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【書評・感想】スマホ脳 アンデシュ・ハンセン(訳:久山 葉子)

この本は、人間の進化と脳の関係から、スマホが人間の脳には適していないことを説明している本です。

なぜ、スマホに依存してしまうのかを脳科学の観点からわかりやすく説明しています。スマホ依存への対処法も明示されているので、とても参考になります。

現在、私たちは平均すると1日約4時間スマホを利用しているそうです。

私自身、スマホの使い過ぎで体調が悪くなったと感じたことがあったため、スマホとの付き合い方を見直すきっかけになればと思い本書を手に取りました。

著者のアンデシュ・ハンセン氏はスウェーデンの精神科医です。スウェーデンでは、2011年頃から精神科を受診している人の数が急増しているそうです。2011年に何があったかというと、スマホが全世代に広く普及した年のようです。ハンセン氏も本書の中で指摘していますが、スマホの普及が精神科の受診を増加させたのかについては、明確な因果関係は説明できないそうです。

しかし、何かしらの影響を及ぼしていると個人的にも思います。

スマホが原因で少しでも体調が悪くなったと感じたことのある方、スマホの使い過ぎはよくないなと少しでも感じている方に、おすすめの一冊です。


【著者紹介】

アンデシュ・ハンセン氏 

スウェーデンの精神科医。カロリンスカ研究所(カロリンスカ医科大学)にて医学を、ストックホルム商科大学にて企業経営を修めた。

主な著書・・・一流の頭脳、スマホ脳

【印象に残ったポイント】

”主体的な時間を持つことの大切さ”

あなたがフェイスブックやインスタグラム、ツイッター、スナップチャットに費やす1分1分が、企業にとっては黄金の価値を持つ。広告が売れるからだ。彼らの目的は、私たちからできるだけたくさんの時間を奪うこと。(スマホ脳、アンデシュ・ハンセン)

私は、休日に、ベッドの中でグダグダとスマホでyoutubeとかを見て過ごしてしまっていることがあります。気づいたら時間が経っていて、やりたかったことを先延ばしにしてしまったり、グダグダしているうちに外が暗くなり、何もしないで1日が終わってしまった日もありました…

この言葉を見て、自分でも気づかないうちに、企業の戦略にまんまとはまってしまっていることに気づきました。

スマホでのyoutube等の利用の仕方、例えば、時間を決めてみるとか、スマホでは見ないでパソコンで見るとか、自分の中のルールを決めることが大切なんだと思います。

そして、スマホ等の利用を減らし、自分の主体的な時間を持つことで、きっと前向きな人生が過ごせるのだと思います。

”ネガティブな感情がポジティブな感情に勝るのは正常なこと”

ネガティブな感情はポジティブな感情に勝る。人類の歴史の中で、負の感情は脅威に結びつくことが多かった。そして脅威には即座に対処しなければいけない。食べたり飲んだり、眠ったり交尾したりは先延ばしにできるが、脅威への対処は先延ばしにできない。強いストレスや心配事があると、それ以外のことを考えられなくなるのはこれが原因だ。(スマホ脳、アンデシュ・ハンセン)

スマホ脳、アンデシュ・ハンセン

私は、仕事のことやプライベートで辛い経験があると、そのことばかり考えてしまい、憂鬱な気分になったり、寝つきが悪くなったりすることがあります。

この現象は私の性格の問題なのかと思っていましたが、脳が正常に動いている証拠なんだということがわかり、少し安心しました。きっと、多くの人が経験していることなんですよね。

”深く考えるとは何か”

カーは、インターネットは本とは真逆の存在だと考えている。インターネットは深い思索を拡散してはくれない。表面をかすめて次から次へと進んでいくだけだ。目新しい情報とドーパミン放出を永遠に求め続けて。

(スマホ脳、アンデシュ・ハンセン)

カーとは、ニコラス・カーという作家のことです。

この文章を読んで、前回紹介しましたレイ・ブラッドベリの小説華氏451度を思い出しました。華氏451度の世界でも、人々が科学技術に魅了され思考が浅くなっていることを描いています。レイ・ブラッドベリが危惧していた状況が今まさに起こっているのかもしれません。

確かに、インターネットには情報が溢れすぎていていて、何が正確な情報なのかの取捨選択ができないと間違った情報を鵜吞みにしてまう可能性があります。また、情報が溢れすぎていて、自分には必要のない情報まで見てしまうこと、次から次へと情報が入ってくるので、自分の中で考える時間がないなと感じることがありました。

一方で、本は自分の頭で考えるために立ち止まることが自由にできますし、出版されるにあたって、多くの人が吟味に吟味を重ねていると思いますので、言葉や内容についても信頼できます。本を読んで考えることの大切さを改めて感じました。

ところで、よく深い人、深く考えるという言葉を耳にします。深く考えるとはどういうことなんだろうかと自分なりに考えた結果、一つの物事に対して、様々な立場から考えれることなんだろうなと思いました。そして、様々な立場から考えるためには、色々な人の考え方を学ぶことが必要だと思います。そのために、今後も読書をしていこうと思います。よく読書は作者との対話といいます。本を通してこれからも、色々と吸収していきたいですね。また、現実でもいろいろな人と交流していくことが大切なんだと思います。(あまり得意ではないですけど・・・)

”運動の大切さ”

多くの人がストレスを受け、集中できず。デジタルな情報の洪水に溺れそうになっている今、運動はスマートな対抗策だ。最善の方法といっていいかもしれない。

(スマホ脳、アンデシュ・ハンセン)

この本では、週に2時間の運動をお勧めしています。運動の中でも心拍数を上げる運動が一番いいそうです。
学生時代は運動をする習慣がありましたが、社会人になってからは全然継続的な運動はできていませんでした。そこで、私は最近登山を始めました。最初は低山からということで、近場のところに行っています。私の感覚としては、ウォーキング以上ランニング未満の負荷に感じ、結構楽しく続けられる気がしています。私は、ランニングは3日坊主で終わってしまうことが多かったのですが、登山は続けられています。ランニングし終わった後の気持ちいい感覚が好きな人には向いている気がします。
何でもいいので、自分にあった続けられそうな運動を継続して行うことが大事なんだと思います。

最後に


この本を読んで、スマホなど便利な道具との付き合い方を考えさせられました。特にスマホは、気づくと触っており、使い方次第では自分に悪い影響を及ぼしかねません。一方で、スマホなど便利な道具は使い方次第では、自分にとってプラスになるとも思います。
使用時間の制限など自分なりのルールを作って、利用していきたいと思わせてくれた本でした。
ぜひ読んでみてください。



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