秋が過ぎ、冬が来て
今年も季節がやってきて、今を過去へと連れ去ってく。
暖かい春、蒸し暑い夏が過去となり、今や秋すら過去になってきている。
今はただ冬を受け入れよう。降りしきる雪に沈黙するアスファルトのように。
何もかも新鮮な春だった。目に見えているものすべてが輝かしく見えた。いや、確かに輝かしかった。今となればセピア色になってしまったが。
触れるか触れないかの距離、未知との遭遇、生誕、すべてが尊重されているように思えた。とても素敵だった。
身体の疲れも忘れる夏だった。寝るまでは朝になってもずっと夜だった。熱狂し、我を忘れ、身を溶かすような日々を過ごした。それもきっと、もう後の祭りなのだろう。覚えてはいるが、確かになくしてしまったものも、多々あるものだ。すべては落ち葉に隠されてしまった。
欲の秋だった。欲しがるものは欲しがり、足りないと思えば求めた。それはかえってむなしさも生じてしまったのかもしれない。そして変化を求めるにもかかわらず、変化を恐れて億劫にも感じてしまった。愚かかもしれないが、賢くもあった。
そして、冬が来た。恐れていたものもこういうものかと納得し、変化のための身支度を始めた。また、雪が降るだろう。それぞれの轍は雪で真っ新な白となり、新たな歩みを刻み付けるだろう。そしてまた、春が来て….
願わくば、忘れぬよう、無くさぬよう、残してはおきたいが。重い荷物となってしまうだろう。少量の荷物だけ詰めて、また季節を迎えるとしよう。
それじゃア暫く、また明日。
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