2/2 「〜しない」という命令はその行為への意識を強化する

自分の脳に「〜しない」という命令を出しても、その命令のせいで余計に特定の行為に対して意識が向いてしまい、その命令が失敗しやすくなるという逆説がある。



例えば「禁煙」。

僕は100回以上禁煙に成功してきた男なのでよくわかる(皮肉です)。

「タバコを吸わないんだ!意志を強く持て!」をくりかえしていると本当にタバコが吸いたくなる。そうやって1週間くらい経ってから吸うタバコは本当に甘美で、そうやって良い記憶が上書きされていくとさらにタバコをやめにくくなる。

その結果が100回の禁煙の成功につながったわけだ。だってガマンしたおかげでよけいにおいしくタバコが吸えてしまうんだもの。本当においしいんだもの。


ではどうやって禁煙したかというと、単純に「タバコ以外のことをする」を徹底しただけだ。

そもそも「タバコは自分に必要のないものである」「タバコがなくても人は快楽を得られるし幸せになれる」「タバコを吸いたいという欲望は存在せずただストレスがあるだけである」という理解を無限に禁煙に成功しつづけることによって気づく必要があったわけだが(再度、皮肉です)、そういう基本的な理解を踏まえた上で、別のことに常に意識を向けていた。


具体的には、瞑想的な何かをしていた。

ひたすら目を瞑って心地よい感覚になれるようにする。僕はこれを祈りと呼んでいる。

これはストレス解消にもっとも有効で、かつ「〜する」というプログラムのひとつでもあった。

他にも読書をするとか、色々と選択肢はあったわけだが、そういう方向に目を向けてストレスのないやり方を模索するという方向でずっと悩んでたので(あっ)、結果的にタバコのことはほとんど考えなかった。


タバコよりも重要なことがあるという意識があったのもすごく大きかった。

「〜する」の根本には「〜よりも大切なことがある」という意識があった。つまりタバコよりも大切なことがあるので、他のことをひたすらやっていただけだった。

その中で、悩みながらも、すこしずつストレスを減らしてやっていく方法を確立していったから、いまの僕はタバコを吸わなくてもよくなってしまったということなんですね。



ちなみにこないだ1年8ヶ月ぶりくらいにタバコを吸ってみたんだけど、うまいという認識で吸ったのにまったく効かなくて「あっもうタバコはおいしく吸えないんだ」と気づいて絶望してしまった。

数日間、タバコによる身体への悪影響も出るし、もう今後望んでタバコを吸うことはないでしょう。

何かをガマンしてその反動でタバコを吸っておいしく感じるあの作法、そして、喫煙による身体への悪影響のデメリットを感じないくらいに常日頃からストレスを抱えていたこと、それがいまないので、まったく吸ってもそのメリットを享受できないんだ。

そんな感じで久しぶりにタバコを吸ったせいで、タバコにまったく興味がなくなってしまいました。絶望です。



なのでまずは「〜しない」というプログラムを「これをやる」という意識に変換する必要がある。

それを気づいたらやってしまうことにすると、自然に「〜しない」が達成されていたりする、かもしれない。


簡単にまとめると、

「〜しない」のためには「〜する」が大切である。

そういうはなしでした。

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