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ショート小説「オンライン大学」

「今日もオンラインで講義か」

僕は今年から大学生だ.

大学に行って,友達もたくさん作って,サークルにも入って,思いっきり大学生活を楽しんでやろうと思っていた.

しかし,現実は違った.

「今話題のウイルスの影響で,前期の講義はすべてオンラインで行います」

春休み中に大学からこのようなメールが届いた.

「まじか」

この一言しか出なかった.

春休み中もウイルスの影響で,どこにも遊びに行けなかった.

4月になり,オンラインガイダンスが始まった.

単位の説明や今後についての説明を聞いているだけだった.

大学にも行ってはだめ.質問はすべてオンラインで.

こんなのでは大学生になった実感がわかない.

1週間後,大学生になって初めての講義が始まった.

ほとんどの講義がオンデマンド形式だった.

自分が好きな時に見れる.期限は1週間.視聴したら課題を出してねと.

いったいこれは何なんだろう.何をしているんだろう.

大学とはこんなものだったんだっけ?

全てが自分の思い描いていたものと違っていて,落胆した.

唯一,ライブ形式で行う講義があり,そこで何とかして友達を作ろうと頑張った.

現在,前期が終わり夏休み真っ只中.単位はすべて取れたが,モチベーションは失われてしまった.

後期がどんなふうになるかわからない.ただそれだけが心配だ.

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