鬼の歯形石
鬼の歯形石
僕の地元大分県、西寒多神社には、大きな石が祀られてます。
それは、鬼の歯形石と呼ばれていました。
岩に二箇所穴が開いている岩でした。サイズは結構まちまちで、僕の実家にも一つあったので、あのあたりには結構あるものだったみたいです。
この岩には逸話がありました。
ばあちゃんに聞いた話ですけど。
その昔、本宮山(ほんぐうさん)で毎日天照大神の巫女の親子がお祭りをしていました。
本宮山の隣にある霊山(りょうぜん)には鬼がたくさん住んでいて、毎日行われる祭りにたいそう腹をたてて、巫女の親子を取って食おうとしましたが、なかなかうまくいきませんでした。
そこで巫女の母親は、鬼達に
「夜が明けるまでに霊山と本宮山に橋をかける事が出来たら、大人しく食べられましょう。」と持ちかけました。
鬼達はこれを承諾し、ものすごい速さで橋を建築していきます。
このままでは、夜が明けるまでに橋が完成してしまう。
そう考えた巫女の母親は、鶏の鳴き真似をしました。
あと少しで完成する。と言うところで、鶏の声が聞こえたので、鬼達は負けてしまったとたいそう悔しがり、建築に使っていた石を噛み砕きました。
そうして、二つの山の間には、二箇所の穴が開いている岩がしばしば見つかるのです。
って話ですね。
ちなみに、西寒多神社に伝わる話だと。
悪さをする鬼の一族が住んでいて、周辺の住人に危害を加えていた。
村の人がこの鬼達を懲らしめてやろうと、約束を結びます。
それは一晩で霊山と本宮山に橋をかけろと言う無理難題でした。
村人たちは、これなら出来まいと思っていましたが、鬼達は頑張って橋をかけ、夜明け前に掛け終わりそうになってしまいます。
これはまずいと氏子さんが、一番鶏を鳴かせました。
一番鶏の声を聞いた鬼達は、夜明けが来てしまったと勘違いしてしまい。悔しさのあまりそこら辺の岩を噛み締めて、ぶん投げました。
岩は別の村に飛んで行きましたが、その村で疫病が発生したので、西寒多神社に持って来て、祀ったところ、疫病がおさまった。
非常に好きな話なんですけど、およそ隣人トラブルの話に聞こえますね。
隣の人がうるさくてトラブルになったか、周辺の住人とトラブルになったか、細かいところは違いますが。
なんか、隣人トラブルって言うと急に親近感湧きますね。不思議と。
あと、鬼達がかなり高い技術の持ち主である事が伺えます。
山から山に橋をかけるのを了承する。って事は、出来るだけの自信があった。って話ですし、実際お話の中では約束持ちかけた側がズルしなければ、かけ終えてますからね。
あと、霊山と本宮山に橋をかけると交通の便が良くなったんですかね?
なんの意味もない場所に橋をかける勝負持ち込んだりしないでしょうし。これはなかなか興味深い。
鶏の声が刻を告げるって部分は、昔話でよく聴く話ですね。境界を分ける部分なんでしょう。
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