね!

(Vol.2) 先天性内斜視と診断を受けましたが、手術は1歳頃になると言われました。この診断をどう思われますか?(生後3ヶ月)

【質問】
生後3ヶ月の娘が先天性内斜視と診断され、先生の投稿に辿り着きました。
娘は生後1ヶ月の頃から、よく目が寄っていると夫婦で感じていました。

2ヶ月の予防接種で近所のかかりつけ医に指摘され、紹介状を書いていただき、本日大学病院の診察を終えたところです。

大学病院では、
・6ヶ月まで様子を見るしかない
・手術は早くとも1歳頃(ただし、6ヶ月時点で常に内斜視の場合は、手術時期を少し早めることも検討)

と言われました。

しかし、ヤス先生の両眼視機能の投稿では、

両眼視の感受性のピークは生後3.5ヶ月頃であり、両眼視の基礎部分の発達は生後6ヶ月頃まで。
両眼視(立体視)の予後を良くするためには生後まもなくの治療が必要であると書かれていると思います。

Instagram投稿↓
両眼視機能についてまとめました

そこで、ヤス先生にご相談したく、DMをさせていただきました。

①大学病院の診察結果についてどのように思われますか?

②内斜視の超早期手術を行っている病院を教えていただけないでしょうか?

③家で少しでも予後が良くなるようなアプローチの方法はありますでしょうか?ある場合は教えていただけたら幸いです。

お忙しいなか、長々とすみません。
どうかよろしくお願いいたします。


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