2-4.「恐山」火山に建てられた、 亡者の霊魂をなだめるお寺
2017年09月○○日
「恐れ」は文字通り怖がりながら敬い気分を込めた言葉です。
かつてアイヌの地であった北海道が望める本州の最北端、青森県は
ご存知の通りリンゴ、雪、美人、そして、上手いお酒が有名です。
この青森でも最北端まで行くと
北海道を向けて広がっている
まるで鈍いフック形の下北半島があります。
「明と暗」
こちら下北半島に宇曽利山(うそりやま)には「死」という言葉の前この世とあの世を分けるところがあります。
「恐山」 2017年9月○○日撮影
夕焼けの頃境内最後の客で訪れた恐山は
この世とあの世が絶妙な黒白とカラーの対比で
まるで合成写真の様な錯覚を起こしました。
亡者、
その中でも親より先にこの世を去った子供の恨みと悔しみなだめるスポットがあります。
まるで古い卵が腐ったような花を苦しめる硫黄の強烈な匂いと共に
水源を分からぬ、
山麓から流れて来る黄色い硫黄のせせらぎは
寂寞感に荒涼感を加えてに
死に対する
漠然な恐れと恨みを載せたまま
カルデラ湖である宇曽利湖(うそりこ)に穏やかに案内し
亡者の霊魂をなだめます。
仏教でいう地獄と言われる恐山の谷間周辺には
草一株も、木一本も会えない荒涼の中で
知らぬ誰かが築いた無数な石の塔だけぽつんと
親より先この世を去った子供たちの霊魂をなだめて
親の心を苦しめた罪を挽回するため
心を込めて石塔を築くと
その功徳でようやく極楽に向かうといわれるこちらでは
仏様の本尊が祀られてお寺が立っています。
正に日本3大霊地と言われる風景であります。
湖前に祀られた仏様の優しい微笑が
先去った子供たちの霊魂を
温かく慰めるようです。
恐山はかつて火山爆発で出来たカルデラ湖宇曽利湖を囲んでいる外輪山で
京都府の比叡山、和歌山県の高野山と共に日本3大霊山の一つと言われます。
ここ青森下北地方では昔から人が死ぬとその霊魂が恐山に行くという話があり、
亡者のため供養して祀る神聖な山でした。
亡者の代わりに話を伝える巫女、イタコ口寄せは毎年秋にここで行いまして
長い行列の光景が広がります。
由緒あるお寺はとりわけうら寂しい静けな空気です。
時々旅は
人に悟りと教えも与えます。
いつか我らも行くべきの道でもあります。
お客様たちはみんなそういう気分か
無口です。
一日の最後旅程というくたびれのせいか
人生のたそがれどき入った心のせいか
分かりかねません。
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