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男性不妊の最たる原因【精索静脈瘤】に関する割合についての話

今日は精索静脈瘤についてです。男性不妊の中でも取り分け割合の多い症状で、アメリカでは不妊の場合真っ先に疑われる症状です。

SNSでもかなり多くの方が、あるいは旦那様がこの精索静脈瘤と診断されているのが見て取れます。

男性にしか起こらない精索静脈瘤とは?

精索静脈瘤の読み方は「せいさくじょうみゃくりゅう」と読みます。

精巣周辺の陰嚢部に発達した静脈瘤(静脈の拡張したコブ)を精索静脈瘤と言います。

症状には陰嚢の腫れ、コブ、しこりなどが見られますが、基本的には自覚症状がほとんどなく、痛みを感じることもありますが、その場合、ある程度進行している状態であると言えます。

精索静脈瘤は自然治癒することがなく、治すには薬物療法か手術の2択しかありません。

進行してしまった状態の場合、薬物療法では難しく、手術の選択にならざるを得ません。

精索静脈瘤ができることで、血流が悪くなり、精巣の温度が上昇してしまいます。

精巣、精子は温度に弱い為、そのままの状態だと精子の数や運動率、奇形率に影響を及ぼしてしまい、男性不妊の原因となってしまいます。

やはり、男性にとって睾丸にメスを入れるのは辛いと思います。ですのでできれば誰しも手術は回避したいところでしょう。

そのためには早期発見が重要で、早期の段階で薬物療法をスタートすることが大切です。

精索静脈瘤の原因とは?

動脈は心臓から出ていく血管で、静脈は心臓へ戻る血管です。

動脈は心臓から出てきた血液が勢いよく流れていきますが、静脈は心臓に戻る血液の通り道であるため、血液の圧力が低く逆流を起こしやすいという性質があります。

静脈には逆流を防ぐための弁がついているのですが、その弁に不具合が生じてしまったとき、血液の逆流が生じてしまいます。

そうすると、陰嚢上部がうっ血し、こぶ状の腫れという症状が生じます。

精索静脈瘤のほとんどは左側に生じるのですが、左内精静脈が左腎静脈にほぼ直角に合流していることも、左の精索静脈瘤が発生しやすい理由のひとつと言われています。

右側に生じるのは本当に稀なんです。

精索静脈瘤の検査ってどんなことするの?

精索静脈瘤は、視診や触診、超音波検査により診断されます。立った状態の方が分かりやすいため、立位での診察になります。

座った状態や寝た状態で診察する病院やクリニックは知識が乏しいかもと疑ってください。

精索静脈瘤は進行具合によってグレードが3段階あります。

目視、触診、超音波検査等で判断されますが、自己診断でもある程度の判断は可能です。

下半身裸で、医師と場合によっては看護師の3名で仕切られた場所で検査を行います。

立位で陰嚢を触られ、ジェルを塗って超音波検査を行い、その画像を自分も含めて確認するものです。

多少、恥ずかしい気持ちにはなるかもしれませんが、医師側からすると日常的なことですので、それほど気にすることはありません。

そのまま放置をする方がよっぽど危険です。

超音波は小さな症状や、状態を目で見ることができるので、触診だけではなく、超音波検査までやってくれる病院を選ぶべきです。

説明や理解もだいぶ違ってくるでしょう。

また、見逃した場合、自覚症状がないので、進行してから気づくことになりかねません。

精索静脈瘤に関する割合あれこれ

精索静脈瘤に関する割合を色々と集めました。

参考にしてください。

精索静脈瘤 男性全体の割合

男性全体から見ると、15%~20%の割合で精索静脈瘤が確認されます。

精液検査を行って数が少なかったり、精子の運動能力が低いなどの場合、可能性はあります。

精液検査の結果に異常がない場合でも精索静脈瘤であることもありますので一概には言えません。

その場合、放置していることで徐々に進行しますので、年齢を重ねていくと精液検査の結果が悪くなっていきます。

精索静脈瘤 男性不妊患者の割合

男性不妊患者全体から見ると、その割合は40%にも及びます。

精子の数が少ない乏精子症、精子運動率が低い精子無力症、精子の奇形率が高い精子奇形症などがありますが、その40%は精索静脈瘤が原因と言われています。

精索静脈瘤は男性不妊の最たる原因です。

米国生殖医療学会、米国泌尿器科学会のガイドラインでは不妊治療の最初に精索静脈瘤を治しておくことを勧めているほど割合が高いです。

精索静脈瘤 二人目不妊の割合

一人目は自然妊娠で何事もなく無事出産まで至ったのに、二人目がなかなかできなくて悩んでいるご夫婦は非常に多いです。

二人目不妊と呼ばれていますが、その二人目不妊の78%は精索静脈瘤が原因と言われています。

かなりの高確率です。

これは一人目と二人目を目指す間の月日の経過も関係しています。

男女共に二人目を作る際には一定の年齢を重ねているわけですが、その間に精索静脈瘤が発症してしまい、何も問題ないと思われていたが、精索静脈瘤によって精液所見に異常が起こって妊娠しないという訳です。

ちなみに一人目が何らかの理由で妊娠したけど出産していない場合、二人目ができないというケースも二人目不妊と呼ばれます。

精索静脈瘤 左右どちらで起こるかの割合

精巣は2つあり、人体のメカニズム上、左側に多く発症します。

左側に発症する割合は98%ほどと言われています。

右側に発症する割合は非常に稀で0.2%ほどと言われています。

左右両方に発症する割合は1.1%ほどと言われています。

陰嚢周辺の病気は精索静脈瘤だけではありません。

それを素人が判断することはできませんので、自己判断で終わらせるのではなく、しっかり病院で検査を受けて欲しいと思います。

男性不妊の場合、まず精索静脈瘤を疑いましょう

自覚症状がないことが非常に怖く、進行してしまってからでは手術でないと治療は難しいです。

実際の例で、3人目のお子様を目指した時、既に無精子症になっていて、検査結果、立派な精索静脈瘤が発見されたとともに、ビー玉サイズにまで精巣が萎縮してしまっていたというケースがあります。

これは60代男性だった為、若い男性に萎縮が見られるケースは非常に稀ですが、長年放置すると萎縮することもあり得るということも覚えておいて欲しいと思います。

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