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初心者向け花の、デッサン・鉛筆画を簡単にマスターする方法とは?

 どうも。プロ鉛筆画家の中山眞治です。元気でお過ごしですか?^^
 
 さて、鉛筆だけで花の鉛筆デッサンや鉛筆画を始めてみませんか?四季折々の花を描くことは、季節を感じながら、花の美しさに触れることのできる至福の時間にもなります。

 この記事では、初心者でも簡単に描ける基本テクニックと、花の形を美しく表現するコツをお教えします。

 それでは、早速見ていきましょう!

1 花のデッサンや鉛筆画で重要な形の捉え方


朝顔の画像です


  花の、鉛筆デッサンや鉛筆画を成功させるためには、まず花の形を正確に捉えることが不可欠です。形を正しく捉えることで、花の美しさや特徴をより効果的に表現できるようになれます。
 
 本章では、花の鉛筆デッサンや鉛筆画において形を捉えるための基本的なポイントと、初心者が陥りやすいミスを避けるためのアドバイスを解説します。 

(1) 基本形状の観察と抽象化


  鉛筆デッサンや鉛筆画を始める前に、まず花の基本的な形状を観察することが重要です。花びらの曲線や茎の角度、花全体のシルエットなど、細部にとらわれずに全体像を把握しましょう。
 
 最初に、花を単純な幾何学的な形に分解してみることが役立ちます。例えば、花の中心を円、花びらを楕円や曲線で表現することで、複雑な構造を理解しやすくなります。 

(2) 視覚的なバランスを保つためのプロポーション


  花を描く際には、各パーツのプロポーション(比率)を意識することが大切です。花びらと茎、葉の大きさの比率が崩れると、全体のバランスが悪くなり、不自然な印象を与えてしまいます。
 
 鉛筆デッサンや鉛筆画の初期段階では、鉛筆を使って大まかなガイドライン(補助線)を引き、各部分の大きさや位置を確認しましょう。

 このプロセスを繰り返すことで、より正確な鉛筆デッサンや鉛筆画が可能になります。 

(3) 奥行きと立体感を生むための透視図法


  花の、鉛筆デッサンや鉛筆画に立体感を加えるためには、透視図法を理解して、適用することが重要です。

 特に、花びらが手前に伸びている場合や、茎が奥に向かって伸びている場合、透視図法を活用することで、花全体にリアリティー(現実性)を持たせることができます。
 
 透視図法に基づいて、各パーツの遠近感を正確に表現することが、リアルな花の鉛筆デッサンや鉛筆画を仕上げる鍵となります。 

 つまり、手前にあるものは大きくはっきりと描き、奥にある部分については、小さく薄く描くことで、画面全体を引き立てられます。

(4) 練習方法と継続的な改善


  最後に、形を正確に捉える技術を向上させるためには、継続的な練習が不可欠です。さまざまな角度から同じ花を描いてみたり、異なる種類の花を描いてみることで、形の捉え方の幅が広がります。
 
 また、自身の鉛筆デッサンや鉛筆画を見直し、どの部分が正確に描けていないのか分析する習慣を持つことも重要です。改善点を把握し、次の制作に活かすことで、着実にスキルが向上します。
 
 花の鉛筆デッサンや鉛筆画は、形を正確に捉えることでその美しさを最大限に引き出すことができます。ここで紹介しましたポイントを意識しながら練習を続ければ、初心者の人でも確実にステップアップできるでしょう。 

 そして、あなたが鉛筆デッサンや鉛筆画に初めて取り組む際には、複雑な咲き姿の花に取り組まないようにしましょう。ここは特に重要な点です。

 あなたが取り組むべき最初の対象は、チューリップ・コスモス・スズラン・トルコ桔梗・ユリ等の単純な咲き姿のモチーフで、色は白が良いです。白い花は、光と影の状態を「つぶさ」に観察できるからです。

 尚、描き始めでオススメなのは、「造花」で取り組むことです。理由は、生花はすぐにしぼんでしまいますし、あなたが初心者の人の場合には、多くの時間を必要とするためです。

 また、「造花」ではあっても、実物を観察して描くことは、「画像」を見て描く場合よりも、よく観察できることと、画像とは全く違う質感も捉えることができます。

2 モノトーンで花を描く際の明暗の付け方


第2回個展出品作品 君の名は? 2000 F30 鉛筆画 中山眞治


  モノトーンの鉛筆デッサンや鉛筆画では、色彩を使わないだけ、明暗の表現が作品全体の印象を大きく左右しますし、逆に、「劇的な光と影の対比」によって、新鮮な感動を与えられます。

