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「介護予防」という言葉の危険性

介護予防という言葉は使ってはいけないかも

現在、私たちは65歳〜80歳にフォーカスした運動プログラムを作っています。高齢者の運動といえば、すぐに介護予防という言葉が出てくるし、介護状態になることを予防するというコンセプトはとても良いものだと思います。

しかし私は、介護予防関係のサービス(行政も含む)を広める上では、「介護予防」は使うべきではないのではないかと考えています。

※まだ、サービスを実際に販売していないため、あくまで仮設段階でしかないですが、ご容赦ください。

運動の必要性を伝える2つの方向性

介護予防の有料サービスを利用してもらうには、高齢の方々に運動の必要性を感じてもらわなければなりません。そもそも運動しなくて良いなら、そこにわざわざお金を払わないからです。

そこで、どうしても運動の必要性を啓蒙しなければならないですが、それには2つの手段があると考えています。一つ目が「将来、介護状態になるタイミングを遅らせる」というものです。未来の不安を意識して、今対策しておきましょうと主張するイメージです。

二つ目は、「今の状態を良くする」というものです。例えば、運動をすれば疲れるので、睡眠の質が上がり、脳も活性化するというイメージです。

私は、二つ目の「今の状態を良くする」という手段を活用するべきであり、一つ目のように、未来の不安を煽るのはあまり有効ではないと考えています。

人は予防にモチベーションが湧きにくい

その理由の一つとして、人は予防にはモチベーションが湧きにくいことが挙げられます。歯医者でも予防歯科というものがありますが、多くの人は虫歯が痛くなってから歯医者に行きますよね。かくいう私も、予防歯科に行くのがとても苦手です。歯が実際に痛くなったら、もう歯医者に行くしかないと感じますが、まだ痛くないのに何故歯医者に行かないといけないの?と考えてしまいます。

「予防」というのは、まだその人の中に課題が生まれてない状態だと思います。

「介護予防≒嫌々運動する」というイメージ

さらに「介護予防」という言葉には、どうしてもネガティブなニュアンスが含まれてしまいます。介護予防の定義をネットで検索してみると、「介護状態になるのを遅らせるための行動」と出てきました。しかし、この「遅らせる」という言葉は、いくら予防してもダメな状態になるなら、何故大変な思いをしないといけないの?と感じてしまう恐れがあります。

また、「介護状態になるのを遅らせる」というのは、あまりにも社会的すぎる気がしています。国は介護予防を推進していますが、「介護予防しなければ、将来の介護費や医療費、手間がかかるため、社会にとっても良くない。だから、予防してください。」というコンセプトから始まっているような言葉のように思います。確かにその通りではありますが、1人の高齢者に対しては、社会保障費増大はあまり身近ではありません。自分にメリットがないのに、運動しろと言われると、あとは家族や社会のためという動機しか無くなってしまいます。

そのため、介護予防という言葉を使う限り、嫌々運動するという沼から抜け出せないままではないかと私は考えています。

「介護予防」以外で、運動や栄養の必要性を説くには

私は、上記の理由から、サービスを広める上では、なるべく介護予防という言葉は使わないようにしたいと思います。しかし、それではどのように高齢の方々に運動の必要性を感じてもらえばよいのでしょうか?

私は、上の二つ目に記載した「今の状態を良くする」というのが、一つのアイデアだと考えています。

確かに、運動は介護状態になるのを遅らせることができます。しかし、それ以外にも運動には多くのメリットがあると言われています。運動脳という本に記載がありますが、心拍数を上げるような運動をすれば、日頃のストレスから解放されたり、記憶力が向上したり、物事に対する意欲が増したり、集中力や創造性が大きく高まったりします。他にも、睡眠の質が高まることで、熟睡してからスッキリ目覚めることもできますし、体力がつき活動的になることもできます。

65歳〜80歳の方々は、スマホを使用しているデジタルシニアが大半です。また、昔よりも週3日で仕事をしている人も多くいらっしゃいます。つまり、年齢はもちろん高いですが、まだ多くの人が思うような「シニア」にはなっていない人が多いのです。

脳や体が活性化すれば、仕事や旅行や趣味もより楽しむことができます。

私たちは、暫く、「介護予防」という広め方ではなく、脳と体の活性化によるQOL向上を理想として、介護予防サービスを広めていきたいと考えています。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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