はるのそらと

はじめましてこんにちは。 空とアイスと動物が好きです。 2024年7月22日登録

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わたしの御朱印帳記録

秋の夜長、なんていうように午後五時を回れば暗くなる今日この頃。 すっかり過ごしやすい気候になりましたが、温暖さの激しい日があり油断できない日々が続きます。未だ衣替えを済ませていないわたくしめは、さすがにクローゼットの中をひっくり返さないとなあ、と思っている次第です。 さて、10月は旧暦だと神無月。出雲では神在月なんて呼ばれるとか。 神様が出雲に集結し話し合いを行うなんて、ちょっと人間味があってかわいらしいですね。 そんな2024年の10月に、わたしの一冊目の御朱印帳はすべて

    • 創作記録、書いてますか?

      お久しぶりです。 今年の夏は、暑かったですね。 夏の暑さに負けず、めげず、耐え抜きました。彼岸過ぎれば暑さも収まるという先人の言葉通り、だいぶ涼しい気候になりつつあります。 今年は、食欲の秋だけでなく読書の秋にしたいものです。 さて、今回のタイトル。 創作記録。 いつどこの賞に出し、どんな結果だったか。正直、振り返ってもあまり楽しいものではありません。けれども、記録することで過去が今を支える(変える)こともあるのではないでしょうか? (今話題の野球のように……) わたしの

      • はるのそらと(自己紹介)

        はじめまして、はるのそらとと申します。 もしかしたら、「あなたのことを少しだけ知っているよ」という方もいらっしゃるかもしれませんね。主に、X(旧Twitter)で仲良くしていただいている方などは。 一応、作家志望です。noteでは、作品投稿の他に自身についても書かせていただこうかなと思っております。 初めてまともに小説書いたのは、十数年前。その後社会人になり「本」そのものから離れていた時期もありますが、「やっぱり本(物語)が好きだ!」となり、ちまちまと書き始めました。 わた

        • 暗澹を祓う 終章

          「ねえ知ってる?」  元号が明治へと改まり数年が経った。  江戸の面影は日に日に消え、西洋文化が怒濤の勢いで押し流していく。建築物はもちろん、人々の装いや髪型、文化も江戸のものは少しずつ淘汰されていった。  そんな中、袴を身につけた女学生が桜の木の下で楽しげに言葉を交わす。 「なにかしら?」  春風に舞う髪を耳にかけながら問えば、「この屋敷に眠り姫がいるそうよ」ともうひとりが言った。 「あら、還俗した僧侶と夫婦になった女性が住んでいるのではなくて?」  女学生は

        わたしの御朱印帳記録

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        • 暗澹を祓う
          8本

        記事

          暗澹を祓う 第七話

          七  木戸が閉まる直前に長屋に戻った亘は、みつきに険しい表情で睨まれた。 「遅かったじゃない」  一体なにをしていたの、と言うみつきに亘は口をつぐむ。人ならざる者に襲われた慈円を助けていたとはさすがに言えない。  黙り込む弟にみつきは溜息を吐くと「さっきまでアキちゃん目を覚ましてたのよ」と言った。 「亘に話があるからって必死で起きていようとしていたの。だけど、途中で苦しそうに胸を押さえてね――お医者様を呼ぼうとしたんだけど止められちゃって。だから、呼んでないの」  ごめん、

          暗澹を祓う 第七話

          暗澹を祓う 第六話

          六  慶応四年七月十七日。  江戸は東京と改称された。  だが、名が変わったからと何かががらりと変わったわけではない。人々の生活はいつもと変わらない。 「それじゃあ、わたし、ちょっと出かけてくるけど」  戸惑うような声でみつきが戸を開けながら言う。 「――ああ」  それに短く答えた亘は、みつきが心配そうな視線を向けていたことを知らない。 「すぐ戻ってくるから」  みつきはそう言うなり、ぱたぱたと足音を立てながら出て行った。小さくなる足音を、亘は背中で聞く。 「アキ」  しん

          暗澹を祓う 第六話

          暗澹を祓う 第五話

          五 「しばらく、一人でいようと思う」  皐月ももうすぐ終わり、水無月に入ろうとしているときだった。薄い壁の長屋の一室に三人で暮らし始めて半年近くになろうとしている頃、アキは神妙な顔で言う。 「お前が気に病むことはないだろう」  みつきからお使いを頼まれ、出かけようとしたときのことだ。いつもなら、何も言われなくともついてくるアキが、突然そんなことを口にした。 「そうだよ、アキちゃん。他人のそら似なんてよくあることだし」  だが、「よくあること」で片づけるにはあまりにも目撃が多

          暗澹を祓う 第五話

          暗澹を祓う 第四話

          四  睦月から如月に変わり、梅の花が甘い香りを漂わせる。だが、春の温もりはまだ遠い。  アキと共に住み始め、一月(ひとつき)が経とうとしている。その間に、世の中も将棋の駒のように少しずつ変容していった。  江戸における大きな変化は、新政府に追討令を出された十五代将軍、徳川慶喜が寛永寺に閉居したことだ。上野は今、慶喜を護衛する武士が目を光らせており、近寄りがたくなってしまった。  ふいに思うのは、羅残と一緒にいた慈円という寛永寺の僧侶の存在。彼はあのとき、もしかしたら上野にや

          暗澹を祓う 第四話

          暗澹を祓う 第三話

          三 「亘、ちょっと来てくれ!」  長屋で筆を握り、火除けの札を書いていた亘は短く嘆息した。  今度は一体なにをやらかしたのか。  硯に筆を置き、紙をまとめて立ち上がる。  アキがやってきて十日ほどが過ぎた。同じ長屋の住人には、「遠縁の子を預かった」と言っているが、すんなり納得してくれる者ばかりではない。中には、訝しげな視線を送ってくる者もいる。長屋での孤立は避けられないと思っていたが、思いの外そうならなかった。 「ほら、早くしないか」  どこか尊大な口調ではあるものの、そこ

          暗澹を祓う 第三話

          暗澹を祓う 第二話

          二 「ちょっと待ってください」  依頼人の店へ行ってから数日後、亘は狐顔の店の男に向かって大きな声をあげた。 「今日も会えないとはどういうことか、いい加減きちんと説明していただきたい」  表情が険しくなっていたのだろう。亘と目があった男は細目を見開き、下唇を噛んでいる。場の空気が一瞬にして凍り付いたのがわかるが、引き下がるつもりはなかった。 「で、ですからそう言った約束はしていないと旦那様が――」  亘が眉根を寄せると、男は静かに息を飲み二、三歩後ろへ下がった。 「そんなこ

          暗澹を祓う 第二話

          暗澹を祓う 第一話

           一  するりと冷たい風が首もとをなでて行く。  震える身を抱きしめるように、小袖に入れた両腕に力を込めた。思わずため息をつく。温かな吐息は、あっという間に霧散した。  もう少し着込んでくればよかったかと思う一方、安請負しすぎたかと思う自分がいる。  慶応四年。新年を迎え、本来ならめでたい雰囲気に包まれるはずの江戸は、旧幕府軍と新政府軍が争う、近年では稀にみない内戦状態のせいでどこか暗い。戦地ではないとはいえ、将軍である徳川慶喜が辞職を願い出たり、京の街では暗殺が横行してい

          暗澹を祓う 第一話