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第2回 毒親ラジオ

先週に引き続き、毒親ラジオという名前で40分間お話させていただきました。事前にゲストのお願いをしていなかったので、その場で是非お話してくださいお願いしますといっても、なかなか気まずくて出来ないですよね。やっぱり段取りって大事ですね。

そんな中、それでも意を決して3名の方がエピソードを披露してくれました。本当にありがとうございます。匿名で簡単に振り返ります。

一人目:過干渉な親

20歳で一人暮らしを始めたけれど、親がすごく細かく心配そうに連絡してきて面倒だったとのこと。振り返ってみると、幼いころからずっと干渉されてきたせいで、何をするにしても親と一緒だったから、自分一人で物事を判断する、意思決定する、というのが苦手になってしまったのではないか、と。

過干渉については、以前NHKの番組でも見ましたが、「子供が自分で意思決定しているかどうか」が非常に重要な判断基準だそうです。こどもが「お母さん決めて」とか言ってきたら危険サイン。

これ、もちろん言われれば分かるんですけど、現実問題として目の前で「どっちにしようかなぁああああ」って悩んでる子供を見ると、うっとうしい早く決めろ、とか思っちゃうんですよね。

二人目:親に放置された子

両親が共働きだったので、鍵っ子で一人で家に帰って学校の支度とかして、それが普通だと思ってたけど、他の家では親が連絡帳とか見て忘れ物が無いか一緒にチェックしてくれたり、なんか羨ましい気がしたと。

そんな自分が親になると、やはり自分がされたようにしか子供に接することができないので、子供の荷物のチェックとかやろうとも思わないけど、それでいいのかな、という不安があるとのこと。

これは、私も全く同じことしてますね。子供は鍵っ子ですし、連絡帳とか手紙は自分で出しなさい、出さずに忘れ物したってそれは自己責任ですと、日常的に言っています。それでちょっと寂しいのかな、という心配もありますが、まぁこちらも共働きですし限界はありますよね。

核家族の呪い

一人目と二人目の例を見ると、内容は真逆です。気にし過ぎても良くない、気にしなさ過ぎても良くない、そんな適度なバランス感覚で子供と接することのできる親がどれほどいるのか? という話になります。

これについて、酸性、中性、アルカリ性のリトマス試験紙で考えてみました。小学生の実験で、塩酸と水酸化ナトリウムを使って中和して中性を作りましょう、というものがあります。これ実際にやるとめっちゃ難しくて、1滴でもどちらかが多ければ一気に溶液全体が酸性やアルカリ性に振れてしまいます。中性は本当にぴったり両方の量を合わせないと実現できないので、そのバランスを取るのは至難の業です。

でも、ここで酢酸(お酢)を入れるとどうなるでしょう? 酢酸と水酸化ナトリウムが中和して緩衝液となり、中性付近のpHを維持しやすくなります。ちょっと塩酸を多めに入れても、急激にpHが変化しなくなります。

我々は、子育てにおいて、緩衝液が足りていないのではないでしょうか。親と子供しかいない極端な核家族という家庭環境において、親という存在は非常に強い影響力があります。強酸です。でも、そこに第三者がいれば、ご近所付き合いとかで周囲の目も入ってくれば、それが緩衝液となって、子供を比較的中性に維持できるようになるはずです。

まぁつまり、一人で抱え込まないで、みんなに相談してね、ってことです。

三人目:暴力的な親

幼いころからシングルマザーに育てられ、望まれなかった子として暴力を振るわれていたそうです。もう、毒親というレベルではありません。ずっとお前なんていなければよかったと否定されて育ってきたので、自分は無価値な存在なんだと思い込んでいたそうです。

こういう状態になると、周りに優しい人が現れて手を差し伸べてくれても、自分はそんな優しさを受け取る価値もないんです、と手を振り払ってしまいがち、ということでした。

今は、そういった周りの人の優しさを受け取ることができるようになり、過去の自分を客観的に振り返ることができるようになったということで、本当に良かったと思います。

やっぱり、いろんな人に話を聞いてもらって、過去の自分の状態を客観視できるようになると、当時は環境が悪かっただけで、自分は悪くなかったんだな、ということが分かるようになって、呪いも解けていくようです。良い人に巡り合えて、本当に良かったです。

このラジオも、そういった解呪のお手伝いができれば、という思いでやっています。いろんな人の話を共有することで、お互いの呪いを解いて、お互いの緩衝液となって、みんなが快適な家族生活を送れるようになりましょう。よろしくお願いいたします。

おわりに

私としては、誰かが話をしてくれないと間がもたないので、どんな話でも、短くても、お話いただけるだけで大感謝で、ものすごく贈与してもらった気分なのです。しかしなぜか、今日お話しいただいた方からは、お話する機会をくれてありがとうございます、このご恩はいつかお返ししたいです、と私が贈与したことになっていて驚きました。

誠実な関心を向けること、誠実に問うということは、贈与なんですね。人は誰だって関心を向けられたいものです。私は、私のラジオに参加してもらうことで関心を向けてもらい、そして私は話してくれる人に関心を向けることで、双方が贈与する形になっている。Win-Winですね。素晴らしいですね、ラジオって。

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