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030 官製賃金アップ

 政府も経団連も連合も、声高に賃金アップを唱えている。いったいこの国はどうなっているのであろうか。かつての日本は世界で最も進んだ社会主義国と言われていたことがある。優秀な官僚による計画経済が実現していたからである。
 そして、バブル期にはついに「Japan as No.1」と言われるまでになった。それから30年が経過し、GDPは中国に抜かれ、ドイツにも抜かれ、一人当たりGDPは世界31位である。恐らく、現在の円安水準では、韓国、台湾にも抜かれていると思われる。日本をやり直すために、いろいろなことが叫ばれているが、やっていることはほとんど官製である。つまり、かつての社会主義経済のような政府官僚頼りである。
 その代表格が賃金アップである。そのことは誰も指摘しないし、資本主義国でそんな例は恐らくないであろう。米国の大統領が、争議中の労働組合の応援に駆け付けたことがニュースになったが、それと官製賃金アップとは全く異なる。
 賃金アップは労働者が経営者と対峙して「勝ち取る」ものである。一人では勝てないので組合を結成して団体交渉する。交渉の武器は団結である。交渉は真剣勝負である。交渉が決裂すれば、ストライキになる。双方が疲弊することになり、長期化すれば事業そのものが立ち行かなくなる危険も生じる。
 交渉が纏まれば、労使の達成感は高まり、次のステップに向けて緊張感をもってそれぞれの役割を果たしていくことになる。結果、企業力は増す。このような状況が日本全体に広まれば、日本の国力が増加して成長が可能になるのである。
 そこには、政府も連合も出番はない。官製賃金アップや計画経済では何も生まれないことにそろそろ気付いた方いい。政府のやることは、中小企業も含めて労働者が経営者としっかり対峙できる仕組みを作ることだが、今の自公政権では無理だし、政権交代しても無理かもしれない。

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