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博士課程に行くかも。お金と時間を3年使って得られるもの。

だん(@danmain0101)です。

普段はVRChatと大家さん向けにnoteを書いていますが、今回は学術についてです。

わたしは近々博士課程に行くかもしれません。ただ葛藤が激しく、その最終決断をしたくてこの記事を書いています。


1. 就職してたけど、博士課程の夢を捨てきれなかった

私は修士課程で、就職するか博士課程への進学をするかどうか決断を迫られました。正直なところ、周りに流されて就職活動をしたように思います。とはいえ、博士課程に行ったところで自営業をしない限りは就職活動をしていたと思います。

もう少し、就職活動と進学するかを考える修士1年の12月頃を振り返ると、修論の研究が全くうまくいってなかったことです。卒論からの研究とは全く違う研究に手を付けていたので、何が研究対象となるのか、自分が追求できることは何か手探りでした。ただ、このままだと研究はうまくいかないと思いましたし、周りは就職活動をしているんだから就職しようと思いました。

そして就職。世間体はキラキラしていて、社員も技術に詳しい人がかなりいる企業に就職しました。自分も成長したいと思ったのと、キラキラしているところに一目惚れが決め手でした。ただ、いざ働いてみると従業員の扱いが厳しいです。例えると、家庭で節約に節約を重ねてメンタルを消費する感じです。しかも、労基に言わないといけないのではないか?と思う仕組みもあり、前プロジェクトではずっと怒鳴られてましたし、メンタルを疲弊し再起不能になってました。

とはいえ、新卒での会社選びには後悔していません。付き合ってみたら、自分と相性が合わなかっただけだったと思っています。いろいろあって休職になり、その間に転職活動をしていましたがそれがきつかったように思います。

なかなか転職活動がうまくいかない中、夜を散歩していました。気分は再起不可能なほど落ち込んでいました。私は天体観測が趣味だったので、散歩でも夜空を見上げることがあります。ちっぽけな自分と向き合いながら、夜空を見上げると、流れ星にしては遅く飛行機ではない物体が流れていました。国際宇宙ステーション(ISS)です(*1)。

特に調べもせずにふらふらと夜道を散歩していたので、驚きでした。宇宙のあらゆることが好きなので、偶然見られたことにワクワクが止まりませんでした。

そっか、私はこういうことに心が躍るんだなと。

社会人になって忘れ去られた心がよみがえった瞬間でした。このときにいろんな思いが吹き出し、博士課程に行きたいと思うようになりました。

上記では書いていませんが、就職活動後、研究がうまくいきました。研究成績もAAで評価してもらえてます。この後押しもあって、博士課程へ行きたくなったのだと思います。

しかし、今に至るまで2年かかっています。実は上記だけでは行動に移しきれませんでした。転職活動は引き続き行っており、転職活動は成功するものの社会の理不尽さを再び目の当たりにし、試用期間で会社都合でやめらされました。それで数カ月は放心状態になります。

それでも少しずつメンタルは戻ってきており、働くのに向いてないなら、以前うまくいった研究で自信を取り戻してやると意気込んでいるところです。

何事も前向きでなければ気持ちが空回りしてうまくいきません。今が博士課程に挑戦する時期だと思っています。

2. お金と時間の問題。ただ博士課程の待遇がよくなっている

博士課程に行きたいのは変わりませんが、どの研究室に行きたいかを考えます。このときは様々な夢の損切りを行い、結局のところ元の研究室にお世話になろうと思っています。

博士課程は基本的に最短3年のカリキュラムです。3年で学費も払いながらとなると、かなりの浪費になってきます。このカリキュラムを通してどのように人生が豊かになっていくかが大切です。

投資という観点からすれば、大卒だと給与があがるようなアナロジーがあるかどうかです。残念ながら、特に日本では博士課程はアドバンテージになりにくいのが実情です。現実として、社会人経験の方が優遇されます。

もう少し具体的なマクロなデータを見てみます。文部科学省が出している"博士後期課程修了者の進路について"(*2) を見たところ、修士課程修了者が民間企業に行く割合は73.7%, 博士課程修了者が民間企業に行く割合は33.9%です。民間企業に行くに限った話をすれば、博士課程の需要は低いといえます。

このような実情から、お金のために博士課程に行くのは違っています。ここからは私の観測の話になってしまいますが、博士課程に行く人は行きたいから行くが多い気がしています。というか、そうじゃないと3年間研究し続けられるのかというところです。前述しましたが、博士課程は経済的でなく、心の豊かさを手に入れるところだと考えています。ある意味、浪費の意味合いが含みます。例えると、新築に住むことが夢で、新築を買って住むようなイメージです。売却も視野に入れると99%は損でしょう。でもその人は心の豊かさを手に入れているのですから、誰も文句はいいません。

博士課程で最大の浪費を想定してみます。数値の正しさは置いておくとして、物価が高い東京の大学院へ進学したとすると、ランニングコスト(固定費)は次のようになり得ます。いずれも3年想定で、高く見積もっています。
・学費:私立: 300万円, 国公立 180万円
・通学:219万円 (片道1,000円で毎日通うと想定)
・家賃:216万円 (6万円/月 想定。自分は神奈川で5万円台の1Kに住んでいたことがあります。)
・食費:108万円 (3万円/月 想定)
・光熱費:72万円 (電気、ガス、水道合わせて 2万円/月 想定)
・国民健康保険料:24万円 (8万円/年 想定)
・国民年金保険:60万円 (20万年/年 想定)

