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離れられない女について

いくら着込んだところでタオルケット1枚ではさすがに寒くなってきたので、押入れにしまっておいた、というよりは無理矢理押し込んであった羽毛布団を引っ張り出して、天気がいい日にベランダに干した。サンダルを突っ掛けてベランダに出る度に、端の方に置いてある枯らしてしまった植物のプランターが目に入る。私のせいですっかり変わり果ててしまったその姿を見ると、ばつが悪い思いで首をすくめることしかできない。

最近、よく会っている友達がいる。彼女との出会いは2013年の2月11日だ。何故そんなに細かい日付まで分かるのかというと、ある映画のオーディションで知り合ったからだ。
そのオーディションは3人1組のグループ面接で、彼女とはたまたま同じグループだった。私は役者志望だったという訳ではなく、ただ「面白そう」という理由で参加していただけだったので、まるで真剣さが無く終始ヘラヘラしており、周りからするとおそらくかなり癪に障る迷惑な奴だったと思う。とはいえ、それをきっかけに何かやりたいことが見つかればラッキーだなという期待が無いではなかった。

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