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048 般若心経9

故説般若波羅蜜多咒 即説咒曰 羯諦羯諦波羅羯諦 波羅僧羯諦 菩提薩婆訶 般若心経

 いよいよ最後の段落である。この部分を解説することは難しい。何故ならば、これは漢文ではなく、原典のサンスクリット語で発せられた音声をそのまま漢字の読みに当てはめている、つまり漢字を表音文字として利用しているからである。何故そのようにしたのかというと、これが「呪文」だからである。したがって、ギャテイギャテイハラギャテイ・・・のように仮名表記しても良いかも知れない。
 問題は、この呪文がどんな意味を持っているかということだと思う。恐らく、この呪文を唱えれば、般若心経の真髄に達して悟りの境地を得ることができる、というようなことかと思う。悟りを得るための難行苦行に挑む必要はなく、呪文を唱えるだけで悟りを得て、心の安寧が得られるのである。
 そのような解釈が一般的であるが、そのことを踏まえてもう一歩先に進んでみたいと思う。それは、この呪文が彼岸への懸け橋になっているということ。私達は仏前で般若心経を唱えることが多い。彼岸に逝かれた縁者の方たち、あるいは遠く祖先のことを想い、この呪文を唱えると彼らと一体になった空間に至ることができる。会話を交わすこともできる。そこは時間を超えた四次元空間とも言える。そのような四次元空間への扉を開く鍵が、この呪文と考える。
 完


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