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【NW9】NHKのニュースウオッチ9問題報告書には、嘘が隠されている?

今回、敢えてメンバーシップ領域でNW9問題に関して書きます。有料部分は最後の一箇所以外設けていないので、加入されていない方も読んで頂ければ幸いです(最後の部分には本質的なことは何も書いていません)

新型コロナワクチン接種後に死亡された遺族の方を、感染死されたかのように捏造報道したこの問題、私も局内取材を通じて幾つか記事を作りました。

私としては、出来る範囲で取材を尽くしましたし、協会の常識に照らして最も可能性が高いところを突いたつもりだったのですが、新たに発表された報告書には、私の取材や見立てと異なる記述が幾つか見当たりました。

「調査結果の報告」のところにPDFのファイルがあるので参照してください。また、NHKが出す報告書としては、相当細かく誠実に記述しているのは事実なので、その点については私も一定の評価はしています。

大筋では私が書いてきた記事と内容的には同じなのですが、細部において奇妙な点が多数あります。今回は、その細部にフォーカスをあててみます。


提案票は実質2つあったのではないか?

最初の疑問はここです。スタートラインに関しては、私の取材通りだったのですが、報告書には次のような記述があります。

担当職員は、NPO法人から返信が届く前に、想定上の内容をまとめた提案票(企画書)と、動画の構成・流れのイメージを図示した手書きの「絵コンテ」を準備し、上司のCLに送信しました。この提案票は、9日のうちに、上司のCLから調整デスクを経て、編責に送信されました。提案票には、構成の要素(映像項目)の一つとして、「コロナワクチンで夫を亡くした遺族インタ/ワクチン被害者の会」と記載されていた一方、「絵コンテ」には、想定上の内容として「仏壇の前にて、コロナウイルスで夫を亡くした女性」とも記されており、この2つの矛盾した記述から、担当職員が、NPO法人のホームページから取材を申し込んだあとも、みずからの認識のなかで、ワクチン接種後に亡くなった人と、新型コロナに感染して亡くなった人を明確に区別していなかったことがわかります。

報告書より引用

私自身かなり驚いたのですが、提案票には「新型コロナワクチン接種後に亡くなった方の取材」と明記されていたにも関わらず、最後まで管理職たちはその認識が無かったと述べています。

こんな事が起こるのは、NHKの通常のフローだったら絶対にありえません。デイリー新潮さんの記事にも書いた通り、提案票は絶対ですし、公文書として厳しく点検を受けるものだからです。この場合、却下されるか、新型コロナワクチンの副反応関係の報道として腹を括ってやるかの2択です。

散々述べてきた通り、NHK報道局では新型コロナワクチンについては礼賛する報道しかしない内規があるので、普通に考えたら却下されます。

でも、なぜこんなことが起きたのか?取材を進める過程で、新たな証言が幾つか私の元にもたらされました。

どうも、さすがに担当職員Mは取材でヤバいと思ってワクチンについて記述をしたものの、上司のCLはNW9の編責に対してワクチンの記述が無い「画コンテ」のみを共有したというのです。

終始、関係者たちは新型コロナワクチンの副反応について認識が曖昧だったと述べていますが、取材経験は無くても、放送上慎重な対応が必要でリスキーだったことくらいは分かっていたはずです。

カラクリはこうです、映像編集グループで新型コロナ関連で先に枠だけ押さえていて、何としても編集CLと担当のMは手柄が欲しかった。しかし、取材が難航してこのままではお流れになってしまいかねない。そこで、「遺族の取材」の部分だけを編集CLが編責に提案として伝えたとみられます。

これ自体は、実際そこまでおかしなことではありません。枠だけ先行していて、後から提案票の紙を形だけ出すこともあるにはあります。

今回で言えば、提案=正規の提案票ではなく、編集CLから編責に渡った「画コンテ(構成表)」が実質的に提案になってしまったと考えられます。NHKにおいては、「提案=構成」であり「構成=台本」です。

より細密な構成表にあたるコンテでもって、提案の代替と見せかけた。実質的には、正規の提案票と、編責が認識していた想像上の提案票の2つが存在していたと考えられるわけです。

だからこそ、後になって「話が違う!」と揉めているのでしょうね。その意味では、騙された方も騙された方ですが、編集CLの責任が管理職で一番重いのは、ある意味妥当といえます。

報告書にある、次の部分もこれで一応は整合性がとれます。

担当職員は、"放送時間が1分と短いこと、ワクチンについては放送しない
予定であることを伝えるためにメールを送った"と話しています。担当職員は、遺族のインタビュー内容や、NPO 法人の理事長とのメールや口頭でのやりとりについて、上司のCLには報告していませんでした。その理由について、担当職員は、"提案の趣旨から外れていないと思ってしまった"などと話しています。

報告書より抜粋

正規の提案票からすると、ワクチンに触れないことは間違っていますが、編責が認識していた想像上の提案にはワクチンのことが無いので「提案の趣旨から外れていない」ということです。

ただ、まだ疑問もあります。実は、私は担当職員Mが取材先のNPO法人と交わしたメールについても一部情報を入手しています。その中で、担当のMは次のようなことを述べているのです。

