問いのデザイン
今の時代、答えを出す能力はみんな身についたけど、そもそも何を解けばいいのか、問題を見つける方が難しくて、どうやって問いを立てていけばいいかについて考えた本です。
問いのデザインは大きく「課題のデザイン」と「プロセスのデザイン」の2つに分けられるそうです。
どうして問いが大事なのか
第一章では問いの重要性について説明しています。
私たちは生きていく中でどんどん「認識」や「関係性」が固定化していきます。偏ったものの見方をして、新しい発想ができなくなる、新しいものが受け入れられなくなる、どんどん保守的になります。そのせいでいろいろな問題が発生していると考えられます。
どうすれば固定化した認識や関係性を崩すことができるかというと、「問い」なのです。
問いを通して対話することが本書の目的になります。
問いとは何か
一般に「問い」と呼ばれるものを、本書では細かく3つに分類しています。この狭義の「問い」がとても大事なのです。
学校教育で行われる問いは、先生から生徒への発問と、生徒から先生への質問で構成されています。学校では狭義の問いが問われることはほとんどありません。道徳の授業だって先生が答えを用意している発問になっていることがほとんどです。だから私たちは、この狭義の問いに慣れていなくて、訓練する必要があるのです。
何を問えばいいのか ~ 課題のデザイン
問う側も問われる側も答えを知らない問いが大事だ、といいましたが、どんな問いでも歓迎なわけではありません。やっぱり愚問もあります。問うても対話が深まらない問いもあります。答えが分からないのに、良い問いを投げかけるにはどうしたらいいのでしょうか。
ここで出てくるのが本書の前半パート「課題のデザイン」です。
「問い」は対話を深めるために行いますが、深めるためにはやっぱり目標みたいなのが必要です。良い「問い」を出すには、みんなが同じ目標をもっている方がいいです。
そこで、関係者の間で前向きに合意された、解決すべき課題というものが設定できれば、その課題に関する問いは良い問いになります。じゃあ、その課題をどうやって設定しようか、というのが課題のデザインです。
おそらく誰もが、何かしらの解決できない「問題」を抱えていると思います。この「問題」は、自分にとっては重要なことですが、他人にとっても同じように重要とは限りません。人によって優先度が違ったり、気にするポイントが違ったりします。みんなの問題をすり合わせて、一つの共通の目標=課題に落とし込むのは大変です。
そこで、みんなの問題の中から共通課題を設定するために、問いを立てて対話をしていこう、というのが最初のステップになります。
これは暗に、「共通の課題を設定するという行為は、全人類が絶対に抱えている解決すべき問題であり、疑う余地のない共通の課題だ」と言っていますね。まあ、そういう前提なので、ここは受け入れましょう。
よくある課題設定の失敗例
この辺はTipsとしてメモ程度に残しておきます。詳しくは本書をご確認ください。対策は以下のとおり。
実践してみよう ~ T君の事例
問いのデザインは、たぶん読んで分かったつもりになっても意味がなくて、きちんと実践して実感するのが大事だと思うのです。そこで、身近な問題を例として、課題のデザインをやってみたいと思います。
T君は妻と子供がいる社会人です。アイドルが大好きで、気付いたら多くのお金をアイドルに注ぎ込んでいて家族の不評を買っています。本人も貯金が底をついて困っています。私には直接関係ないですが、なんとかこの状況を改善してあげたいなぁと思っています。
考えられる問題は?
・このままでは家族が不仲になること
・お金が足りなくて日常生活に支障をきたすこと
・アイドルにつぎ込むお金が足りないこと
・アイドル以上にのめりこむ趣味がないこと
・お金の管理が苦手なこと
いろんな切り口が考えられます。他にも問題にすべきポイントがあるかもしれません。対話を通して、この中のどれが最も解決すべき課題なのかを合意していく、そのプロセスこそが「課題のデザイン」かなぁと思います。
ということで、今度T君と対話をしたら、続きを報告しようと思います!
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