見出し画像

【OW2】改めて言いたい。別にマーシーは弱くないよ。と

先日、こういう記事を見つけた。

この記事を始めとして、マーシーというヒーロー、とにかく「弱い」と言われがちだ。
実際、サポートだけでもこれだけのキャラが居るのだから、相対的に弱いキャラの1体や2体は出てくるのは当然だとは思う。
ただ、この記事を見ていると「別にそこを比較して評価する意味はないんじゃないか?」「マーシーの強みはそこじゃないだろう」と思うこともあった。

まず最初に、私は「マーシーが弱い」と思っていない。
OWの統計サイト、オーバーバフで確認すると勝率は真ん中くらい。なんなら皆が好き好んで使っているアナの方がむしろ低い。
特定のMAPでだけ強いキャラは勝率が高く出たり、ピック率が高くなるにつれて勝率が50%に収束したりと統計上の不備があるにはあるが、この場合で参考にする限りでは十分実態を表していると感じる。

PC、プラチナ帯での勝率ランキング。マーシーは上から6番目、高くは無いが低くもない。

最近機会があって、マーシーの本質的な強みに考えることがあったので、折角だからそれを書いていこうと思う。

◇ダメブ


一応ピストルを持ってるが、マーシーがチームの火力に貢献する方法といったらコレ。
対象の与えるダメージ量を25%増やしてくれる。

マーシーが弱いと言う人に「ゼニの火力の足元にも及ばない」と言われがちだ。しかし実態とは異なる。なんならその性質を活かせばゼニよりも火力に貢献できる可能性のあるスキルだ。

まず、完全にフォーカスが合わせられる。
火力そのものを向上させられる都合上、マーシーとダメージブースト付与者の攻撃の着弾は完全に同時だ。上位帯なら統制の取れたダイブ構成で同じようなことが出来るが、そのためには事前のエリア取りやら各々のハンドスキルも必要になってくる。
しかし、マーシーならブロンズ水準のハンドスキルでも同等のフォーカスを実現可能だ。

更に言えば、ゼニヤッタも火力での貢献が得意なヒーローだが、生存性、機動力の両面において火力を出せる範囲は敵の前線に限られる傾向がある。
マーシーであれば、敵後衛に奇襲をしかけるDPSに追随できるし、こと「火力で支援できる範囲」においてマーシーは優秀なヒーローであると言って良いだろう。

次に確定数の変化。


キャラの基礎HPが250である現在、相手を倒すのに必要な段数が、シンメのサブ射撃なら3発必要なのが2発に、キャスディであれば4発から3発(それに伴いHS→胴撃ちで敵を倒せるように)、HSしてもワンパンにはちょっとだけ足りないハンゾーも相手をワンパンさせてくれる。
そして競技シーンでの花形、ソジョーンのレールガンもワンパン可能...にはならない。
130×1.5(HS倍率)×1.25=243.75
微妙に足りない。これが出来ていたら強かった。

で、何が言いたいのかというと、この性質を活かすと、ゼニヤッタが居るチームに対してマーシーが居るチームがキルレースで優位に立つことも構成によっては十分あり得る。ということだ。
当たり合いの前にダメブのついたハンゾーが頭に当ててそれだけで1キル。とかね

ちなみにこのゲーム、タンクもDPSもずっと火力を出している訳じゃない。
ハルトなら盾を張る間は守るだけ、ソルジャーは高台の移動中は攻撃出来ないし、ハンゾーの電光石火は凄まじい火力を叩き出せるが、発動には8秒のCTがある。
そして、ハルトがハンマーの射程に相手を捉えたときに、ソルジャーはベストなポジションにたどり着いたときに、ハンゾーが電光石火を発動したときに、各々、その一瞬に凄まじいダメージを叩き出す訳だ。
OWというゲームの一試合は、火力を出す時間と出さない時間、これの往復である。