 花の鉛筆デッサンや鉛筆画においても、明暗を正確に捉えることで、立体感や質感をリアルに表現することができます。
 
 本章では、モノトーンで花を描く際の明暗の付け方に焦点を当て、初心者の人でも取り入れやすいテクニックを解説します。 

(1) 光の方向と影の観察


第2回個展出品作品 コスモス 1997 F10 鉛筆画 中山眞治


  まず最初に、光源を意識して観察することが重要です。光がどの方向から当たっているかを把握することで、自然な明暗を描くことができます。光が当たる部分は明るくなり、影になる部分は暗くなります。
 
 特に、花びらの重なりや、茎と葉の陰影は、光の当たり方により細かな差が生じます。この差を丁寧に捉えることで、花の立体感を強調することができます。 

(2) グラデーションを使った滑らかな明暗表現


  モノトーンで描く際には、滑らかなグラデーション(階調)を用いることで、花の質感や柔らかさを表現できます。

 花びらの微妙なコントラスト(明暗差)を再現するためには、鉛筆のタッチを調整しながら、徐々に濃淡を変化させることがポイントです。
 
 例えば、花びらの縁が光を受けて明るくなる場合、その部分にかけてグラデーションをつけることで、自然な光の効果を演出できます。 

(3) コントラストを活かした立体感の強調


  明暗のコントラスト(明暗差)を意識することで、花の鉛筆デッサンや鉛筆画に立体感を持たせることができます。

 花びらが重なり合う部分や、茎と葉が交差する部分など、暗い部分と明るい部分のコントラストを強調することで、視覚的に際立てられます。
 
 また、コントラストを調整することで、視点を集めたい部分を強調することもできます。これにより、鉛筆デッサンや鉛筆画全体のバランスが整い、完成度が高まります。 

 尚、あなたが強調したい花の背景に、濃いトーンを持ってくることで、花が「輝いて見える」ように制作することもできます。具体的には、次の作品は、花ではありませんが、主役の部分に花を据えればよいでしょう。


国画会展 入選作品 2001 F80 鉛筆画 中山眞治

(4) 明暗を活かした表現の工夫


第1回個展出品作品 トルコ桔梗 1996 F6 鉛筆画 中山眞治


  さらに、明暗を使って花の質感や雰囲気を演出することもできます。例えば、柔らかな花びらを表現するためには、繊細な明暗の差を描き込むことが求められます。
 
 一方で、しっかりとした質感を持つ花を描く場合は、よりはっきりとしたコントラスト(明暗差)を使い、明暗を強調することで、その特徴を際立たせることができます。

 このように、花の種類や表現したい雰囲気に合わせて、明暗の使い方を工夫することが重要です。
 

(5) 継続的な練習と分析


  明暗の付け方は、一朝一夕で身につくものではありません。繰り返し練習することで、少しずつ感覚が磨かれていきます。

 また、自身の鉛筆デッサンや鉛筆画を見返して、どの部分がうまくいったのか、また改善が必要な部分はどこかを分析することも大切です。
 
 明暗の表現が上手くなることで、モノトーンの花の鉛筆デッサンや鉛筆画が一段と引き立ち、リアルさや美しさが際立つ作品へと進化します。
 
 モノトーンで描く花の鉛筆デッサンや鉛筆画では、明暗の付け方がその出来映えを大きく左右します。

 ここで紹介したポイントを意識して練習を重ねることで、初心者の人でもプロフェッショナルな仕上がりを目指せるでしょう。

 また、短時間でも毎日制作に取り組むことで、上達を早めることもできます。詳細は、次の関連記事を参照してください。

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3 初心者向け花の鉛筆デッサンや鉛筆画:構図の選び方


第2回個展出品作品 一輪挿しと花 1997 F10 鉛筆画 中山眞治 


 花の鉛筆デッサンや鉛筆画を成功させるためには、適切な構図の選び方が非常に重要です。構図によって、作品全体の印象や魅力が大きく変わります。
 
 特に初心者の人にとっては、どのような構図が描きやすく、魅力的な鉛筆デッサンや鉛筆画に仕上がるかを理解することが、上達の第一歩となります。

 本章では、初心者の人向けに、花の鉛筆デッサンや鉛筆画で取り入れやすい構図の選び方と、具体的なポイントを解説します。 

 この記事でいくつかの構図について説明しますが、この構図については、記事最終部分の「構図関連2記事」で詳細に確認できますので、そちらを参照してください。

(1) 基本構図の種類と特徴


  まず、鉛筆デッサンや鉛筆画において代表的な構図の種類を理解することが大切です。たとえば、中心構図は花を画面の中心に配置することで、視線を自然に集め、シンプルでありながら力強い印象を与えることができます。
 
