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■第〇服■文禄三年 田中道安【たなか どうあん】 ■配役■伊藤英明 生歿年■天文十五年〜…
光朽館に宿す 足引の山に生ひたるしらかしの 知らじな人を朽木なりとも 若狭武田氏の軍勢…
二虎を食み競う 今日はまた咲き残りけり古里の あすか盛りの秋萩の花 義晴公の典厩邸御成…
晴三防に遷る いつしかに 春とは知りぬ 鴬の さだかならねど 今朝の初声 足利義晴公は…
乳を同じうして枝を連ねる いささめに 時待つまにぞ 日は経ぬる 武者子も吾子も ともには…
午三にして休を生む さかひこゑ ちぬなぎぬれる 馬の子は 千世のむつきを かさねうるかな…
安赦されて堺に帰る 生まれしも帰らぬものをわが宿に 小松のあるを見るが悲しさ 文禄三年 秋―― 堺の今市町にある斗々屋の看板が挙げられた商家の前に、一人の男が立っていた。男は懐かしそうに、店構えをみている。旅装で上背が七尺近くもある男は、武人といわれても不自然ではないが、帯刀しておらず、棍のように長い棒を杖にしていた。 「四郎右衛門さま?」 店前へ掃除をしに出てきたのだろう。箒を持った使用人が、佇む男を訝し気におずおずと様子を伺っていたが、やがて、目を輝かせ