もし、その火力を出す瞬間すべてにダメブが付与されたとしたら?
マーシーにはガーディアン・エンジェルという高機動スキルがある。理論上全てとはいかなくても、プレイヤーが機動力を最大限発揮し、その多くの火力を叩き出す瞬間にダメブを付与し続けた場合、DPS一人に匹敵する火力を叩き出すことも夢ではない。

そしてそこから派生した話だが、マーシーのダメブは「バフをかけた対象の攻撃手段に乗っかること」ができる。
ゼニヤッタは火力を出せるが、その手段は実弾に限られる。
対面のシグマがキネティック・グラスプを発動したら、発動中そのシグマに弾は通らない。

しかしマーシーであれば違う。ハルトのハンマーにダメブしてもいいし、最大チャージのシンメトラにダメブをしてやっても、その防御手段をすり抜けることが出来る。

ゼニヤッタの攻撃やアナの阻害なんかは盾を出せばそれで防げる場面が多い。
敵の後衛に攻撃した所を、対面のシグマやハルトが的確にシャットアウトしてきたら、肝心な場面でゼニヤッタやバディストではダメージを出すのが難しい場面も存在するだろう。

でもマーシーならそんなこと関係ない。飛行能力を備えたファラにでもダメブを付与すれば、距離減衰無し、着弾時爆風をまき散らすロケットランチャーでもって、盾の上から敵後衛を爆撃してくれるだろう。

と、ここまで書いたが、これがマーシーの火力による貢献のやり方になる。「ダメージブーストはDPSの4分の1しか火力が出せない。マーシーは攻撃性能が低いキャラだ」なんてのはナンセンスな批判であると分かってもらえただろうか?

他にも「対象のULTゲージを1.25倍で貯められる」とか(ナノ竜剣をしかけたかったりDvaのメックを早く呼びたいときに特に有効)ダメブの有効性について語ろうと思えば語れることは存在するが、ここら辺にしておこう。

◇リザレクト
このスキル、本質はライフグリップである。
「え?」と思った方に説明していこう。

まず、OWというのはリソース量でのレースに言い換えられる。
それはエリアであったり、チームのHPであったり、スキルのCTであり、ULTのゲージでもある(なんなら時間も重要なリソースの一つだ)。
いかにこれらを相手より多く確保し、戦闘を有利に進めるか、どのリソースを他の種類のリソースに変換し相手に差をつけるか。というのが試合を通して行われるやり取りである。

たとえばだ、
相手のソルジャーが展開してきたとして、そこに味方のDvaとゲンジが突っ込み、アナが阻害を投げ込んだとしよう。
それをライフグリップで回収されてしまう。
スキルのCTだけでも相当なものをついやしたのに、相手のライフグリップ一つで全てをいなされてしまったのだ。

言うなれば「ライフグリップというスキルのCTとこちらの注ぎ込んだリソースをトレードしてきた」のである。
このトレードをいかに相手に押し付けられるか、それがライフウィーバーの戦い方であり、その実力が発揮される瞬間と言ってもいい。

そして、それはマーシーも同じことが可能だ。
たとえば、ナノ竜撃剣で味方のアナが殺されてしまったが、味方がエリアを明け渡しながら耐え、アナを蘇生することで持ち直すことが出来たとする。

この場合、ナノ竜撃剣を放つのに使ったリソースに対して、リザレクションのCTとエリアのトレードが成立したと言い換えてもいい。

こういったケースは、わざわざナノ竜剣を蘇生するシチュエーションに限らない。
敵が総攻撃をラインハルトに加え、ラインハルトが落とされてしまった。なら、ラインハルトを蘇生して、「ラインハルトを落としたのに使ったリソース」とトレードすればいい。
相手のウィドウメイカーは時間をかけて、ついに味方のソルジャーの頭を抜くことに成功した。なら「ウィドウメイカーがHSを成功させるのに使った時間」とトレードしてやればいい。

当然、蘇生されたキャラが行ったアクションの対応も相手に押し付けられるのだから、相手のアクションに対し、CT30秒のスキルとの単純なトレードでは収まらない。というのは言うまでもないだろう。

