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息子へ『こちらこそありがとう。』

今長男は幼稚園に行きたくない病(そんな病気はないと思うけど、わかりやすく)にかかっている。

新年度が始まりすぐに骨折をしてしまい、しばらくお休みをした。ゴールデンウィークもありさらにお休みが長引いて結果的に3週間ほど通えなかった。

その後ギブスをしたままの登園の許可を病院の先生と幼稚園の先生からいただいて、2.3日は行っていたのだがここ2週間ぐらいは毎朝『行きたくない』となってしまう。

我が家の方針は『行きたくない時は行かなくても良い』なので無理には連れて行く事はしないが、先生も心配してくれているし、本人も幼稚園は好きと言っているし、仕事も休んでばかりはいられないので、また通えるようになれたらといろいろと試してはいる。

普段バスの登園なのだがそれはできず、一緒に幼稚園まで自転車で行けば登園できる日もある。行けたら楽しいようだ。
だが、その間も私か妻が幼稚園にいないとダメなようで、1人だけでは今日現在もまだ行けていはいない

行きたくない理由は
・母ちゃんと父ちゃんといたい
・また怪我するのが怖い
・新しいクラスに入れない(慣れない)
・楽しいのは楽しいし好きだが不安
・自分でもわからない
が主に長男が言っていた理由だ。
一緒に登園できた時は(ほぼ早退するが)帰宅後はとてもテンションが高く、楽しかったと満足気ではある。お友だちとも見ている限りは心配はない。

そんな行きたくない病の長男と今日も一緒に登園した。


私は仕事を夕方まで休みにして時間ができたので、あれやこれやと話し合い『今日は幼稚園を外から見ていよう』という事になり幼稚園までは行った。

柵がありそこから園内を覗いていると、息子に気がついた子が名前を叫びながら沢山走り寄ってきてくれた。

お手紙をくれる子、遊びに誘ってくれる子、ずっと柵越しにいてくれる子、話を聞いてくれる先生。

毎回こういうありがたさに涙が出る。

息子も嬉しいようで楽しそうに話したりしている。

それでも園内には入りたがらない。

今日は私も園内には入らないと決めていたので外から眺めるだけ。理由は他の子が羨ましがっていたからである。
そんな事もあり私は息子とも少し離れて、出来るだけ他の子どもたちからも見えない場所にいた。

お昼の時間、今日はお弁当を外で食べる日。
みんなが食べているのをじっと見る長男。お弁当は用意してきたし、誘ってくれる子もいたから『入るかい?』と聞くと『いい…』と返事。

そんな風に何をするでもなく時に少し話しながら帰りの時間までは外から見る事に決めた私たち親子。

息子は園内がやはり気になるようで、遊びたそうにはしている(基本的に自由に遊ぶのがメインの園)

そんな息子に『遊びたいならいつでも入ってきて良いって先生からも許可はもらっているよ』と伝えると、少しずつ入り口に近付いていく。

もう少し。あと一歩。焦らず。頑張れ。

ふと園内を見るとみんなそれぞれのクラスの色の帽子をかぶっている。

息子に『帽子は教室にある?』と聞くと頷いた。
『じゃあ遊べなくても良いから、帽子だけ取っておいで』と伝えると『わかった』と理由ができた事でビクビクしながらも1人で入って行った。

まずは一歩前進。

帽子を取りすぐに帰ってきた息子。かぶらせてまた柵の外から眺める。

みんなと同じ帽子をかぶった安心感からか、少しずつまた入って行きたそうな雰囲気。

『行きたいなって思ったら門を自分で開けて入ってごらん。一歩だけでも良いと思うよ』と伝え、頷いた息子。

しばらくまた何もない時間。

『勇気が出ないんだよなぁ』

と息子がポツリと言った。

私は息子が自分自身と戦っている事を感じた。

あと少し。門に手をかけては離す。あと少し。

『入れたら、幼稚園大丈夫になる』

また息子がポツリと言った。

きっと息子も前に進みたいのだ。
自分との戦いに勝って欲しいから、促す事はしたくなかった私はじっと見ていた。

帰りの時間になり園内が静かになった時、息子が門を開けた。周りに人がいない事で恥ずかしさなどが和らぎ気にならなくなったようだった。

だが開けたけど入れない。

『あと一歩なんだよなぁ』

とポツリと呟く息子。不安な様子だがその目には少し力があった。

『ここでも良い?』

と門からすぐの園内を指差した。

『良いよ、水筒は持っていきなね』と私。

ドキドキしながらゆっくりと。恐る恐る。

息子が一歩園内に入った。

門をそっと閉める私。息子は振り返らずにじっと立つ。

『やったね!』

声をかけると、振り向いたその顔は嬉しいような恥ずかしいような不安なような表情だった。

『やった!』
そう言った息子と柵越しにハイタッチをした。その手はとても力強かった。私にも息子の前向きな力が伝わった気がした。

そのままみんなの帰りの時間まで園内で過ごした息子。たまに教室をチラ見。

『少しずつ、少しずつ。大丈夫だよ』

私は息子に伝えたいというより、焦って背中を押したくなる自分に向けてボソボソと言っていたのだと思う。

帰りはみんなが教室から出てきたら先生にサヨウナラを伝えてすぐに帰った。

先生もお友だちも『また明日ね!』と言ってくれた。息子もまた明日ねと応えていた。

嬉しいね。大丈夫、ここにもちゃんと居場所はあるよ。


帰宅後、クタクタでお腹もペコペコな2人は食事をとっていると妻が用事から帰宅したので私は仕事へ向かった。

玄関で息子が

『今日はありがとう、愛してるよ』

と言いながらハグをしてくれた(我が家は出かける時は必ず愛してると伝えます)


『どういたしまして。父ちゃんも勇気をもらえました。こちらこそありがとう。愛してるよ』


幼稚園には沢山ご迷惑をおかけしている。せっかく良くしてくれているお友だちにも残念で悲しい思いをさせているかもしれない。

凄く申し訳ないなぁと思う。

それでも、少しずつだけど一歩前に進みちゃんと気持ちを伝えられる息子を誇らしく思う。

行きたくない病じゃなかったら見る事も感じる事もできなかったかもしれない。

こちらこそありがとう。

そんな事を思いながら仕事へ向かった。

きっと明日はまた行きたくないって言うんだろうなぁ。親としても悩むし正解はわからない。不安だ。

それでも良いから、お互いまた少しずつ頑張ってみよう。一歩踏み出してみよう。


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写真はお出かけした際の息子たちのお尻です笑






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