2-2. 「道の駅」って何線?(新たな可能性)

2015年春
初添乗以後
新春を向けて添乗が相次ぎました。
地名すら慣れない
全てが初めての経験だったツアー。
自分に対してまだまだ自信がなかった僕は
様々なタイプのお客様やドライバーさんに対して
ツアーに対して
添乗員として取るべきバランスを取れず
いつもビビッていました。
台数(観光バス2台以上ツアーの事)の場合は先輩の1号車があるから
指示に従うと
負担は何とか半分でしたが、
後、すぐ単独ツアーが始まり、真剣勝負も始まりました。

ある日1
ドライバーさん:新宿下車はスバルビル前でいいね?
僕:うん?そういうビルもあるんでしたけ?(--;)
ドライバーさん:は?

ある日2
お客様:ねえ、添乗員さん、先からお寺の境内を「けいない」と言っているけどさ、
この場合は「けいだい」と読むのよ。
僕:あ、そうですか。ハハハ…(#^.^#)勉強になりました。ありがとうございます。

ある日3
お客様:あのね、あたしはツアーも良いけどさ、実は道の駅が好きなのよ。
僕:ああ、そうですか。
忙しい中、ここで新たな悩みが始まります。
(行程表を見ながら)あれ?道の駅?今日電車乗るんだけ?
(あるわけがない…馬鹿!)
道の駅って何線?新しく駅が出来たか?
はあ…(T T)
泣きたいです。
初めてだからしょうがないとは思いますが、
恥ずかしくてバスから脱出したい気持ち(?)でした。

……思い出しました。
日本に来てから4か月頃
日本で初めてアルバイトしたのは埼玉県川口にあったある焼肉店。
僕:いらっしゃいませ!
お客様:とりあえずさ、生一つちょうだい。
(とりあえず…?)
僕:(うん?とりあえずって何?)
メニューのどこを見てもあるはずがないですね。( 一一)
僕:(自分が知らない間とり(鶏)の新メニューが出来たのか?よし!)
(厨房向けてとてもとても大きい声で)とりあえずと生一丁!!!
厨房からの声:はあ??(;一_一)
......

添乗する間
ドライバーさんも、お客様も、寄る所の職員、業者さん…
皆が僕の先生でした。
厳しく、
あるいは優しく
まだまだ完璧ではないけれど、
今の自分が成り立ったわけです。
今でも心から感謝します。

そして、
3回目添乗だった2015年4月○○日、
群馬でイチゴ狩りをメインとした日帰り単独ツアーでした。
東京近郊で添乗を終え、
バスから降りました。
体を支配していた緊張感が一気に解けて
疲労感に変わりました。
でも、やはり一番気になるのは
お客様のアンケートです。
当時でも今でもアンケートの評価は
仕事の続きを左右するほど添乗員としては命、そのものです。
悪いものは燃やせばいいじゃ!
人間としての良心の問題です。
もう暗くなった時間にも関わらず、
僕は近隣のビル前光に頼って立ったまま
ドキドキしながらアンケートを一枚ずつ読みました。
「今日はとても楽しかったです。オーさんの気配り感謝します。今度またオーさんに頼みたいです。」

ああ…
妊娠中で参加された若い女性のお客様のコメントをはじめ…
アンケートの最後ページまでめくった僕の手は震えていました。
感動で胸いっぱいでした。
40名あまりで記入されたお客様の中とても大変悪い、悪いゼロ!
全て大変良い、良い、普通でした。
やった!

喜んだ僕はすぐ派遣会社の所長に結果をメールで送りました。
普通は翌日清算の時書面で報告するけど…(――;)

所長からの返信メール
「オーさんおめでとうございます。
やりましたね。
まだ新人だけど、オーさんの心からの真面目さがきっとお客様に伝わったと思います。
初心!今日の事を忘れずにこれからも頑張ってください!

※追伸:お客様の情報が漏れるかもしれないので道の中や電車でアンケート読むな!(-_-メ) 」

まあ…いいですよ。

疲れが取れた瞬間でした。
新たな可能性はそう生まれる瞬間でした。

しかし、この世は
そんなに甘くないです。

<続く>

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