【試写】クローズアップ現代「“守られない通報者” 内部告発を社会の利益に」
私はクローズアップ現代が嫌いだ。当事者はNHK内では偉そうに振る舞っているが、実のところはご都合主義のストーリー作りが横行している番組だからだ。西館6Fにある暗がりのクロ現部屋を覗くと、上層部含めて何十人も試写に群がっては理屈をこねまわす姿がいつも目に入ってきたが、見る度に嫌な気分になったものだ。
「出家詐欺」などNHKの存立を揺るがせるような不正の震源地になったことは誰しも知るところだが、実は、“クロ現人脈”は他にも様々な捏造報道に関与している。
しかし、NHK的には「社説番組」のひとつと位置付けられており、簡単には看板を下ろせない。不正に次ぐ不正が明らかになっても番組自体は存続し、関係者が出世していくのは、まさに病理だ。
今回の放送を巡っても、数ヶ月前に、取材を受けたという方からNHKの取材手法や担当ディレクターの資質についての問い合わせを間接的にDMで受けていた。NHKに向けて振り上げた拳を少し下ろして貰ったと聞いているが、実際どうなったのだろうか?(NHKは私に感謝して欲しい)
NHKの不正を凝縮したとも言えるクロ現が「内部告発」をどう扱うのか?図らずも関与することになったため、私は敢えて試写することにした。
番組総評
クローズアップ現代「“守られない通報者” 内部告発を社会の利益に」
正確性:★★★☆☆
速報性:★☆☆☆☆
公平性:★☆☆☆☆
演出的工夫:★☆☆☆☆
NHKらしさ:★☆☆☆☆
合計:7/25点
オススメ度:★☆☆☆☆
公益通報は社会の利益につながるが、通報者が不利益を被るケースが後を絶たない。この番組は、通報者が直面する現状の問題点を浮き彫りにし、公益通報者保護法の改正論議を追うことで、通報者保護の在り方を考えるという建て付けだった。
病院の不正を通報した女性は体調不良に、自治体の不正を通報した男性は不本意な異動を命じられた。公益通報者保護法は不利益な取り扱いを禁じているが、報復の立証責任は通報者側にある。法改正に向け、組織への罰則規定と立証責任の在り方が論点となっている。EUは組織に罰則を設け、立証責任も組織側としている。
一方、三菱電機は問題点を指摘した社員を表彰する制度(副賞は発明や特許と同じ扱いの1人あたり5万円)を設け、内部からの声を活かそうとしている。
通報内容は、行政の不正なら納税者として、企業の不正なら消費者や投資家として、我々全てに関わる問題であるとスタジオトークでは語られた。通報者の保護と、通報を社会の利益につなげる仕組み作りが求められていると番組は結んだ。
試写した上での感想
放送が始まった瞬間から違和感しか無い番組だった。なぜなら、NHKこそが内部告発潰しの常習にも関わらず、アナウンサーが何も知らないかのような無垢な振る舞いをしていたからだ。
ビッグモーターとダイハツをバイネームで指摘していたが、NHKの方が遥かに悪質だ(直近問題となった報道局の不正経理問題は、私や大手媒体への準「公益通報」から火が付いたことを補足しておく)。
番組のロジックにならうなら、NHKの不正は、という公金で運営される日本社会の情報インフラの問題といえる。不正を知りながら通報しないのは、私に言わせればNHK職員ならびにスタッフとして、倫理行動検証に背く行為だ。しかし、NHKの力学は常に「隠蔽」に作用している。
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