人工血管
手術の途中で介助に入る。
どうやら血管の手術らしい。大きな山は超えたようで、後は閉腹に向けての処置が行われている。殆ど緊張することもなく、そのまま閉腹、手術終了となった。
器具が片付けられ、患者はまだ麻酔下であるが、覚醒に向けて処置が始まる。
と、いうところで、周囲がざわざわ・・誰ともなく、「なんでこれが残っているのか」という声が聞こえて来る。突然、腹の奥の深いところがぎゅぅ、と苦しくなる。
・・・人工血管が残っている。
はっ として、それからドキドキ、、、術式がなんだったのか、思い出そうとするのだが、うまくいかない。室内の白板に術式は書かれている筈だとも思うのだが、怖くてそれを確かめられない。
人工血管が残っている。
なんで?どうして?
頭のなかで目まぐるしく考える。
残っているということは、使われなかったということ。
使われなかったということは不要だったということ。
不要だったということは、それはもちろん医者が決めた筈。
必要なら、、、必要なら、医者が何か言うでしょう。まさか使わないままで腹を閉じることはないでしょう。
大丈夫、大丈夫、忘れたわけじゃない、きっと不要だったのだ、医者は人工血管置換術ではなく、別の何かに術式を変えたのだ・・・
自分は医療事故の一端を担ってしまったのか、、と、恐ろしくてドキドキして足が震えてたまらない。
12/23/2012
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