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トークセッション:ソーシャルグッドな事業と「ブロックチェーン」の関係性とは?

2024年6月26日 、Web3の技術を活用したソーシャルグッドな事業に焦点を当てたオフラインイベント「ソーシャルグッドな事業と「ブロックチェーン」の関係性とは?」がNagatacho GRIDにて開催されました。
このイベントでは、CARBONTRIBE、HARVEST FLOW、Klima DAO、SINRA の4つのプロジェクトの代表が登壇し、Web3技術がどのように社会課題の解決に貢献できるのか、具体的な事例や今後の展望について議論しました。

パネルディスカッションでは、「web3 を使った社会課題解決で起業するには?」をテーマに、熱い議論が交わされました。



登壇者紹介

矢野さん:コンピュータービジョンとWeb3を活用したカーボンクレジット生成プラットフォームの開発を行うCarbontribe Labsの共同創業者。資源をデジタル資産に変換し、新しい経済の仕組みづくりを目指す。

南出さん:Apas PortのCTO兼HARVEST FLOWのプロダクトマネージャー。ドイツと日本で、ブロックチェーンエンジニア、Web3プロジェクトマネージャー、起業家として活躍。マーケティングと技術の両面から、Web3プロジェクトの成功に貢献。

F太郎さん: クリプト投資家からReFi(再生金融)の専門家へ。KlimaDAO JAPAN株式会社を設立し、日本でのReFi普及活動にも尽力。

大澤さん:コンサルタントとして11年の経験後、三ッ輪産業株式会社で経営改革や新規事業立ち上げに従事。現在は株式会社paramita共同代表としてSINRA、Local Coop等のサービスを推進。

渋たつ: 東京大学3年生、AI+DAOATHON運営チーム。本郷Web3バレーの代表。


各プロジェクトの取り組み


透明性と効率性を追求したカーボンクレジット市場を創出:

CARBONTRIBE 矢野氏 トップバッターは、昨年10月に設立されたばかりのスタートアップ、CARBONTRIBEの矢野氏。自然資源とWeb3技術を融合させ、新たな収益モデルを創造する挑戦について語りました。

森林×Web3でグリーンウォッシュ問題に挑む CARBONTRIBEは、森林のCO2吸収量や亜酸化窒素(N₂O)削減量をカーボンクレジットとして生成・認証し、自動でNFT化するプラットフォームを開発しています。 従来のカーボンクレジット市場は、透明性や効率性の低さが課題とされてきました。そこでCARBONTRIBEは、コンピュータビジョンを用いたMRV(測定・報告・検証)と独自のスタンダードを導入することで、グリーンウォッシュを排除し、信頼性の高いカーボンクレジット市場の創出を目指します。

グローバルなチームで実現する未来 ヨーロッパでプロダクト開発を行いながら、アジア・アフリカで実証実験を進めるなど、グローバルな展開も視野に入れているCARBONTRIBE。Google、Niantic、コペタビジョンといった錚々たる企業出身者で構成されたチームにも、未来への期待が高まります。

リアル×Web3で持続可能なエコシステムを構築:

Apas Port 南出氏 続いて、NFT/トークン販売支援や海外プロジェクトのマーケティング支援で豊富な経験を持つ、Apas PortのCPOである南出氏が登壇。Web3の持続可能性という課題意識から生まれた、新たなレンディングサービス「HARVEST FLOW」について語りました。

投機性を超えて、社会貢献へ 従来のWeb3プロジェクトは、短期的な利益を追求する投機的な側面が強いという課題がありました。「HARVEST FLOW」は、暗号資産を活用したレンディングを通して、世界中のソーシャルグッド事業を支援することで、この課題を解決しようとしています。

「HARVEST FLOW」で実現する、透明性と参加の機会 「HARVEST FLOW」は、IoTデバイスを活用することで、資金の流れを透明化し、投資家が安心して参加できる仕組みを構築しています。 現在、カンボジアのトゥクトゥクローン事業へのレンディングを皮切りに、7月末にはプロダクトの最初のバージョンをリリース予定とのこと。エンジニア、マーケターなど、開発に興味のある方の参加を呼びかけています。 

ブロックチェーンでカーボンクレジット市場に革命を:KlimaDAO F太郎氏 KlimaDAOジャパンのディレクターを務めるF太郎(ハダ)氏は、ブロックチェーン技術を活用し、カーボンクレジット市場の変革を目指すKlimaDAOの活動内容を紹介しました。

