People Powerd 遠くへ行きたければ、みんなで行け
最近、読みたい本が急に増えて、いろんな本が中途半端に止まっていますが、また新しい本を読み始めました。
これはコミュニティマネジメントの本です。この前読んだ「コミュニティ・オブ・プラクティス」と根っこは同じだと思いますが、本書は実践コミュニティを運用していくうえでの課題とか気を付けるポイントなどが解説されているようです。実践コミュニティの実践編ですね。
ということで、本書をただ読むのではなく、自分でも実践コミュニティを運用するとしたらどういうところでつまづきそうか、気になるポイントなどをまとめながら読んでいこうと思います。
とりあえず第一章だけ読んだので、その感想をまとめていきます。
本書におけるコミュニティとは
ここで議論されているコミュニティは、やはり「コミュニティ・オブ・プラクティス」のなかにあった「実践コミュニティ」とかなり近い概念だと思います。
コミュニティ・オブ・プラクティスでは、いろんな良い事例、悪い事例などを学びましたが、実際にどのようにコミュニティを立ち上げて運営していけばいいのか、そのノウハウ的なものはあまり書かれていませんでした。ということで実践編となる本書、とても楽しみです。
問い:大企業と実践コミュニティは両立するか
ここからオープンソースのソフトウェア開発とかが始まった、という話につながっていきますが、ではオープンソースが世界を席巻したかというとそうではなく、今でもIBM、Apple、Microsoftなどは自社内でクローズドな開発をしながら世界に名だたるIT企業として君臨している気がします。
コミュニティがすごいのは確かですが、いろいろな代償もあります。プログラミングに関してはかなりオープン化が進んでいますが、たとえば製造業のモノづくりみたいな技術や特許が支配的な業界において、同じようなオープンコミュニティが本当に機能するのでしょうか。
製造業でもオープンイノベーションが大事だ、ということが最近では叫ばれています。しかし匠の技みたいなのが求められる業界では、プログラマーがIT土方と呼ばれるような世界とは違って、熟練の技術者が山ほどいるわけではありません。実践コミュニティを立ち上げるより、クローズドで開発を続けた方がいいのではないか、という気もしてきます。
実際に、多くの企業は自社の技術をなるべく秘匿したまま、うわべだけの交流をしてオープンイノベーションがうまく進まないことに苦慮しています。まあ囚人のジレンマみたいなものかもしれません。裏切りを心配するあまりに、両社が損をする選択を選ぶのが合理的になっているのかもしれません。
問い:採用人事はコミュニティマネージメントか
これは流動的なコミュニティにおいて、いかに人を定着させるか、という観点で書かれていますが、全く同じことが企業における採用活動にも当てはまる気がしました。
昔は終身雇用が強かったので、一度就職してしまえばあとは身内みたいな感じでしたが、今は転職がかなりしやすい時代なので、新卒採用したからといって社員が定着してくれるかは分かりません。新入社員に会社での働き甲斐を感じてもらうためには、大企業においても新入社員の役割などを明示する必要があります。
しかし大企業では「上意下達で指示された通りの行動をすればよい」という認識が根強く残っていて、少し自分の意にそぐわないからといって辞めていく新入社員がひどく軟弱な存在に見えてしまいます。
就活が買い手市場になり、学生に選んでもらう立場だ、新入社員に働いていただく立場だ、という時代の変化を認識するのは、大企業のおじさんたちにはとても難しいことだと思いました。。。
問い:意味は与えられるものか、湧き上がるものか
本書では、いかに仕事の大義や価値を設定して、コミュニティメンバーの意味を感じてもらうか、有意義に活動してもらうか、というポイントに注力しています。
一方、世の中の自己啓発本を読んでいくと、そもそも自分の働く目的とか人生の意味のようなものは、そうやって与えられた外的指標に依存するのではなく、もっと内から湧き上がってくるべきもののようにも思います。
もちろん意味を見出せない凡人からしてみれば、自分でも貢献できる大義を与えてくれるコミュニティはかけがえのない存在ですが、本当にそれでいいのでしょうか。まぁ、卵が先か鶏が先か、みたいな話ですけど、本来は自分の大義があって、それがコミュニティの大義と合致するから協業する、みたいなのが理想的だと思います。
やはり最近の人々は、世の中が豊かになりすぎて、自らの大義なんて掲げなくてもぼんやりと生きていけるから、昔の人に比べてぼんやりした存在になってしまっているのでしょうか。
なんてことを思ったり思わなかったりしました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?