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堕ちていくのも...

 断酒20年のヨウスケです。

 我が家に突然仔犬がやってきたことで家の中の空気も変わりました。ほとんど無かった家族との会話もコロの話題で増えてきました。

 夕方の散歩は仕事が無い日の私の役割でした。酔っ払った状態でまだ明るい近所を歩くのもさすがに気が引けます。

 散歩中にコロと名付けた近所の小学生たちに会うと「コロちゃん」とみんな寄って来ますが、私が酔っているのですぐ去って行きます。

 悲しいような、情けないないような...。

 前々回に書いた草抜きのボランティアとコロの散歩で多少の生きがい?も感じることもあり、少しずつこの生活から抜け出したいと思うようにはなってきました。

  とはいえ、相変わらず一度大酒を飲んだら連続飲酒に入り、ぶっ倒れるまで飲むパターンは相変わらずでした。

 飲んだ時の乱れ様も酷くなってきて、親友達と飲みに行っても口喧嘩になることも多くなってきました。

 ある日、親友の1人と些細なことで口喧嘩になり、殴り合いのケンカに発展したことがありました。

 長い親友で今まで一度も揉めたことも無い関係でした。

 そんな自分に嫌気をさして、はっきり覚えていませんが、何かのきっかけで

 「もう酒止めた!!!」

 と断酒宣言をしました。
 
 両親、友人、知人、断酒会の仲間、果ては主治医の精神病院の院長に至るまで、酒を止めることを宣言して回りました(苦笑)。

 何を血迷ってこんなことをしたのか分かりませんが、おそらく

「もう、今後一滴も飲まない!」

 といった潔い酒の止め方に憧れていたのかもしれません。

 しかし、気の迷いみたいな突然の断酒でしたので、数日もすると

 「もっと思いっきり飲んでから断酒すれば良かった...。」

 と後悔するようになり、それでもなんとか1ヶ月くらいは頑張りましたが....。

 結局あえなく飲んでしまいました。

  あれだけ周囲に大見得を切った手前
「やっぱり飲んだ」とも言えず、飲むと恒例だった電話魔の虫も抑えて1人ひっそりと飲んでいました。

 その頃、以前勤めていた会社の先輩が結婚することになって居酒屋でお祝いしたことがありました。

 例によって泥酔し、その帰りに自転車で工事中の柵に激突して自転車は大破、転倒して後頭部を通打しました。

 2、3日痛みも引かないので入院していた精神病院で脳のレントゲンを撮ってもらいました。

 脳は相変わらず縮んだまんまですが、幸い転倒の方でのダメージは無いようです。

 しかし、脳に小さい梗塞もいくつか見つかったり、身も心もボロボロでした。

 もう入院だけは絶対しない!

 と決めていたので、とりあえず点滴で解毒して帰りました。

 この頃は、大酒を飲む→連続飲酒→飲めなくなる→一時禁酒のパターンを繰り返していました。

 一時禁酒の際のアルコールが抜けていく離脱症状は本当に苦しく、全身の震え、大量の寝汗、そして...不眠。

 何日も風呂にも入ってなく、髪はボサボサ、髭も伸びっぱなしのまるで浮浪者のような風体。身体中から異臭が出ているのは自分でも分かります。

  2、3日はほとんど眠れません。部屋のテレビをつけっぱなしにしていると深夜に昭和ヒットソング特集みたいな番組をやっていました。

 ちょうどかかっていたのは沢田研二さんの大ヒット曲、「時の過ぎゆくままに」

   中学校までは成績優秀で、生徒会の役員も務め、絵を描けば毎回入選、部活の剣道部は主将で部長。周囲からも将来を期待されていたこの俺が34歳、アルコール依存症で無職...。

 それを思うと、とても堕ちるところまで堕ちてしまった現在の私を幸せだと思えるような心境ではありませんでした...。

 

 

 


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