気候変動対策への資金流入を促進 KlimaDAOは、ブロックチェーン技術を用いることで、カーボンクレジット市場の透明性と効率性を向上させ、より多くの資金を気候変動対策に呼び込むことを目指しています。 •

日本版マーケットプレイス開発、ステーブルコイン決済も グローバルなカーボンクレジットのマーケットプレイスを運営するKlimaDAOは、現在、日本版マーケットプレイスの開発にも取り組んでいます。さらに、JPYCなどのステーブルコインで購入できる機能も開発中で、より参加しやすい環境作りを推進しています。 

コ・ベネフィットで社会課題解決にも貢献 KlimaDAOは、気候変動対策に加えて、地域社会への貢献も重視しています。例えば、クリーンな水へのアクセスを提供するプロジェクトに投資することで、CO2排出削減と生活水準の向上を同時に実現しています。

NFTで日本の森林保全に新たな光を:

大澤氏 最後に、日本の森林問題に独自の視点で取り組む大澤氏が登壇。森林保全活動の現状と、NFTを活用した資金調達という革新的な取り組みについて語りました。
森林の荒廃は、日本の未来を脅かす 日本の森林は、木材価格の低迷により、伐採後の植林が行われず、荒廃が進んでいます。これは、土砂災害のリスクを高めるだけでなく、生物多様性の損失にも繋がっています。
炭素埋設で、土壌から生物多様性までを再生 大澤氏は、荒廃した土地に炭を埋設することで、土壌の保水力を高め、植物の生育を促す活動などを行っています。この活動は、CO2の吸収だけでなく、水質改善や生物多様性の回復にも貢献しています。
NFTが切り拓く、森林保全の新たな資金調達 森林保全活動は、補助金制度の対象外となるなど、資金調達が課題となっています。そこで大澤氏は、NFTを活用することで、活動の透明性を高め、共感を呼ぶことで、新たな資金調達の道を開拓しています。

トークセッション(会話要点)

矢野さん SaaSで上場企業の平等シートを公開・サービス化し、企業にDSG投資を促すことで差別を減らすビジネスアイデアを提案。従来のアクティビスト的な活動ではなく、資本主義の仕組みを利用する点がポイント。このアイデアは、今までアクティビストが行ってきた活動を、企業への投資家からのプレッシャーを通して、健全な資本主義の中に取り込む試みであると考えている。
大澤さん 最近のESG投資のトレンドとして、気候変動と並んでダイバーシティ&インクルージョン(D&I)が注目されていることを指摘。矢野さんのアイデアはD&Iにも繋がる可能性があると示唆。ESG系の話で言うと、気候変動と並んで、ダイバーシティ&インクルージョンがグローバルで注目されている。矢野さんのアイデアは、個人のエンパワーメントや多様性の受け入れといった点で、このトレンドと合致する可能性がある。
F太郎さん ブロックチェーンを使った再生金融(ReFi)のプロジェクトを紹介。環境問題だけでなく、プラスチックのトレーサビリティや児童労働問題など、社会課題解決にもブロックチェーンが活用されている事例を挙げる。ReFiでは、カーボンクレジット系のプロジェクトが多いが、プラスチックのトレーサビリティや児童労働問題など、社会課題解決にブロックチェーンが使われている事例もある。ESGのSとGは難しいテーマだが、注目している。
渋たつ ReFiのプロジェクト事例に関心を示し、S(Social)に特化したプロジェクトが少ないことに疑問を呈する。Z世代を中心に社会課題への関心が高まっていることから、Web3を使った社会課題解決ビジネスの可能性について言及。ReFiはカーボンクレジット以外の事例が少ないと感じている。Z世代の社会課題への関心の高まりを考えると、Web3を使った社会課題解決ビジネスは可能性があるのではないか。
南出さん Web3で社会課題解決ビジネスを始めるには、課題の深い理解と、Web3を使う明確な理由が重要だと指摘。課題解決には、実際に現場に足を運んでみることを推奨。Web3で社会課題解決ビジネスを始めるには、課題の深い理解と、Web3を使う明確な理由が重要。課題解決には、実際に現場に足を運んでみるのが良い。
南出さん ドイツは思想を学ぶのに適しており、Web3のユースケースも豊富だと紹介。ドイツは思想を学ぶのに適しており、Web3のユースケースも多い。
大澤さん 日本の地方は社会課題の宝庫であり、Web3活用の余地が大きいと指摘。地方の課題解決に興味があるなら、現地で活動する人々と繋がることを提案。日本の地方は社会課題の宝庫であり、Web3活用の余地が大きい。地方の課題解決に興味があるなら、現地で活動する人々と繋がるのが良い。地方ではWeb3に対する抵抗感もあるが、Web3を活用したいというプレイヤーも増えており、黎明期を迎えている。
渋たつ ドイツ在住の矢野さんに、ドイツにおけるWeb3の活用事例を尋ねる。
矢野さん ドイツでは、制度の不備や金融システムの未成熟さを背景に、Web3が現実的な解決策として受け入れられていると説明。アメリカや日本とは異なり、必要性に基づいた活用がされていることを強調。また、ドイツでは世界初となる技術やサービスを生み出すことに対する意欲が高い一方、日本は海外の成功事例を参考にビジネスを展開する傾向があると指摘。ドイツでは、制度の不備や金融システムの未成熟さを背景に、Web3が現実的な解決策として受け入れられている。アメリカや日本とは異なり、必要性に基づいた活用がされている。また、ドイツでは世界初となる技術やサービスを生み出すことに対する意欲が高い一方、日本は海外の成功事例を参考にビジネスを展開する傾向がある。


