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52歳 バツ2男と高校野球(その4)

2年生の夏

「背番号14」を付けて臨んだ甲子園への挑戦は終わった!

僕らに「シゴキ」と言う厳しい現実を味合わせてくれた
当時の2年生が中心のチーム・・・

最初の頃は心の中でどうしても受け入れられなかった

理不尽な「シゴキ」と言う恐怖と、
その理不尽に耐えきれず辞めていった仲間の気持ちを
考えると、「チームメイト」として戦う
この違和感に納得がいかなかった

でも共に汗を流し、泥にまみれ練習し、
そして試合に臨み、勝ったり負けたり
共に戦う時間を共有することで
次第に純粋な野球部の先輩として慕うようになっていった

そして、その先輩たちの中心のチームで戦う最後の試合

夏の甲子園予選・・・敗退!!!

「先輩たちの思いも俺達が・・・」
自然と、この思いが湧き出るようになっていた


夏休み・・・・

僕達が中心の新しいチームがいよいよ始動する

前のチームで僕を含め8人の同級生がベンチ入りを
果たしていたため、そこそこの経験値はある!
そして・・・なんと言っても「ノンちゃん」と「シゲ」
の活躍がすさまじく
(ノンちゃんはホームラン量産)
(シゲはすでにエース級の活躍)
去年から「来年の○○高は強ぇ~ぞ」と言われていた
(こう言う噂は父兄同士のコミュニティでどんどん広まる)

エースと4番・・・チームの軸がしっかりと出来上がっている
こんな頼もしいことはない!
あとはいかに僕達が二人のレベルに追いていくかだ!


それにしても

上級生のいないグランド・・・

なんて素晴らし~・・・

気をつかうことなくノビノビ練習できる
楽しくてしょうがない・・・
キツイはずの真夏の炎天下の練習も「やってやるぞ!」
気持ちが充実しているため、張りきり過ぎるくらいだ

厳しく言いあったり、励ましの言葉だったり
仲間同士、自由に声を掛け合うことができる

自然に大きな声も出る!
活気がみなぎっている!

ヤンも黙って見守っているが満足そうだ

しかし、僕はレギュラーを獲ったわけではない
まず競争に勝ってレギュラーを獲らなくては・・・

チームの前評判がいいせいか、この時期にもかかわらず
練習試合がどんどん組まれてゆく・・・

しかも、強豪校から・・・

今のうちに対戦して、公式戦で対戦する時に備えて
データをとっておこうと言うことなのだろう

それはこちらも同じだ、いきなり対戦するのと
一度でも試合をして挑むとでは全然違う

こちらの方が格下なのだから、この時期の対戦は
むしろこちらの方が ありがたい・・・

ヤンの分析力は天下一品なのだ!
相手投手のいい球、悪い球、・・・
キャッチャーのリードの傾向・・・
相手4番打者のスイングをみて、弱点を見極める
相手の監督の作戦・・・チームカラーを察する


そして!なんと僕は1番、セカンドに抜擢された!

こんな嬉しいことがあろうか・・・
まだ練習試合・・・
まだ背番号をもらったわけじゃない・・・
なのにめちゃめちゃ嬉しい~
野球をやってきた人には分かるだろう
(いや、どのスポーツでも一緒か!)
先発メンバー発表で監督の口から自分の名前が呼ばれる
この瞬間の嬉しさを・・・
しかも、1番だから
1番最初に自分の名前が呼ばれるのだ・・・

今でもこの感動は覚えている・・・

しかしこの嬉しさは一瞬で・・・すぐにプレッシャーや不安
恐怖が襲ってくる

俺は大丈夫なのか?
ヤンの期待にこたえられるのか?
一番打者の役割って何だー?

友達も声をかけてくれる

「やったな~」
「思い切っていけばいい」
「なんでもいい、とにかく塁にでろ」

そうだ!とにかく塁に出よう
俺の持ち味は塁に出てからこそ活かされる
塁上の経験値なら誰にも負けない!


前にも言ったが・・・
僕は盗塁が得意だ!!!
いや 得意と言うか・・・好きだ!!!

盗塁を成功させ、塁上で起き上がり

スネに付いた泥を パンパンと払い

堂々とグラウンドを見渡す時の優越感は格別だ!!!

この優越感を味わうために
自分なりに中学の頃から盗塁の研究をしていた

そして去年ベンチ入りを果たすことができ
僕の役割はほぼ代走・・・
しかし、この実戦での代走の経験が自分が今まで
積み重ねてきた研究の理論を確信させる結果になった
(ちょっと大袈裟・・・)

それによって、一番打者としての大きな武器を一つ
確実に物にできた!

僭越ながら、この場で発表させていただくと・・・

まず一塁ランナーに出るとピッチャーのけん制のパターンを
3つに分類します
そのために、帰塁100%の思考でリードを大きくとります
まずピッチャーのけん制を見るためだけのリードです

① 素早くプレートを外し流れるようなモーションで牽制球を
  一塁に投げてくる・・・けん制が、うまいピッチャーと認定!
  こう言うピッチャーは、けん制でランナーを刺して気分を良く
  している経験を味わっているため、日頃からよく牽制球の練習を
  している(けん制死の美味しさを知っている)ため
  この手のピッチャーには盗塁は あきらめます!まず、しません!