・新型コロナワクチンのことは今回は入らない
・今回は初手であって、次の弾を考えている
・尺は1分でワクチンの話題は無いが、Twitterで宣伝して欲しい
・次はワクチンの話題を長尺でやりたいので、第一歩として納得してくれ

担当職員MがNPO法人に送ったメールの一部を筆者編集

ここだけ読むと、まるで担当職員のMは、新型コロナワクチンの副反応問題を長尺で扱うための布石として、自ら自爆するような炎上作戦を仕掛けたようにも錯覚してしまいます。

ですが、彼が新型コロナワクチンの問題を取材したことが無かったのは事実ですし、それほどの問題意識で世の中に物事を訴えかけるような肝の坐ったジャーナリストでもありません。

あくまで、ワクチンの話題が入らなくて取材先に責められないようにするための嘘だったと私はみています。しかし、真相はどうなのか?BPOの調査で明らかになることに期待するのみです。

連絡メールの記述「副反応でなくしたと訴えるが表現は慎重に」は誰の発言なのか?

次はこちらです。私も何度か投稿してきた、この画像です。

連絡メール(NHK内部の連絡ツール)の一節とみられる画像

私は、局内からもたらされた情報を総合して、「副反応でなくしたと訴えるが表現は慎重に」は上司からの指示だと思っていました。

しかし、報告書には次のようにあります。

5月15日の放送当日の12時過ぎ、担当職員は、局内のシステムに、"コロナ禍で家族亡くした遺族3名。副反応でなくしたと訴えるが表現は慎重に。5類になっても忘れて欲しくない、という方向で"と記載したうえで、今回の動画の構成要素(映像項目)などを登録しました。この内容を登録した理由について、担当職員は、"自分用の備忘録などの目的で書いた"と話しています。

報告書より

備忘録、とは一体どういうことなのか?謎を解く鍵が、この報告書の別の一節にあります。

医療問題に詳しい知り合いの記者に、[ワクチンで家族を亡くした人に話を聞けそうです]というメッセージを送ったうえで、注意点についてアドバイスを求めました。記者からは、[上司や医療担当デスクと相談したほうがよい]という趣旨の返信があり、担当職員は[上司や編責と協議してみます]というメッセージを記者に返しました。しかし、担当職員は、上司や編責に、記者からのアドバイスを伝えていませんでした。その理由について、"コロナ禍で亡くなった方の遺族だという伝え方をすれば、ワクチンについて触れる必要がないので、問題ないと考えてしまった"と話しています。

報告書より

医療問題に詳しい知り合いの記者、とあるのは何者なのか?まるで、他社の記者のような書きぶりで奇妙です。NHK職員の記者なら、何部のどんな記者だって書くべきですよね。

この件も、局内取材で新情報がわかりました。実は科学文化部の記者だというのです。

要は、科学文化部からは「安易にやると危ないからきちんとリスク管理しろよ」と指摘を受けていたのですね。その指摘を、担当職員Mが備忘録として記述したというカラクリです。実質的には、科学文化部からの指示ですね。

なぜ新型コロナワクチンが絡むシビアな話題なのに、科学文化部という単語が報告書にも一切登場していなかったのか疑問でしたが、ひとつ謎が解けました。

科学文化部は社会部と一体運用されています。また、新型コロナ関連の報道では中心的な役割を果たしてもきました。そこに火の粉が飛ぶのを防ぐために、このようにボカした記述になっているのです。

科学文化部もこの放送を把握していたなら、少なくとも放送を適切な形に導く責任があったことは間違いありません。しかし、そこにまで火が及ぶとNHKの報道全体の責任が更に追及されることになるため、敢えてぼかしたと考えられます。

それこそが、社会部出身の理事、中嶋の身を挺した作戦なのでしょう。

編集開始は本当に当日の15時だったのか?

これは若干細かい話なのですが、報告書には次のようにあります。

担当職員は、15時ごろから、放送センターで映像の編集を始めました。

報告書より

その後、18時から試写とありますが、これは明確に嘘です。大体、1時間もあるロケ素材のインタ起こしを作って編集するのに、たとえ1分の映像だろうと3時間は絶対に無理です。

それに、担当職員Mは14日の時点で素材の粗編を始めていたことを取材先に伝えています。なので、報告書のこの部分は誤りと言えます。

私から見て理解に苦しむのが、なぜこんなどうでも良い嘘をついたのか?ということです。慌ただしい編集の中で確認が疎かになった、と言い訳する為なのでしょうか?

「ツイッター編責」とは何者なのか?

実は私が一番驚いたのは、ツイッター編責なる存在の記述です。「厳重注意」を受けてはいますが、実質的にはお咎め無し。やけに責任が軽そうな感じのポジションに見受けられますが、これは一体何者なのか?

