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NHKニュースクリップ(2024年9月29日号)

今週もNHKではまた不祥事が相次ぎました。恐らく、世間の注目を最も集めたのは、Xのトレンドにもなった「辞任の理事」問題かと思います。

国際放送の「乗っ取り」事案に関連してNHKが直近公開した議事録で、引責辞任を申し出た傍田前理事は、次のように述べています。

私から一言申し上げます。今回の事案では、何にも増して、視聴者のみなさまのNHKに対する信頼を裏切ってしまいました。このことを大変深刻に受け止めておりまして、理事としての責任を痛感しています。誠に申し訳ございませんでした。

2024年9月10日理事会議事録より

この理事会が行われた9月10日いっぱいで傍田は理事を辞任していますが、まさか7日後の9月17日にEP(エグゼクティブ・プロデューサー)としてNHK本体に再雇用されるとはNHKの職員すら思わなかったことでしょう。

実のところ、NHKでは「9億円問題」で処分された3人トリオも、まだ「メディア総局特別主幹」の肩書きで高給を得ています。何をどう考えたら、公共放送の根幹を揺るがせるような事案を引き起こしていながら、こんな高待遇が許されるのか私には分かりません。

傍田元理事問題については、メンバーシップ領域でも詳報します。

自民党総裁戦の思わぬ余波 NHKの体制にも影響か?

波乱?の末に、新しい自民党総裁が石破氏に決まりました。高市氏といえば、私の在職中に「政治的公平性」を盾に取って「停波」をちらつかせてきたこともあり、「もし高市氏が総裁になったらどうしよう」と戦々恐々としていた職員も多いでしょう。

あの時は、組合でも大問題になりました。ざっくり言えば、それまでは「全体の編成の中でバランスが取れていれば良い」だったのが、「たとえ政権の課題にフォーカスを当てる番組だろうと、個別番組の中でも、特に政府(自民党)の公式見解を伝えろ」となりました。

結果としてNHK表立って政権批判を行うことが極めて困難になり、政府への隷属姿勢がさらに色濃くなったのです。

当の高市氏は「NHK改革」に並々ならぬ意欲を見せており、Webサイトのコラムでは、あたかも前田前会長を裏で操っていたかのようなことを仄めかしています。

というわけで、高市氏にならなくて表向きは安堵している職員が多いと思われますが、NHKの幹部・執行部においてはそうでもないようです。

現執行部は後ろ盾を失った?

高市氏のコラムからも明らかなように、執行部においては、高市氏らの言うことに従っていれば対外的には安泰だったわけです。「抵抗する左巻きで金銭感覚の無いNHK職員を正しい方向に導いている」という建前が得られますからね。

それが、どうも石破氏になって旗色が大きく変わったという声が私の元にもちらほら届いています。

現在の執行部の主な後ろ盾は、聞きしによれば麻生氏だとか(あくまで噂)。麻生派の権勢が失われてしまったことで、好き放題できなくなる可能性もあるというのです。

国際放送問題も、冷静に見れば随分軽く済まされているわけですが、今後は奇妙な神通力が働かなくなるかもしれません。

国際放送でまた特大不祥事 「きのうのニュース」を悪びれず放送

渦中の国際放送で、また不祥事です。

「乗っ取り」を受けて収録に切り替えていたものの、放送までに完プロ(完パケ)が間に合わず、前日のニュースの録音を放送したというのです。

「収録に切り替える」と宣言したから、意地でも生放送出来なかったということと思われますが、報道機関としては致命的な不祥事です。

国際放送局にいる中国語が堪能な中国籍の職員が生読みしたって良いのではないでしょうか?そうでなくても、中国語が堪能な日本人アナウンサーを使う選択肢だってあったはずです。

途中まで収録して、収録ミスしたところから先を生にすることだって容易にできます。止むを得ない事情で生対応したことで、一体、どこの誰に非難されるというのでしょうか?

最新のニュースを伝えるよりも、前日のニュースの録音を再生することを選ぶような感覚の持ち主が国際放送局長を勤めているというのは異常なことです。厳しい処分が必要でしょう。

津波速報において 国際放送関連の「放送事故」も

国際放送に関連して、大手メディアでは一切報じられていませんが、もうひとつ深刻な「放送事故」がありました。

津波注意報を伝える緊急速報において、副音声から全く無関係な「民謡」のようなものが流れたのです。

今回はほとんど被害も無い規模の津波だったので事無きを得ましたが、東日本大震災のような規模だったらどうだったでしょうか?NHKと受信契約を結んで放送を頼りにしている英語圏出身の方が適切な情報を得られず、最悪は命を落とすことにも繋がったかもしれません。

しかし、なぜこんな「放送事故」が起きたのでしょうか?NC(ニュースセンター)の副調整室で、そんな音声を意図的に流すことは不可能と思われます。また新たな「乗っ取り」を懸念し、NHKに問い合わせてみました

すると、経緯について回答がありました。

総合テレビの副音声では、テレビ国際放送の特設ニュースの英語の音声を流していたところ、「国際放送側の特設ニュースが終了し、次のスタンバイ番組の音声がそのまま総合テレビに流れた」というのです。

副調整室には緊急の通話用の端末などもあり、特設ニュースの際には各所と連絡を取り合う仕組みです。私もよくやり取りはしていただけに、にわかには信じられないのですが、国際放送側の担当者が「わざと」やったのではないかと思ってしまいます。

NHKは「担当者間の連絡が不十分だった」と述べた上で、「再発防止に努める」としていますが、自らの音声が総合の全中で流れているのか否かさえ把握していない職員・スタッフなど、一刻も早く一掃すべきです。

ニュースウオッチ9でまたも「誤情報」

もはや問題番組として認知されているニュースウオッチ9で、耳を疑うような誤情報が放送されました。

こんなの原稿を見た時点でおかしいと思わないのでしょうか?間違った原稿を作って汎用化(放送できる状態にすること)するニュースデスクもですけど、アナウンサー・ナレーターだって常識があったら読まないでしょう。

国際放送もですが、目をつけられているにも関わらず、こんなあり得ない過ちを繰り返すあたり、私はNHKが恐ろしいです。「間違ったまま放送を出しても構わない」、何なら「昨日のニュースでも、全然関係ない民謡でも構わない…」そんな考えで職員が基幹ニュースの放送に当たっているのは、私からすると信じられません。

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