 また、対角線構図は、花を画面の対角線上に配置することで、動きやリズム感を持たせることができます。

 これらの基本構図を理解し、目的に応じて選択することで、より効果的な鉛筆デッサンや鉛筆画を制作することができます。 

 ただし、あなたが鉛筆デッサンや鉛筆画に取り組み始めたばかりの場合には、構図や構想を練るとか色々考えないで、「楽しんで」5作品ほど描いて、描くことに慣れることへ主眼を置きましょう。

 最初から複雑なことに取り組んでしまうと、挫折の原因になるからです。描くことにある程度慣れてきましたら、作品の質や完成度を高めるために、構図と構想を練ることを少しづつ考え始めましょう。^^

 構図を取り入れることで、花の鉛筆デッサンや鉛筆画にバリエーションと深みが生まれます。

 さまざまな構図に挑戦し、自身に合った構図を見つけることで、鉛筆デッサンや鉛筆画の幅が広がり、より魅力的な作品を作り上げることができるでしょう。 

 尚、構図や構想を練ることについては、この記事の最終部分に、関連2記事を掲載してありますので、興味のある人は参照してください。

(2) 視線誘導を考慮した配置


  花の鉛筆デッサンや鉛筆画において、視線をどのように誘導するかを考えることは、構図選びの重要な要素です。視線誘導を意識することで、鉛筆デッサンや鉛筆画全体に、一貫性と調和を持たせることができます。
 
 例えば、花の茎や葉を画面の端から中心に向かって配置することで、視線を自然に中心部分へと誘導することも可能になります。

 また、複数の花を描く場合には、大小のバランスや間隔を工夫し、視線がスムーズに移動できるように構成しましょう。

 つまり、斜線や構図上の分割線を、各種モチーフを使ってその分割線上や、かすめ通るように導線暗示に使うということです。

(3) 空間の取り方と余白の使い方


  構図を選ぶ際には、空間の取り方や余白の使い方も重要な要素です。花の鉛筆デッサンや鉛筆画において、適切な余白を設けることで、花そのものを引き立たせることができます。
 
 余白が狭すぎると窮屈な印象を与え、広すぎると空間が持つ力が弱くなってしまいます。初心者の人は、花の配置と余白のバランスを意識して、全体が調和する構図を心がけると良いでしょう。 

 このバランスの取り方では、小さな下絵(エスキース)上で、「描いては消し、描いては消し」して、いかにバランスの良い作品ができるか検討しましょう。つまり、これが「構想を練る」ということです。

(4) 構図選びのための簡単な手順


  初心者の人が構図を選ぶ際には、まず花をさまざまな角度から観察し、どの角度が最も魅力的に見えるかを確認します。その後、簡単なスケッチを描いて構図を試してみると、完成後のイメージを掴みやすくなります。
 
 複数の構図案を試して、最も効果的なものを選択することで、鉛筆デッサンや鉛筆画のクオリティが向上します。

 また、他の作品や写真を参考にして、自分なりの構図を模索することも、構図選びのスキルアップに役立ちます。 

(5) 構図を考慮した練習方法


  構図の選び方をマスターするためには、繰り返し練習することが必要です。異なる構図で同じ花を描くことで、構図が鉛筆デッサンや鉛筆画に与える影響を理解しやすくなります。
 
 また、描き終えた鉛筆デッサンや鉛筆画を見直し、どの構図が最も効果的であったかを分析することも重要です。

 これにより、構図の選び方に対する感覚が磨かれ、より魅力的な鉛筆デッサンや鉛筆画を生み出せるようになれます。構図は、鉛筆デッサンや鉛筆画の基礎であり、全体の完成度を大きく左右する要素です。

 初心者の人でも、ここで紹介したポイントを意識しながら構図を選ぶことで、魅力的な花の鉛筆デッサンや鉛筆画を描くことができるでしょう。

 そして、構図は難しい物ばかりではないので、構図の本を1冊購入して、簡単なものから順番に取り組んでいくことで、あなたの画は向上できます。 

4 初心者向けの具体的な構図の例


  構図を考える際には、具体的な例を参考にすることで、より明確なイメージを持つことができます。本章では、初心者が取り入れやすい花の鉛筆デッサンや鉛筆画構図の例をいくつか示します。 

