第7章ではコミュニティのマイナス面に注目しています。コミュニティはすごくポジティブにとらえられがちですが、やっぱり悪い面もあるのです。まぁ長所と短所は表裏一体、といったところ。
派閥
メンバー同士が仲良くなりすぎて異議を唱える人がいなくなったり、新参者を締め出したり、自分たちが一番すごいと思い込んだり、コミュニティが居心地よすぎるがゆえに独善的になってしまうケースがある。
不満
また、嫌いで連帯するコミュニティもよくない。不満は簡単に人を結びつけるが、そこには生産性がないことが多い。
文書化
これは私に当てはまりそうな項目でドキッとした。なんでもかんでもデータ化していれば満足してしまう、すごく分かりすぎて困る。
記憶喪失
これはすごく実感する。いつもいつも同じような議論ばかりしていると、だんだん飽きてくる。そこから新しい知見が得られないのであれば、そこに新しい実践がないのであれば、そこにいる意味がない。
マイナス面を受け入れよう
最初にも述べたように、マイナス面とプラス面は表裏一体です。マイナス面を排除しようとするのではなく、そうした可能性を考慮に入れながらうまく操作していい方向にもっていくのが重要です。
越境
本当に革新的なことはコミュニティとコミュニティの境界で起こります。強いネットワークの中で得られた知見が、弱い紐帯によって遠くのコミュニティとつながったときに、真価を発揮するのです。だから私たちは越境をしないといけません。
応用できない
しかし頑張って越境しても、あっちでできたことがこっちではできない、どうして同じようなことができないのか、と残念な気持ちになることが多々起こります。せっかく得られた知見がなかなか他所で応用できず、狭いコミュニティ内の知見にとどまってしまうことは多いようです。
複雑性
実践コミュニティは複雑性をもたらします。会社のなかで、縦割り組織とは全然関係ない横のつながりが生まれたら統制が取りにくくなります。そいつらが勝手に社外の同業他社とも情報交換をし始めたら、どうなることでしょう。もう耐えられませんね。
でも、そんなことをしたら実践コミュニティはおしまいです。自由に泳がせてあげることでしか得られない栄養素がそこにはあります。経営者にはその覚悟が求められるようです。
ということで、マイナス面を排除することはできないけれど、それ以上に価値があると信じて、複雑で未知の世界に飛び込んでいくことが、実践コミュニティを作るうえでは重要なようです。むずかしいね。