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海田町死体なき強盗致死事件公判傍聴記・2024年7月24日(被告人:今泉俊太)

2024年7月24日
広島地裁刑事2部合議係
302号法廷
事件番号:令和5年(わ)第132号等
罪名:強盗致死、監禁、死体遺棄
被告人:今泉俊太
裁判長:後藤有己
書記官:川瀬瑛之

傍聴席の内、中央24席は、着席禁止の張り紙が張られていた。証人が、衝立を使用して証言するからであろう。証言台は、衝立で囲まれていた。
検察官は、三名であった。眼鏡をかけた鼻の丸いがっしりした中年男性。ショートボブの中年女性。髪のもっさりした青年。机上にいくつのも青いファイルを立てている。
弁護人は、太ったスキンヘッドの中年男性と、眼鏡をかけた痩せた中年男性。記録に目を通していた。
記者席は、検察官側に二席指定。しかし、すぐにカバーが外され、解放される。
傍聴人は、16人ほどであった。
被告人は、青いノートと訴訟記録を両手で持ち、前を向いて入廷した。目が細く、鼻は高く、色白で、優男風の風貌である。痩せており、背はすらりと高い。目が細い以外は俳優と言っても通りそうな風貌だが、襟元と、両手の甲から覗く刺青が、改めて被告人の素性を思い起こさせた。両手甲の刺青は、赤と青の花である。細い白い縦ラインの入ったストライプのスーツジャケット、その下には黒いシャツを着ている。ノーネクタイである。ズボンも、細い白い縦ラインが入った長ズボンである。被告席に座ってから、ちらっと後ろを振り返り、傍聴席の方を見ていた。また、刑務官に話しかけてもいた。
衝立が広げられ、証人が入廷する。手錠が外される音がする。証人は、保釈されていない人間のようだ。また、刑務官が、証言台を囲む衝立の隣に座る。証人は小さな声で、裁判長に何か言っていた。裁判長は、「ああなるほど、解りました」と言い、「もうちょっと前へ」と頼む。
裁判長は、白髪の初老の男性。裁判官は、茶髪ロングの若い綺麗な女性と、眼鏡をかけたショートカットの中年女性。
裁判員は、中年男性、中年女性、眼鏡をかけた中年男性、眼鏡をかけた中年男性、ずんぐりした体格の中年女性、眼鏡をかけた初老の女性という顔ぶれである。
10時より、今泉俊太被告の公判は開始された。

裁判長『それでは、開廷します。証人の名前は』
証人『K・Mです』
強盗致死で起訴され、広島地裁で懲役11年の判決を受けた、今泉被告人への依頼者、K・Mである。
裁判長『生年月日、住所、職業など、カードのとおり』
証人『はい』
裁判長『宣誓を読んでください』
証人『私は今、控訴中なので、証言も宣誓もすることが出来ません』
裁判長『何点か内容を確認させてください』
証人『はい』
裁判長『何で控訴中』
証人『私自身の、えっと、裁判が、まだ控訴中なので、終わってないので、現時点で、証人として、証言、宣誓することができません』
裁判長『強盗致死、死体遺棄の共犯』
証人『はい』
裁判長『共犯者として起訴され』
証人『はい』
裁判長『控訴中』
証人『そうです』
裁判長『それでいい』
証人『はい』
裁判長『宣誓していただけないと』
証人『はい』
裁判長『それはなぜ』
証人『私は、今から自分の裁判の控訴裁判所の裁判があるため、今日発言する内容が、証拠なり色んなものに使われる可能性があるので、できません』
裁判長『貴方の立場からすると、刑事訴追、有罪につながるので、無理と。それは解るが。宣誓しないでいいとはならない。宣誓して、証言できないということ可能なんです』
証人『んー』
裁判長『なので、できれば、宣誓して、証言、無理と。それで手続き進められる。何故こんなことを言うかというと、宣誓は義務があり、それ果たしてもらわないと、貴方に対して、過料、刑事罰受けることがある。できれば、宣誓した上で、証言無理と。その時々で、拒めるか、決まってくるか、拒むの、それなりの理由あると。宣誓するけど、証言は拒めると。そうしてもらえないか』
証人『ちょっと確認なんですけど、宣誓を証人としてここにして、その後、証言は、必ず拒むことができるんですよね?』
裁判長『拒めます』
証人『できる』
裁判長『法律上書いてあるので、そういった内容、拒める』
証人『で、過料とかもないんですね』
裁判長『はい』
証人『それだったらやります』
裁判長『はい。宣誓だけはしてもらえますかね』
裁判長、裁判官二人と、何か話し合っている。
裁判長『それでは、宣誓して。手元の宣誓書を読んでください』
証人『宣誓、良心に従って、真実を述べ、何事も付け加えないことを誓います』
裁判長『記憶に反すること述べると、偽証罪となる。有罪となるの、証言は拒める』
証人『はい』
裁判長『検察官、どうぞ』
眼鏡をかけた中年男性の、井上検察官が証人尋問に立つ。

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