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普段使いの君へ(万年筆)

私が普段使用している万年筆は2本ある。PILOTルシーナと、セーラー万年筆 レクルである。今回はレクルへの愛をつらつら語る。
(個人的にレクルは低価格帯万年筆の中でトップクラスに好きなのだが、いかんせんコクーンとか、プレジールとか競合が強すぎる…)

デザイン

レクルには沢山のカラーバリエーションがあり、私が使用しているのは「アイアンブルー」という色だ。

金属部分はブラックの加工がされており、大人の男の色気を醸し出すと共に、落ち着いた筆記を提供する。まさに私に相応しい一本ってことだ(?)。

また、ボディの深い青はどことなく暗い海を感じ、握るたびに、自分の手で地球の内部に到達したような錯覚を覚える。

また、キャップを閉じると、蓋栓と尾栓が黒でまとまっているのも良い。万年筆という個体が、それだけで完結しており、次に開かれるまでの孤独に耐えている。まあ、キャップを開かれて書かせられる言葉は私の孤独ですがね…。

書き心地

初めてレクルで言の葉を綴った瞬間、私は驚いた。書き心地がカリカリしていたのである。なんだ…これは…不良品か…?と軽い絶望に襲われたのである。それまで、ヌラヌラしか体験した事の無い私にとって、その衝撃は初めて陸に上がった魚類と同じであった。

カリカリ感に慣れなかった私は、レクルを机の奥に封印した。しかし数日後にはまた青いボディを手に取っていたのである。粗暴なイケメン転校生、あるいはツンデレ幼馴染に惹かれるように、ギャップは人の心を奪う。それまでの「万年筆の書き心地はこうだ」という固定観念をひっくり返してくれたレクルに、私は惚れた。

インクフロー

レクルにはセーラーの純正黒を飲ませている。インクが良いのか、ペン先が良いのか分からないが、レクルはインクフローがそこそこ良い。そのためカリカリしているものの、心地よさが生まれる。

また、私は書いた直後の乾いていないインクが好きだ。乾いていないインクの光は、ただの色のついた液体が、文字として書かれ、意味を持ってペン先から滲み出る際に、産声の代わりに見せる煌めきである。

インクと石油は出れば出るほどよい。

少し小言

これはセーラーの万年筆全般に言えることなのだが、ペン先が乾くのが速い。季節にもよるが、1分ほど書く手を止めると、一画目のインクが出ないのである。いや、これは試されているのかもしれない。思考を止めるなと、常にアウトプットを意識し続けろというセーラーからのメッセージなのかもしれない。なんと意識の高いことだ…

結論

セーラー万年筆 レクルはいいぞ。安い万年筆なので、個体差はあるかも知れないが、買ってみる価値はある。

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