(1) 中心構図


説明:
 花を画面の中央に配置するシンプルな構図です。中心に花を置くことで視線が自然と集中し、花そのものを強調できます。この構図は、初心者の人でも扱いやすく、花の魅力をストレートに伝えることができます。
 
適用例:
 単一の花を描く場合や、花の特徴的な部分を強調したい場合に有効です。例えば、チューリップやコスモスのように形がはっきりしている花を描く際に、この構図を使うと良いでしょう。 

(2) 対角線構図


 説明:
 花を画面の対角線上に配置する構図です。この構図は、画面に動きとリズムを持たせることができ、花の形状や茎の動きを強調するのに適しています。
 
適用例:
 茎が長く伸びる花や、横に広がる花束を描く場合に有効です。例えば、ユリやデイジーのような花を描く際に、この構図を使うことで、立体感と動きを表現できます。 

(3) 三角構図


 説明:
 画面内で花や花束を三角形に配置する構図です。この構図は、安定感と調和を生み出し、複数の花を描く際にバランスを取りやすくなります。
 
適用例:
 複数の花を描く場合に有効です。例えば、3つの花を異なる高さに配置し、画面内で自然な三角形を作ることで、鉛筆デッサンや鉛筆画に安定感を持たせることができます。次の関連記事を参照してください。

関連記事:

 

(4) 黄金比率構図


 説明:
 黄金比率を活用した構図で、画面を黄金分割した分割線上に花を配置することで、視覚的に最も心地よいバランスを実現します。 

 この構図は、プロフェッショナルな仕上がりを目指したい初心者にも挑戦しやすい構図です。

 
適用例:
 特に、バランスが求められる花や、花束の鉛筆デッサンや鉛筆画に有効です。

 例えば、大きな花を黄金比の位置に配置し、小さな花や葉を周囲に配することで、視覚的に洗練されたデッサンを完成させることができます。 

(5) スパイラル構図


 説明:
 花を画面内でスパイラル(螺旋)状に配置する構図です。この構図は、動きとダイナミズム(力強さや迫力)を生み出し、花の形状や配置によって躍動感を表現するのに適しています。
 
適用例:
 複数の花や花束を描く際に有効です。スパイラル構図を使うことで、視線が画面内を自然に回り、花の複雑な美しさを強調できます。


5 細部を描き込むための花の観察方法


ユリの画像です


 花の鉛筆デッサンや鉛筆画において、細部を正確に描き込むためには、観察力が不可欠です。

 花の微細な構造や質感を捉えることで、リアリティー(現実性)のある鉛筆デッサンや鉛筆画を完成させることができます。
 
 本章では、初心者の人でも実践しやすい花の観察方法を解説し、鉛筆デッサンや鉛筆画のクオリティーを向上させるポイントを紹介します。 

(1) 花全体の構造を理解するための観察


  細部を描き込む前に、まず花全体の構造を理解することが重要です。花の形状や構造を把握するために、さまざまな角度から花を観察し、どの部分がどのように繋がっているのかを確認します。
 
 例えば、花びらの重なり方及び厚みや茎と葉の接続部分、花芯の配置などを詳細に観察することで、全体のバランスを考慮しながら描き進めることができます。
 

(2) 光と影が作り出す微細なディテールの捉え方


  花の細部を描き込む際には、光と影が作り出す微細なディテール(詳細)を捉えることが鍵となります。

 光が当たる部分では、花びらや葉のテクスチャ(感触や風合い)が強調され、影になる部分では微細な凹凸が現れます。
 
 これらのディテールを正確に描き込むことで、花の立体感とリアリティーが一層際立ちます。観察時には、光源の位置を意識しながら、明暗の微妙な変化を見逃さないように注意しましょう。 

(3) 部分に焦点を当てた細部の観察


  花全体を描く際に、個々の部分に焦点を当てることも大切です。例えば、花びらの縁の微妙な波打ちや厚み、葉の細かな脈、茎の表面にある微小な毛など、細部を一つ一つ丁寧に観察します。
 
 観察した細部を描き込む際には、その部分が全体のどのような役割を果たしているかを考慮しながら進めると、鉛筆デッサンや鉛筆画に一貫性と深みが生まれます。 

 ただし、前述していますように、最初から詳細な部分に取り組みすぎると挫折につながりますので、あなたが描くことに慣れてこられましたら、取り組みを少しづつ始めていきましょう。