私が調べたところ、本来の責任者であった裏週編責のIだという情報が複数の関係者からもたらされました。

しかし、その記述が奇妙なのです。

この日のツイッター編責は、新型コロナ関連の取材指揮の経験が豊富だったため、上司のCLが試写に立ち会うよう依頼していました。

報告書より

ツイッター編責からは、"遺族3人をわずか1分で、このような形で紹介して問題はないのか。エンドVではなく、ニュース企画で伝えた方がよいのではないか"などといった指摘がありました。

報告書より

1試写では、画面の右上に、"NPO法人駆け込み寺2020"という団体名とホームページのURLが小さく表示されており、ツイッター編責がどのような団体か質問しました。

報告書より

どうでしょうか?まるで、捏造報道がそのまま進むことにストップを掛けようとした良識派のヒーローかのように記述されていますよね。しかし、「新型コロナ関連の取材指揮の経験が豊富だった」とあるにも関わらず、今回のVを出したのは全く奇妙な話です。

大体、本当に経験が豊富だったなら、科学文化部ではなく、このIに尋ねれば良かったはずですよね。もしくは、自らの責任のもと、取材の方針や進捗をこまめに確認するべきでした。

相当責任が大きいにも関わらず、実質はお咎め無し。BKのシニアリードに栄転したままなのはなぜなのか?謎が謎を呼んでいます。

参加者の記憶の食い違い、などありえるのか?

私が最も疑念を抱いたのは次の一節です。

一方、1試写のなかで、担当職員は、インタビューをした遺族3人について、"この方たちはワクチンによる副反応で家族を亡くしたと訴えている遺族ですと伝えた"と話しています。

しかし、この発言を聞いたかどうかについては、参加者の記憶に食い違いがあり、結果的に、議論は深まらないまま、インタビュー内容や動画の構成を再検討することで、1試写での検討が終わりました。

2試写に向けた修正作業は、担当職員と上司のCLの2人で行われました。上司のCLは、"この時、遺族のインタビューの字起こしを初めて読んだ"と話しており、"ワクチンに関して触れなくてもいいのか"と担当職員に質問したということです。担当職員は"先方から了承を得ているので大丈夫です"
などと答えたということで、2人の間では、それ以上、ワクチンについて議論は行われませんでした。

2試写は19時前ごろに行われ、1試写と同じメンバーが立ち会って内容を確認しました。1試写で指摘を受けていた点については修正が行われていたことから、編責などから、追加の指摘はなく、2試写の動画の内容がそのまま放送で使われることになりました。

報告書より

なぜ、取材を受けてくれた方々のバックグラウンドに関連する重大情報に関して記憶に食い違いが生じるのでしょうか?ワクチンのワの字でも出そうものなら脊髄反射してくる報道局で、こんなことは信じられません。

実際に行われた1試写の様子を知る関係者からは「試写の際に、明確にワクチン被害者と紹介があったのは間違いないです。参加者は皆インタ起こしも見た上で試写したと複数が証言していますからね。曖昧にしたのはIを守るためでしょう」というDMが来ました。

どういうダメージコントロールで1試写でワクチンに関連した情報共有が無かったことになったのか?私には理解できません。

身内でなあなあに行われた調査そのものに問題

今回の調査を発表したのは、理事の中嶋です。

社会部と科学文化部という自分の古巣が関わり、とりわけ、本来のV編責(ツイッター編責)が自分の直属の元部下という状況で、正当に調査を行えるのでしょうか?

調査の客観性と独立性を担保するため、制作・放送に関わった関係者はいずれも調査のメンバーに加わっていません。

報告書より

報告書にはこう書かれていますが、中嶋は関係者でしょう。

そもそも、Iに関しては「あすの日本」でも問題が指摘されているほか、ハラスメントに関わる情報も私の元に多数寄せられています。良い話は私には全く聞こえてきません。

しかし、それでいて次期社会部長に内定しているという話は複数の関係者から寄せられています。

中嶋からしたら組織を守るための美しい行為のつもりかもしれませんが、こんなことを繰り返していたら腐敗が進むだけですよ。

止められるチャンスは何度もあったのに、狂った放送がなされて甚大な被害を生んだ

今回の一連の動きを見ていてわかるのは、止められる立場にあった人達が全く安全弁の働きをしていなかったということです。

仮にもNHKを代表する番組でこのようなことが起きていたということは、まさにNHKの崩壊を端的に示しています。

なぜ、誰も「これは、あと30秒積んででも絶対に新型コロナワクチンに言及すべきだ」と強硬に主張しなかったのでしょうか?一言、誰かがブレーキを掛ければ、こんな事態にはならなかったはずです。

結果として、報道で人権侵害や社会への疑念を招いだだけでなく、こんな調査のためにも莫大な人的リソースが浪費されました。それらは、全て受信料の無駄遣いです。

事態の重さを鑑みれば、あまりにも処分が軽いと言わざるを得ません。

放送後の研修は?

報告書には次のようにあります。

こうしたことを二度と起こさないためには、今回明らかになった
課題を共有するとともに、ジャーナリストとして備えるべき意識や認識を真に身につけさせる必要があり、全国の放送現場で、取材・制作にかかわる職員やスタッフを対象に、あらためて勉強会を実施します。また、世代別・役割別の研修の内容を見直し、再発防止に向けた取り組みを徹底し、信頼の
回復に努めてまいります。

報告書より

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