People Powered コミュニティ立ち上げ期にやること
第三章から第六章まで。ここではコミュニティを作るための重要なステップについて細かく解説されています。
「価値」をきちんと掴んで示す
コミュニティで大事なのは、そこに参加する人たちがどんな価値を得られるのかです。価値があると感じなければ誰も来てくれません。こちらが何を提供するかではありません。いいものを作れば売れる、みたいな昭和の考え方はやめて、相手が何を価値として受け取れるかを考えます。よくある価値の例は以下のとおり。
自分たちの大岩、ビッグロックスを作り上げよう
ビッグロックスと言っているのは、現実的かつ野心的な、実現可能だけど妥協のないゴールだそうです。そんなちょうどいいゴールが簡単に設定できたら苦労しないですけど。
目標を立てるのと同じくらい、KPIの設定も難しいです。特に本書では計測可能な指標であることを強調していますが、成果を計測可能な数値で置き換えるのは多くの危険を伴います。本来の目標を忘れて数値目標にばかりとらわれてしまうのはよくあること。
本来の目標を忘れないように、毎週確認し続けようとか言っていますが、そもそもみなさん、会社の価値観を毎週確認していますか???
KPIの設定について
KPIを計測可能なものとして設定しようと言いましたが、実際にやろうとするとそんな便利な数値はなかなか見つかりません。
厳しいですね。一応筆者も、例として代表的な数値目標をいくつか示してくれています。
他にもいろいろと細かくポイントが説明されていましたが、私の関心のフェーズがここまでたどり着いていないので省略します。
オーディエンスのペルソナを作ろう
人間はけっこう不合理な行動をしがちです。合理的なシステムを作っても、思った通りに人々が動かないことはよくあります。だから、コミュニティを利用する人たちの特徴を抽出することで、よりよいコミュニティ作りに反映していきましょう、というお話。
コミュニティの参加者は、その参加度合いによって大きく3つに分類されます。それぞれの参加者のゴールについても触れておきます。
カジュアル
カジュアルな参加者のゴールは、彼らが馴染んで落ち着くのを助けることだ。彼らと問題解決をして、自信を築こう。メンタリングとガイダンスを提供しよう。彼らが参加したり、他人を巻き込んだりするためのシンプルなやり方を見つけられるようにしよう。他のメンバーと知り合い、人間関係を築き、友情を育むのを助けよう。
レギュラー
レギュラーはコミュニティの屋台骨だ。満足感を与え続ければ、レギュラーは何年にも渡って価値ある参加とサービスを提供してくれる。ここで重要な目標は、彼らが情報を得て、装備を整え、あれこれめんどうな手続きなしに参加できるようにすることだ。多くの企業が、成長するにつれてコミュニティのワークフローに多くのチェック、抑制、承認を導入してしまうという問題を抱えている。これは注意深く監視しておかないと、メンバーたちをウンザリさせてしまう。
コア
VIP扱いしよう。彼らにふさわしい敬意を持って接しよう。個人的な関係を築き、誕生日にプレゼントを送ろう。相手のキャリアや幅広いさまざまな目標のために、できることをなんでもしてあげよう。ディナーに連れ出し、高価な酒をプレゼントし、常に相手にひたすら敬意を持って接しよう。コアメンバーを大切にする重要性はどれだけ強調しても足りないが、それよりもさらに重要なのは、彼らの専門知識と指導に本当に頼ることだ。彼らの言葉を聞き、彼らから学ぼう。
導入路を設計しよう
せっかくコミュニティに参加してくれても、何をすればいいのかよく分からなかったら、そのコミュニティに価値を見出すことができません。きちんと最初の導入部分は設計しておくのが大事なようです。新入社員教育みたいなやつですね。
問い:そもそもの価値の掴み方とは?
結局のところ、一番あやふやなのは最初の価値提示になると思います。インターネットでグローバルにつながった今、自分の考えが世界で唯一無二なんてことはなくて、何を考えたって類似品や先行事例が出てくる世の中です。そんな中で何をもって自分たちの価値として提示できるのか。
それは一種の視野の狭さ、コミュニティの物理的限界が大事ではないかと思うのです。他にも類似品はあるけど、今ここにはないよね、といったタイプの、ある種のあきらめのようなもの。私よりすごいものはあるけれど、今ここでは私が代わりにやるよ、というのを、どれだけ自信をもって掲げられるか。
ある種のカリスマを持つ人とかは、そういった狭い視野からくる独断のようなもの、サイコパスっぽさが欠かせないような気がしていますが、実際のところどうなのでしょうか。