齋藤の独白

「え、てか卒研打たん?」

始まりは確かこんな感じ。
若輩者2人の何気ない日常会話。

夢か現か分からぬままこの物語は産声を上げた。
その物語の表題には齋藤と板谷の文字。その2つが記されているのは、同時に酸素を肺に含めたのがたまたまその2人だったからに他ならない。

私は人に頼ることが苦手だ。

と思っている節があった。歩を進めるまでは。

そんなことはとんとなかったわけだが。
私はとてもかなりすごくとんでもなく人に頼ることが得意な人間であった。
おんぶにだっことは私のためにある言葉だったらしい。
正しく、世間を知らぬ「赤ちゃん」、いや、年齢を鑑みると「赤さん」だろうか。なんとも傍迷惑なジャイアントベイビーもいたものである。
閑話休題、兎にも角にも私はこの物語で自分が今までいかに厚顔無恥であったかを思い知らされた。否、教えてもらえた。

そんな高慢だった人間が荒波に揉まれ、塩を塗りこまれ今いい感じにしわくちゃになり始めている。合縁奇縁に包まれながら。
半身改め、板谷と共に。

果たしてこの双りの子はどんな終末を描くのか。

劇場にてお待ちしております。

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