  しかしけん制のうまいピッチャーには盗塁しないが、常に「走るぞ!
  走るぞ!」と挑発して集中をこっちに向けさせておいて
  バッターに対するコントロールのミスを誘うようにします
  (けん制タッチアウトはピッチャーにとって蜜の味らしく、得した
   いい気分になるらしい、なので けん制のうまいピッチャーは
   またその気分を味わおうと、過剰にランナーのリードに反応してくれ
   ます、なので、盗塁はできなくともピッチャーの投球リズムを崩す
   ことができる)
  ランナーとしても、生きてなんぼで、死んでは意味がない・・・


② プレートを外すだけで一塁にボールは投げてこない、
  もしくは、じーっと視線だけ「すぐけん制するぞ」みたいな・・・
  それと 投げても、刺す感じではなく、ふわっと、
  とりあえず、帰塁してください的な牽制球をなげるピッチャー

  牽制球が苦手な、もしくは下手なピッチャーと認定!
  こういうピッチャーは カモ です!!!

      この手のピッチャーは①とは逆で、過去に牽制球で一塁に悪送球を
  投げピンチを広げてしまった経験がある・・・(と察する)
  そのため、できれば牽制球を投げたくない

      牽制死を取るとピッチャーは得をした気分になるが・・・
  悪送球になりボールがそれた場合は最悪で、後ろにカバーが居ない
  ため、ランナーは一気に3塁まで行ってしまう
  (それたボールを取っても3塁まで距離があるため、足の速い
   ランナーは余裕で3塁まで行ける)

  だから1回でも、その苦い経験があると(軽いイップス状態)
  なかなか、素早く牽制をしてランナーを刺す と言う勇気が
  出てこないらしい(ピッチャー経験者に何人も聞きました)

  なので、視線だけ、けん制のフリだけ で終わってしまう

 この カモのピッチャーから100%の成功率で盗塁を決めるには

  あえてリードは大きく取らない・・・ここがポイント!

  あまり大きなリードを取らないと、この手のピッチャーは
  安心します「よし、このくらいのリードなら牽制球を投げる
  必要はないな」・・・と
  もともと牽制球を苦手にしているピッチャーが、この思考に
  なってくれれば、もう絶対!牽制球はありません!!! 

  スタート切り放題です!!!

  少々、速めのスタートでも全然OKです!


③ 一番やっかいなパターン・・・
  ランナー ガン無視ピッチャー!!!

  このタイプのピッチャーはランナーを全く気にしません
  「走りたければどうぞ、ご勝手に・・・」と言わんばかりに
  淡々と自分の投球動作に入っていきます
  ほぼ牽制球はありません!!・・・が、しかし
  逆にスタートの見極めが難しく、
  スタートのタイミングが取りずらい

  そして、「走ってもいいよ」と言うには根拠がある

  しっかり クイック で投げてくる

  そしてキャッチャーの精度がいい(強肩+αと言う意味)

高校野球レベルまでなると、どの高校でも正捕手を掴み獲った
選手は、みな強肩です!!!
肩の弱いキャッチャーなんて見たことがありません

では、何が違うのか?と言うと・・・

あくまでも、ランナー目線から言うと

僕が思う「精度のいいキャッチャー」は

「フットワーク」「スピード」「コントロール」
この3つが桁違いに優れています

「フットワーク」は、少々ピッチャーの投球が多少逸れても、
フットワークを巧みに使い、自分のベストな送球モーションを
作っていきます、特に膝の使い方が柔らかい!

「スピード」は、正に捕ってから投げるまでのモーションが
速い、キャチングからの一連の動作にスキがなく、美しい流れ!

「コントロール」これが抜群!
フットワークがよくても、スピードが早くても
最後の送球がそれれば台無し、ランナーを刺すことはできない

しかし、いいキャッチャーはコントロールがいい!!
ランナーの足が滑りこんでくるベース上にしっかり投げてくる
(10球投げて9球はベース上のストライクが投げれる程の)

実感覚として、やはり強豪校と呼ばれる
甲子園を狙える高校のキャッチャーは、みな この3つのレベルが
半端ない!
ただ強肩だけではキャッチャーは務まらないと思う 


しかし、ピッチャーにおいては
必ずしも、大会屈指のピッチャーが牽制がうまいか?と言うと
そうではなく
意外とすごいピッチャー程 牽制は下手と言うパターンが多い


それでも③のようにバッテリーで対応してこられると、
盗塁の成功率は格段に下がるのだが
そこに挑んで盗塁を成功させるのが
とてつもなく気持ちがいい

キャッチャーの「ちくしょう~」と言う顔を浴びながら
泥を払うのは最高だ!!! 

③のパターンのバッテリーだと認識すると
「ん~強敵だ~!」と思うと同時に
「このバッテリーから盗塁してェ~」とワクワクしてくる
これこそ盗塁の醍醐味!