(4) 拡大して観察するための工夫


  細部をより正確に観察するためには、拡大して見ることが効果的です。虫眼鏡やスマートフォンのカメラを使って花の細部を拡大し、通常では見逃しがちなディテール(詳細)を確認しましょう。
 
 特に、花びらの微細なテクスチャや花芯の複雑な構造など、肉眼では捉えにくい部分も、この方法を使うことでより鮮明に描き込むことが可能になります。 

 筆者の場合には、画像に捉えて、パソコン上で拡大して描くことも多いです。パソコンのコントロールを押しながら、マウスの画面を上下させるホイールを回転させれば、拡大縮小ができます。

(5) 反復練習による観察力の向上


  観察力は、一度の練習で身につくものではありません。繰り返し観察し、描くことで少しずつ磨かれていきます。

 さまざまな種類の花を描いてみることで、細部の観察力が自然と向上し、より複雑な構造にも対応できるようになれます。
 
 また、自身の鉛筆デッサンや鉛筆画を見直し、観察が不十分だった部分を反省し、次回に活かすことも重要です。
 
 細部を描き込むためには、細かな観察力が求められます。ここで紹介しました方法を実践し、観察力を養うことで、より精緻でリアルな花の鉛筆デッサンや鉛筆画が完成するでしょう。 

6 花の鉛筆デッサンや鉛筆画の練習に最適なモチーフの選び方


第2回個展出品作品 トルコ桔梗Ⅱ 1996 F6 鉛筆画 中山眞治


  花の、鉛筆デッサンや鉛筆画を練習する際に、どの花をモチーフに選ぶかは非常に重要です。適切なモチーフを選ぶことで、練習の効果を最大限に引き出し、スキルを効率的に向上させることができます。
 
 本章では、初心者の人から上級者の人まで、それぞれのレベルに合わせた最適な花のモチーフの選び方を解説します。 

(1) 初心者の人向けのシンプルな花の選び方


  鉛筆デッサンや鉛筆画初心者の人にとって、シンプルな形状を持つ花は最適なモチーフです。

 既述していますが、チューリップ・コスモス・スズラン・トルコ桔梗・ユリ等の単純な咲き姿のモチーフで、色は白が良いです。

 花びらの数が少なく、構造も比較的簡単であるため、鉛筆デッサンや鉛筆画の練習には最適です。 
 
 これらの花は、形が明確で描きやすいだけでなく、明暗の練習にも適しています。まずは、こうした単純な花を描くことで、基本的な鉛筆デッサンや鉛筆画のテクニックを身につけることができます。 

 この点も、既述していますが、初心者の人には「白い造花」から始めることをオススメします。

(2) 中級者の人向けの複雑な花のモチーフ


第1回個展出品作品 薔薇 1996 F10 鉛筆画 中山眞治


  鉛筆デッサンや鉛筆画に、少し慣れてきた中級者の人には、バラやカーネーションなど、少し複雑な構造を持つ花がオススメです。これらの花は、花びらが多層に重なり合っているので、細部を描く練習に最適です。
 
 また、バラなどは、立体感を出すために陰影のつけ方が重要であり、この段階でそうしたスキルを磨くことができます。

 中級者の人は、このような花を描くことで、細部への観察力を高め、よりリアルな鉛筆デッサンや鉛筆画を目指しましょう。 

 尚、変則的な描き方にはなりますが、形を整えながら、花びらの光を受けている部分を残す手法が面倒に感じることもあるでしょう。

 そうした場合には、咲いている花全体の位置をコンパスで「大雑把に円を記し」その円の中をHBなどの鉛筆で、一旦、優しく軽く縦横斜めの4種類の線を使ったクロスハッチングで埋めます。

 そして、そこへ「練り消しゴム」を練って、先端を細いマイナスドライバーのような形状にして、光を受けている部分を拭きとりましょう。そして、その後の作業では、濃いところからトーンを乗せていきます。

 徐々に明るいところを描くことで、全体がまとまってきます。花の中心部の雄しべや雌しべについても、「練り消しゴム」を細い「千枚通し」のような形状にして、その位置を確認しながら「点」を打ちましょう。

