見出し画像

『オタク気質』なのに『オタク』にはなりきれない人間についてのお話。


オタク気質

一つのことに夢中になると、ひたすらそれにのめり込み、時間、金などのあらゆるリソースを遠慮なく注ぎ込む。

そのため、常人には考えられないほどの深く細かい知識を溜め込む。

その燃料は『好き』という気持ちであり、それに対する自らの興味・好奇心のみで突き動く。動き続ける。誰が止めようとしても。その興味がなくなるまでは。


このような「オタク気質」を発揮し、ある分野のみを深く探究し続けてめちゃくちゃ詳しくなった者を『○○オタク』と呼ぶ。

アニメ。ゲーム。アイドル。これらはオタクと聞いて第一に出てくるイメージだろう。鉄オタとかも。

まだオタクという存在に良いイメージがなかった時代の話だ。


しかし、最近は実に様々なオタクが確立してきた。

歴史。PC。数学。などなど、挙げればキリがない。

特別オタクと呼ばなくても、エンジニアとか理工学系とかにはオタク気質の人が多いようなイメージだ。


いずれも「一つのことをエグいほど深めた」という点で、とても強い武器になる。何か一つ武器がある、ということが重要なのは大学生活でとても身に染みたものだ。


だが、オタク気質の人間が必ずしもオタクではない、と思っている。というか私がそれに当てはまると感じている。

オタク気質ではある。だから一つのことに集中すると、他のことに目もくれずひたすらのめり込む。時間という概念がなくなる。食事が面倒になる。

しかしそれが一ヶ月と続かない。サッと覚めて興味をなくしてしまうのだ。だからオタクといえるまで深めずに終わってしまう。

「オタク気質」×「飽き性」

という表現で合っているのかはわからないが……


こういう性質だと「チュートリアルを爆速でこなすルーキー」になる。これだと聞こえがいいが、それ止まりなのだ。

チュートリアル、つまり初心者が学ぶ基礎中の基礎の試しにやってみようパートを「オタク気質」でのめり込んでエグい速度で終わらせたところで「飽き性」の登場。それを繰り返す。

その結果、側から見ればすごく有能に見える。才能があるように見える。「がいいんじゃない?」と思わせる。期待の新人ルーキーに見える。

しかもそれを「飽き性」によって、いろんなジャンルに乗り換えて新人ルーキーをやるもんだから、「何でもできる奴」「器用」みたいな評価を受けることが多い。


しかしそれは、そのオタク状態を続ければの話だ。ふと振り返ってみると、自分は何も深めてない。何にも詳しくない。チュートリアルをした記憶がわずかに残ってるだけだ。

「結局、自分って何の人なんだろう?」

そういう状態になる。


そしてチュートリアルだけは、ある程度こなせちゃうもんだから、得意なこととか伸ばしたいこととかが選べない「多才」の超劣化版だ。「できることが多くて色々する」のではなく、「できそうなことが多いだけ」で実際できないのが私の特徴だ。

だから、よくチュートリアルで身につけた拙いスキルを、面白おかしいネタとして仕立てることによって誤魔化す。そうしないと技術不足が露呈するからだ。正当な土俵で戦うことを避けて、遊びで満足する。そういうことを繰り返してきた。



そんな私でも、一度だけオタクになりきれた時期がある。高校3年間だ。高校は家から遠かったため、部活には入らずに家でYouTubeやSNSを弄り倒していた。

その影響で私は「HKTオタク」になった。HKT48は博多を拠点に活動するアイドルグループで、山口住みだったため一番近い48Gということもあって興味を持った。

当時のHKTの発信コンテンツはGoogle+(通称ぐぐたす)、メンバーブログ有料のモバイルメールTV出演、そしてYouTubeの動画(非公式)だった。SNS全部をチェックし、冠番組を何回も見直し、劇場に何度かライブを観にも行った。


その頃の感覚は今でも覚えている。「今日はどこどこでイベントやってる」とか「誰と誰と誰がゲストでテレビ出演」とか、
SNSとTVから知れるあらゆる情報から、リアルタイムでそのアイドルの今の状況を把握していると、その存在がとても近くなる

その状態、めちゃくちゃ執着してめちゃくちゃ詳しくなって、

知ることの楽しさ知っていることの至福

これは「オタク」レベルじゃないと味わえない感覚だと今振り返ると思う。


HKTは受験の追い込みとともにフェードアウトしていき、それっきり私は「オタク」になれていない

大学在学中、「オタク気質×飽き性」でひたすら自分がオタクになれるかもと思ったものを試しては飽き、の繰り返し。

ただ、周りが就活を始める時期で、自分は何もやってない訳じゃない、努力してるんだと自分を正当化するために、ネタのイラストや動画を作っては周りの人たちに見せびらかし、褒めてもらうことで安心していた。

そうやってふざけて誤魔化してきた自分は、本当は武器なんて持ってなかった。そんなことにならないためにも、


「学生時代に何をやっておくといいのか」、非常に大事です。

なんだかここに着地すると飽き性を言い訳にしているようで後味が悪いがね……


せっかく気質はあるのにもったいないと、自分でも思う。

私は結構「買い被りすぎだろ」と感じるくらい人から高い評価で期待されることがある。今考えると、それも私の「オタク」化を見込んでのことなんだろうなと。そして、その期待を私は「オタク気質」止まりで幾度となく裏切ってきたんだろうなと。

ただ、それを強みにするのなら良いが、言い訳にするのであればただの気分屋でしかないし、わがままでしかない。「気分が乗らないから本気で取り組まない」なんて通用しない。

うまくコントロールできるようになれば強いんだろうな。



さて、そんなわけで。今は目の前のことをコツコツと。

おわり。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?