練習試合とはいえ、強豪校のバッテリーから盗塁を成功させれば
それだけで
「○○高校の1番、足・・・ヤベェ~ぞ!」と勝手に周りが
評価値を上げてくれる
(どの高校のピッチャーからも意識され警戒されることは
    とても気持ちがいい) 

それと、番外編として自分の中で勝手に法則を作っていて
それは・・・
「3球続けての牽制球はなし!」ルール
どういうことかと言うと
①の牽制球がうまいピッチャーでも、2球たて続けに牽制球を
投げてくることは、多々あるが
それを3球続けてとなると、意外と少ない
だから、2球牽制球のあとは、思いきったスタートをきって
盗塁を狙うという・・・かなりのギャンブル
(ぜひ練習試合でお試しを・・・)

では左ピッチャーは?と言うことになるが・・・

基本的なパターン分けは変わらないが
なんといっても左ピッチャーになると
足を上げると言う投球動作に入っても尚、牽制の可能性がある
と言うことが 厄介だ!
右ピッチャーは、どんなに牽制がうまいピッチャーでも
必ずプレートを外すと言う動作が入るため
少し余裕があるのだ

でも左ピッチャーには、プレートを外すと言う動作がないため
(厳密に言うと上げた足の角度で牽制が来るのか、来ないのか
  判ると言えば判るのだが・・・)
右ピッチャーに比べると、ワンテンポ スタートが遅れるのは
確かだ
なので、左ピッチャーの盗塁は かなり条件が限られる・・・
(例えば、ここは失敗してもいい場面だから走れ!とか)
やはりランナーは大事なので、左ピッチャーの時は ほぼ送りバント

そのかわり
左ピッチャーの場合は三盗がしやすい!

あと盗塁において大事にしていることは・・・

スタートの時の目線は2塁ベースの1メートル手前を見据える!
そこに向かって走る!

そうすると、低い状態のまま走ることができる
走る状態持の上下動は推進力の妨げになるので、
リードしている態勢のままスタートしたい、そしてその低い態勢を
維持してそのまま、スピードに乗ってスライディングまで持っていきたい

そして最後に意識にしていたのが、「セーフでしょ!」と言う雰囲気
をだす・・・意外と効果ありだと思う

最後のベース上でのタッチプレーになると
当然野手は審判に向かって「アウト~!」と言って
ボールの入ったグローブを掲げて審判にアピールしてくる

そこでスライディングをしたままの態勢で「どっちなの?」と
言う感じで審判を見つめてしまうと、
野手のアピールに負けて審判も勢い、「アウト!」と言ってしまう
(僕の勝手な思いこみです、審判の方、すみません)

そこで野手の この「アウト~」アピールに対抗するため
少々アウト気味でも、すぐに立ち上がり、泥を払い、
さっ!セーフ、セーフ、盗塁成功でしょ・・・っと感じにします

とすると案外・・・少しの間があったあと
「セーフ!セーフ!」となったりします
僕も練習試合などで塁審をやったことがありますが、

スライディング含みのタッチプレーは見る角度などによって
難しい判断になります、何気ないアピールはあっていいと思います

ざーっと盗塁への思いを自分の好き勝手に言ってきましたが

実際は、試合の中で盗塁できる場面と言うのは、そうはありません
悲しいかな、これが現実・・・

まず盗塁するためには自分が必ず出塁しなくてはならない!
(アウトばかりでは話にならない)

塁に出ても、さっき述べたピッチャーのパターンによっては
走れないこともあるし、

試合の流れ、点差、相手ピッチャーの調子
など、常に試合の状況は変化しているので

たとえ塁に出ても、定跡通り、無難に送りバント
確実に2塁へ・・・と言うパターンの方が多い

何回も言うが、ランナーは生きてなんぼ死んでは意味がない!

それでも「足がある!」と相手チームに思わせることが
できたことで1番バッターのしての役割は果たせていたと思う

今思い返してみても
盗塁を失敗した!と言う記憶は思いだせない
(とは言っても2,3回は失敗しているはず・・・)

そして何よりも嬉しかったのは・・・
ヤンが僕の盗塁技術を認めてくれていたこと

なので1塁に出ると「行ける時は行け!」と
ある程度の自由を与えてくれたことだ
後続が凡打で倒れてベンチへ戻った時も
必ず、「どうだ?あのピッチャー走れそうか?」と聞いてくれる

いつしか、僕がランナーに出て牽制を見極めて、ヤンに塁上から
ヘルメットのヒサシを触り「盗塁いけます」のサインを
だすようになっていた

            つづく・・・

写真は僕の刺繡 7作品目!

ヒロアカの雄英体育祭からのシーンです!
轟くんを覚醒させる・・・vs轟戦のこのシーンが大好きで
何回観ても鳥肌ものです!
思わず刺繡しちゃいました!

いかがでしたでしょうか?

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とても励みになりますので
ぜひよろしくお願いいたします。

まだまだ50代!楽しく生きていきます!

同じ世代の方、共に頑張りましょう!!!


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