質疑応答

渋たつさん: それでは、パネルディスカッションに移りましょう。参加者の方々からの質問を受け付けます。
参加者: 日本はWeb3やブロックチェーンの分野で海外に比べて遅れているのでしょうか?
F太郎さん: 2017年頃は日本が仮想通貨大国と言われていましたが、取引所の流出事件などをきっかけに規制が強化され、大きなプロジェクトが生まれにくい環境になってしまいました。制度は充実している一方で制約も多いのが現状です。
南出さん: Web3は国際的な側面が強く、日本の遅れは感じません。2017年頃は渋谷が盛り上がっていましたが、最近は落ち着いていますね。
参加者: 気候変動関連のビジネスが多いようですが…
F太郎さん: Web3はツールであり、気候変動対策にも活用できます。カーボンクレジットの枠組みとブロックチェーンの親和性は高く、世界経済フォーラムなどでも注目されています。ワールドコインのように、ベーシックインカムの仕組みにも応用されています。
参加者: 本日はたまたま来たのですが、東大で森林科学を専攻しており、カーボンクレジットと自然の可視化に興味があります。 学生時代にEVを開発する会社を立ち上げ、シリーズAを終えたところです。高校生の頃からブロックチェーン技術に注目していましたが、Web3業界を見ていくうちに、ガバナンスや倫理観の重要性を感じ、一時期は興味を失っていました。皆さんのWeb3に対するパッションを聞かせてください。
F太郎さん: 私も最初はWeb3で起業するつもりはありませんでした。2017年から仮想通貨に触れ、2019年頃からブロックチェーンを使った社会課題解決に取り組むようになりました。KlimaDAOの活動を見て、気候変動対策にWeb3を活用できることに可能性を感じています。 エンタメ的な要素も楽しみつつ、今は気候変動問題に真剣に取り組んでいます。子供たちの世代に良い未来を残したいという思いが、私の原動力です。
渋たつ: 矢野さんは、Web3に対するパッションをどのように表現されますか?
矢野さん: Web3は様々な可能性を秘めた技術であり、私は「手のひらに乗る魔力」だと感じています。
渋たつ: 大澤さんはいかがでしょうか?
大澤さん: Web3の話とは少しずれますが、日本の林業は危機的な状況です。補助金頼みで、経済合理性が成り立たず、放置された森林は生態系や災害リスクに影響を与えます。カーボンクレジットも重要ですが、私は地元の美味しい魚や人々の暮らしを守りたい。日本の林業に光を当て、未来を担う人を増やしたい。
参加者: ローカルに根ざしながら、グローバルな視点を持つことが重要です。
大澤さん: ブロックチェーンやWeb3を活用し、海外からも資金を調達したいと考えています。日本の課題解決は、世界への貢献にも繋がります。まずはこの地域で、世界一の林業地を目指します。一次産業の若手として、これからも頑張っていきます。


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