生きていたらかかるお金を足し合わせてみます。私立想定で999万円、国公立想定で879万円です。自分の場合だと、親も太くないので不可能であるということになりました。県外の大学院に行く夢はありましたが、ランニングコストが高すぎるので非現実的と思いました。しかも、様々な特別費(一回だけかかるお金)も馬鹿になりません。また、こういった支出の試算は、最大を見積もると想定外のことが起こっても対処できるのでオススメです。

また博士課程なら学振(*3)があるじゃないか!であったり、国公立なら学費免除があるじゃないか!といった批判があると思います。しかし、学振は採用率が20%程度で、確実なものではありません。収入は低く試算します。また、学費免除も実体験として免除されない場合があります。これは大学の財源によるので、学生からするとブラックボックスです。

上記は県外で、しかも東京の想定ですので、もう少し自分に置き換えると次のようになります。
・学費:国公立 180万円
・通学:0円 (シャトルバスがある。たまに原付)
・家賃:0円 (子ども部屋おじさん)
・食費:36万円 (両親との割り勘で 1万円/月)
・光熱費:0円 (両親に負担してもらってます。いずれ自分が負担できるように。)
・国民健康保険料:24万円 (8万円/年 想定)
・国民年金保険:60万円 (20万年/年 想定)

研究室は、成果も出せて、人間関係も構築できているお世話になった研究室に行きます。3年間も高い成果を求められるので、私にとって安定した環境がいいという判断です。やりたい研究内容もそこにあるので。

上記を足し合わせると、3年間で300万円の支出になります。学費の割合が20%から60%を占めるようになりましたが、ここで大学院の制度が効いてくるのですが、どうやら行こうとしている大学院は博士課程の学生に対して給付奨学金を出そうとしている取り組みをしているようです。聞いた話のニュアンスだと学費分はほぼ全員。今年からということもあり財源も限りがあるので、今後変更になる可能性があります。

そうなると3年間で120万円の経済的体力があれば十分です。これがほぼ私がお世話になった大学院の博士課程に進学する決め手になりました。何なら学費分以上の給付奨学金を出せる可能性もあるとのことでした。

大学院が優秀な大学院生を輩出して高い研究成果を出そうと、経済的な取り組みをしていることが伺えます。他の大学院のケースはわかりませんが、こうした取り組みは社会全体としていい傾向になるのではないかと思っています。

ただし、察してもらえるかと思いますがこれは両親の力も借りてのことです。これから両親への説得もしなければいけないところです。

3. 自分の研究の結末を見たい

上記は就職、お金のことだったりを述べてきました。博士課程になると、本人が経済的なことを配慮しなければいけなくなりますからね。

さて、私自身の博士課程に行きたいというモチベーションは何でしょうか?この軸がないと3年間も研究を続けられません。

結論としては、修士で研究した成果は過程でしかなく、その研究の最後を見届けたいのです。

上記で述べたように、修士の研究は就活後に大きく成長し、成績はAAをいただきました。研究としてはうまくいっているようです。

しかし、様々なことをやり残してしまいました。もちろん、後輩に任せるのもいいのですが、4年間研究を放置した結果、誰も興味を示しませんでした。だったら、自分がもう一度参加して、形にし、デプロイするということをしようとそう決断しました。

博士課程の3年は短いと思います。ですが、もう後悔はしないと決断をしての受験なので修士のときとの覚悟が違います。

しかも、研究題材は地球物理学観点からの減災、防災なので、世間体もいいように思います。

まずは入学できるよう頑張ります。

4. 両親には迷惑かけるね

東京へ就職してから様々なことがあり、地元に帰ってきて両親にはお世話になりっぱなしです。すでに経済的に独立している人の方が多い年齢になっています。

しかし、私はまだ独立できないままでいます。本当にごめんなさい。でもあと3年は力を貸してほしいです。

研究に没頭するときもありますが、卒業した時のことももちろん考えます。甘える期間が長いだけでいつかは必ず稼げる人になってみせます。

だんだんと両親も年を重ねていることは身にしみてわかっていますが、どうかいつまでも健康でいてください。

5. この記事を書いたときのわたしの結論

博士課程では両親の力を借りずに自力で行く人が増えており、自分もその一人です。そのため、経済的な面の話が多くなりました。

ですが、博士課程への行きたい理由も十分にあると感じています。

この記事を書き始めるときは、博士課程に行けない結論が出たらどうしようと戸惑ったのですが、むしろ行きたいと思えるようになりました。

両親へは最大の感謝をしつつ、博士課程へ入学するまでできる限りの努力をしようと思います。情報収集、英語と研究を頑張らないとですね。

ここまで見ていただきありがとうございました。もし、入試に落ちたらと思うとヒヤヒヤしていますが、そんなに難しくないということ。十分な準備をしていこうと思います。

ではでは。


*1. 国際宇宙ステーション(ISS): 日本を含む様々な国が共同で活動しており、人類が宇宙空間で活動している唯一の場所。#きぼうを見よう というサービスで時刻を確認することにより、地上から国際宇宙ステーションを見ることができます。
*2. 博士後期課程修了者の進路について 令和5年1月 文部科学省 学術政策局 人材政策課
*3. 学振: 日本学術振興会 の略称のこと。研究者に2~3年の間、研究奨励金および科研費を与える制度。区分があり、博士課程はDC1、DC2がある。


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