 その後やはり、濃いところからトーンを入れていきながら、全体を仕上げていきます。筆者の場合には、この描き方の方が楽なので、この方法を使うことが多くあります。

 花の中心部分だけを、この手法で描いていってもいいのです。あなたが描きやすい方法を試してみましょう。

(3) 上級者の人向けの挑戦的なモチーフ


胡蝶蘭の画像です


  上級者の人には、さらに難易度の高い花、例えば蘭やダリアなどの繊細で複雑な花が適しています。これらの花は、独特の形状や複雑なパターンを持っており、描くには高度な観察力と技術が求められます。
 
 蘭のように、花びらが薄く透けるような質感を持つ花は、鉛筆デッサンや鉛筆画の技術をさらに研ぎ澄ますための絶好の機会です。

 また、上級者の人は、こうした挑戦的なモチーフを描くことで、自己の限界を突破し、さらに高度なスキルを習得できます。 

(4) 季節ごとの花を活かした練習


  季節に応じた花をモチーフに選ぶことで、鉛筆デッサンや鉛筆画の練習がさらに楽しく、意義深いものになります。

 春には桜や梅、夏にはひまわりやラベンダー、秋にはコスモスや菊、冬にはシクラメンやポインセチアなど、季節感を感じられる花を選ぶと良いでしょう。
 
 季節の花を描くことで、その時々の風情を作品に反映させることができ、鉛筆デッサンや鉛筆画に対するモチベーションも維持しやすくなります。 

 一年間を通して、誕生月の花を描くことで、シリーズ化することもできますよね。次のよう花の他にも、別の種類の花を持って来て、描くこともできるはずです。

参考:誕生月の花

出典:花工房パルテール https://flowerstudioparterre.jp/blog/birth_month_flower/


(5) 自身のレベルに合った花の選び方のまとめ


  最適な花のモチーフを選ぶことは、鉛筆デッサンや鉛筆画の上達に直結します。初心者の人はシンプルな花から始め、中級者は複雑な構造を持つ花に挑戦し、上級者はさらに難易度の高い花で腕を磨くことが理想的です。
 
 また、季節ごとの花を取り入れることで、練習のバリエーションを増やし、継続的なスキルアップを図りましょう。
 
 適切なモチーフを選び、継続的に練習することで、あなたの花の鉛筆デッサンや鉛筆画の技術は確実に向上します。 

7 まとめ


フウリンソウの画像です


  花の鉛筆デッサンや鉛筆画を成功させるためには、構図の選び方や細部の描き込み、適切なモチーフの選択が重要です。
 
 それぞれの要素を効果的に組み合わせることで、鉛筆デッサンや鉛筆画の完成度を大幅に向上させることができます。以下に、これまでのポイントを踏まえたまとめを箇条書きで示します。 

(1) 構図の選び方


  • 中心構図でシンプルかつ力強い印象を与える。

  • 対角線構図で動きとリズム感を持たせる。

  • 三角構図で安定感とバランスを確保する。

  • 黄金比構図で視覚的に心地よいバランスを実現。

  • スパイラル構図で躍動感を演出し、視線を誘導する。 


(2) 細部の描き込


  • 花全体の構造を理解し、各部分の役割を把握する。

  • 光と影が作り出すディテール(詳細)を観察し、リアルな立体感を表現する。

  • 花びらの縁や葉の脈など、細部に焦点を当てて観察・描写する。

  • 拡大して観察することで、微細なディテールを正確に捉える。

  • 反復練習を通じて観察力を養い、描写の精度を高める。 


(3) モチーフの選び方


  • 初心者はチューリップ及びコスモスやトルコ桔梗・ユリなどシンプルな花を選ぶ。

  • 中級者はバラやカーネーションのような複雑な構造の花に挑戦。

  • 上級者は蘭やダリアなど、より高度なスキルを要する花を選ぶ。

  • 季節ごとの花を取り入れることで、デッサンに季節感とバリエーションを持たせる。

  • 自身のレベルに合った花を選び、適切なステップで練習を進める。 


 これらのポイントを実践することで、初心者の人でもプロフェッショナルな花の鉛筆デッサンや鉛筆画を目指すことができます。

 構図、細部、モチーフ選びのすべてが鉛筆デッサンや鉛筆画の完成度を高める要素であり、それぞれに注意を払うことで、作品に一貫性と魅力を持たせることができるでしょう。

 鉛筆デッサンや鉛筆画の練習においては、継続的な努力が大切です。ここで紹介した方法を取り入れ、練習を重ねることで、あなたの鉛筆デッサンや鉛筆画の技術は確実に向上します。

 
 ではまた!あなたの未来を応援しています。



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