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あとは船だけ(万年筆)

多くの人は鉄ペンに1万円以上払うなら、金ペンを買いたくなるだろう。だが、価格1万円の鉄ペン、カスタムNSが私は好きだ。そのことについてつらつらと語りたい。

タイポじゃないよ

「ああ、PILOT社のカスタム74でしょ、傑作万年筆だよね」と少しでも万年筆を知ってる方は誤読されるかもしれない。だが残念、私が言っているのはカスタムNSである。

カスタムシリーズの入門向け、鉄ペンであり、キャッチコピーは 次世代へ「想い」をつなぐ万年筆 である。正直キャッチコピーに関しては、疑問が湧き出てくる。疑問の発散境界である。「想い」とは誰のどのようなものか、つなぐのは誰なのか?解釈や解答があれば教えて欲しい。意味不明な事を言っていても好きとは、恋は盲目である。

モチーフ

NSとは羅針盤のN極S極を表す。進むべき方向を示してくれる羅針盤のおかげでヨーロッパ人は新大陸へと向かった。ペンにだって似たようなところはある。やる事を書き出し、自分の感情を紙にまとめることで思考を整理する営みは、おのずと自分の行動をあるべき姿へ導いてくれる。

また、若者向けに親しみやすいカラーリングや形状となっている(らしい)。ただ若者に限らず、カジュアルに幅広い年代が使えるものであると感じる。まあ、永遠に18歳の心を持った私にとっては、常に最適な一本というわけだ。

デザイン

さて、それでは観賞しよう。

全体的に丸みを帯びたシルエットは、女性的な美しさを漂わせる。また、金属部分がシルバーでまとめられていることで、いやらしさが無くなり、爽やかな気高さを感じる。

全体的な規格はまさに「ちょうどよい」。ちょうどよいという言葉は、カスタムNSを表すために生まれたのだろう。太すぎず細すぎない軸は、様々な手に適合する。初めてカスタムNSを手にした瞬間、その美しさと筆記感に私の手は感動を覚え、意思に反して私への感謝の手紙を書き始めた。

誰が何と言おうとこれは海

さて、デザインの一番のアピールポイントがキャップの先端にある「海」である(PILOT社曰く)。海…?あー…海ねぇ…。確かに全体的にシンプルなデザインに対して、作り込まれた、さりげないチャームポイントとしての青を、私はたまらなく好いている。キャップを上から覗き込む、あまり見ない角度で鑑賞することで、より鮮やかに浮き出る青色は、ささやかに自己主張をしている。

だが、海では無くないか…?海ってもっと広大で…いや待てよ?PILOTにとって海がこんなに小さく見えるということは、この青い点は宇宙から見た海なのではないか?つまりカスタムNSがしている航海は、海上ではなく、宇宙旅行なのでは無いかと思索する。次世代の、宇宙というフロンティアへ舵をきった、人類の道しるべとなるような万年筆なのである(個人の妄想です)。

照れ屋さん

あまり知られていないが、カスタムNSは褒めちぎると、照れて白くなる。

私のカスタムNSも照れて白くなった。

結論

カスタムNSはいいぞ!この万年筆は、鉄ペンの最高峰だと勝手に思う。是非、1本ふところに入れて、社会の荒波を航海してみては?

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