昭和戦前における、被害者人数を超える死刑求刑事例

<月島タクシー運転手強盗殺人事件(ポンコツ事件)>
*被告人
朝比奈希市(31歳)、野原達夫(32歳)
*起訴された主要な犯罪
 被告人両名は共謀し、1930年9月23日、月島においてタクシー運転手を朝比奈においてハンマーで殴打、野原において首を絞めるなどして殺害。タクシーを奪った。
*罪名
 強盗殺人、死体遺棄
*求刑と死者・被告人両名に死刑。死者1名。
*判決
一審・1932年5月9日東京地裁判決。両名に死刑。
控訴審・東京控訴院判決。両名とも控訴棄却
上告審・1933年7月11日大審院判決。両名とも上告棄却
*参考文献
殺人全書、三十九件の真相、大審院判決

<八王子タクシー運転手強盗殺人事件>
*被告人
田辺重光(28)、糸原重雄(24)
*起訴された主要な犯罪
 1932年、被告人両名はタクシー運転手を殺害し、タクシーを奪った。
*求刑と死者
 田辺と糸原は分離公判となった。
 被告人両名に死刑求刑。死者1名。
*判決
一審・1933年12月19日、東京地裁判決。田辺に死刑、糸原に心神耗弱として無期懲役。
*備考
 田辺は元タクシー運転手であり、金銭目的で強盗に絞殺されかけた経験のある、犯罪被害者でもあった。
*参考文献
警視庁史

<石川県タクシー運転手強盗殺人事件>
*被告人
勝間利雄(24歳)、高田三郎(24)、五島英一(23)
*起訴された主要な犯罪
 被告人三名は、1932年6月4日、共謀の上、石川県河北郡においてタクシー運転手を絞殺して現金を奪った。以前より被害者の殺害を3人で計画していた。勝間が首を絞め、高田が下駄で被害者を殴打。その間、五島が被害者の身体を押さえていた。最後に、勝間が再び首を絞めて殺害した。
*求刑と死者・3名に対して死刑求刑。死者1名。
*判決
一審・1932年11月4日、金沢地裁判決。勝間に死刑、他二名に無期懲役。

<千駄ヶ谷パス屋殺し>
*被告人
後藤モト(52)、長谷川繁(32)
*起訴された主要な犯罪
1931年8月27日夜、不倫の関係にあった両名は共謀し、モトの夫を鈍器で殴り殺害したとされる。
*判決
一審・1934年5月26日、東京地裁判決。被告人両名に死刑判決
控訴審・1935年10月15日、東京控訴院判決。モトに控訴棄却、長谷川は無罪。
上告審・大審院判決。上告棄却。
*参考文献
三十九件の真相、法律新聞


<西日本連続放火事件>
*被告人
 古川義雄(36)
*起訴された主要な犯罪
 1932年から1936年にかけて、愛媛、熊本、福岡など、西日本の50数か所に放火を行い、松山城も全焼させた。犯行予告や挑戦状を警察や新聞社に送りつけていた。一連の犯行での死者は0名である。
*求刑・死刑、死者0名
*判決
一審・1937年11月12日、松山地裁判決。死刑。
控訴審・1938年2月25日、広島控訴院判決。控訴棄却。
*参考文献
放火魔、近代庶民生活史、愛媛県警察史、実録福岡の犯罪

<桐生夫毒殺事件>
*被告人(仮名)
酒巻てい(38)、岩井信正(38)、須川カヅ(55)、坂上常吉(40)
*起訴された主要な犯罪
 ていと正信は不倫の関係にあったが、関係を継続し、財産を手に入れるために、正信の発案により、ていの夫を毒殺することを共謀。報酬をえさに、カヅを引き込み、カヅにおいて祈祷師であった常吉を引き込む。当初は常吉の祈祷により呪殺する予定であったが、結局、常吉の発案により毒殺を発案。正信と常吉によりネコイラズを用意し、ていとカヅが、ていの夫に毒を盛り続けた。1936年5月7日に、てい、常吉、カヅは、被害者に酒と睡眠薬を飲ませ、被害者を燐中毒により殺害した。
*求刑
 てい、正信、常吉の3名に死刑求刑。カヅに無期求刑。死者1名。
*判決
一審・1937年9月27日、前橋地裁桐生支部判決。てい、正信、常吉の3名に死刑判決。カヅに無期懲役判決。
控訴審・1938年10月6日東京控訴院判決。ていと正信に控訴棄却。常吉は無期懲役に減刑、カヅに控訴棄却。
上告審・1939年2月9日大審院判決。てい、正信、常吉の上告棄却
*参考文献
群馬県重要犯罪史

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