こうしたリソースの強制トレードこそがマーシーの蘇生の本質であり、「そもそも味方がキルされない方が根本的に良い」という批判がナンセンスな理由でもある。
(そもそも砂のHSによる死など他のサポでは対応しにくい攻撃手段も存在する)

ちなみにだが、マーシーの蘇生に対する批判として
「初心者帯なら通じるが、上級者同士になると途端に対応されて成功しなくなる(だから弱い)」というものがある。

実際、言いたいことはわかる。なんならマーシー自体が蘇生中は棒立ちになるため、別に間違ったことは言っていないだろう。対策が浸透してキャラの強みが活かしにくなるのはよくあることだ。
が、実はマーシー、一度蘇生の成功率が跳ね上がるバフが行われており、シーズン10の現環境だと蘇生が阻止しにくい傾向にある。

それが

◇基礎HP250による恩恵。

これだ。ピンと来た方もいるだろう。
弾のサイズの増大と引き換えにもたらされた基礎HPへのバフだが、そもそも最初から棒立ちのキャラにとっては「ただのHP増加」にしか働いていない。

それこそ、ULT中棒立ちになる代わりに被ダメージが50%カットされるキャスディは、その実質HPの大幅バフによってOWCSの大会ではマストピックにまで上り詰めている。
そして、マーシーもその恩恵を最も強く受けたキャラの1体である。
200ダメージ与えたら阻止できたのが、追加で50もダメージを与えないといけないのだから。

実際私がプレイしていても、火力が足りず阻止できない場面が目に見えて増えた。

◇結局マーシーって強いの? 弱いの?


ではここまで書いたので「マーシーはなぜ弱いと言われるのか」に対する私の答えを書こうと思う。

何故、マーシーは他のヒーローに対して弱いと言われているのか、それは

「運営が数値をそう設定したから」である。

それこそ、コンセプト倒れで他サポの下位互換みたいなスキルセットであれば「明確に弱い」と言えるだろう。が、マーシーにはマーシーにしか出来ないことが多い。
蘇生しかり、ダメブしかり、特定のヒーローに対するポケット性能しかり。だ。

もし、蘇生が成功しなければ運営が「これまで死んでいた蘇生も成功させられるように被ダメカットをつけました」「ルシオやDvaにノックバックされて妨害されることが多いので蘇生中ノックバック耐性をつけました」「蘇生が成功してもその後5秒以内に落とされるデータが多いので、成功時HPを100回復させます」とかテコ入れすればいい。
ダメブが有効じゃないとデータが出れば、倍率を1.25倍にせず1.3倍にでも1.4倍にでもすればいい。そうすればユーザーの認識上でも、どこかのラインでゼニヤッタに火力で簡単に並ぶことができるだろう。
マーシーがポケットしているファラやゲンジ、ソルジャーが簡単に死ぬようなら、回復量を上げまくればいい。
瀕死の味方に対する回復量が底上げされた結果「ファラマが死ななさすぎる!」と有名ストリーマーが声明を出していたのを見たことがある。最近DPSパッシブが20%に再修正されたが、それに従って回復量を秒間60でも65でも上げればそれで解決する。どこかのラインで、「マーシーにポケットされたゲンジが止まらなさすぎる」とかユーザーは騒ぎ出すことになるだろう。

客観的な意見としては、そこまで頻繁に性能が変更しているわけでもないので、実態としては他のサポートと比較して相対的に弱いのではないはずだ。

で、個人の意見として今のマーシーが強いか弱いかと言えば、私は強いと思っている。
設定された数値をベースに語れば、蘇生が止まらない場面が多くなった。強さに占めるウェイトはこれが大きいだろう。これが強すぎて大幅な上方修正は無いのではないかと思う。

「OWに必要なことを遂行できない・できにくい」とも思わない。なんならオーバーバフ上でも勝率は決して低くないし。
自分からすると、今の環境のアナでそれを行う方がよっぽど難しい。相手がホグやマウガでないなら、阻害を入れても有効な場面は限られるし、その短い合間に適切に阻害を入れないと火力で貢献することは出来ないのだから。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?