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少年の話と、物語の解説

【はじめに】
本編は、 AtoZ謎解き公演「続く絶望、希望の終わり」のA面として書かれたものです。セットになるX面は以下よりご覧ください。
X面:謎解きと演劇の組み合わせについての一考

ご来場いただいた皆様、ありがとうございました。今回、「役者」になってから初めて役者としてキャスティングされた公演でした。プロジェクトAのマーサ氏にお声がけいただいた時、一体どんな話になるのだろうと考えておりました。ここまで叫んだり走ったり泣いたり笑ったりするとは思ってもいなかったです(笑)ですが、本当にこの役ができて良かったと考えています。AtoZという企画にお招きいただいて、本当に感謝しています。

ここでは、脚本面の解説や小話に終始します。謎の出来は、私もデバッグをしたのでそのニチョさ、隙のなさ、頭のおかしさについて、参加者の感想に激しく同意です。
先に申しますが、非常に読みにくいです。基本的に思いついたものを思いついた順に書くのが、私の性格であるためです。推敲しろよ…と、すみません。その点ご容赦いただいたうえでお読みいただけますと幸いです。

お話の小話

今回の企画は、ニチョ謎(@nichonazo)とプロジェクトA(@projectA_2014)のコラボでした。謎の制作は、ニチョ謎のコウ氏です。物語の本筋はニチョ謎のアキラ氏が、脚本とキャスティングはプロジェクトAのマーサ氏が手掛けていました。
実はこの脚本とは別に、この舞踏会が開かれるに至った前段の話(魔法使いが彼らを救うことになった前後の話)がテキストとしてあります。それらは公演で、殆ど触れられません。その話がアキラ氏から語られることになったら、もっとこの物語を楽しむことができると思います。一方で、その前段の話を知っているキャスト陣が公演内で参加者にお伝え可能だった点について、一応ここで触れておこうと思います。一部、私自身が脚本の解釈上「そうしていたのです」という点についても触れますが、それらは物語を作ったアキラ氏の考えていることとは全く異なる、深読み的な場合があることをご了承ください。むしろアキラさん、暴走気味に色々考察しちゃってごめんなさい(え)。

*あの白シャツは誰なんだ?という話

そういえば…少年が手を引いてきた人間は誰なんだ?という話。一切説明調の説明をされていませんが、参加者の分身に当たる人間でした。
演じていたのは、某宝探し系の謎解き公演で見たことがあるという方もいると思いますが、長澤英知さん(@hidetomorrow09)でした。因みに魔法使いは、某田一の謎解き公演で見たことがあるという方もいると思いますが、野口雄介さん(@noguyou)でした。

その他、「誰なの?」と思う人が多くいたと思うので、公式でも公表されると思いつつ、こちらでも書き記しておきます。敬称略。
・分身:少年に手を引かれてきた人 長澤英知(@hidetomorrow09
・魔法使い:ローブの人 野口雄介(@noguyou
・少年:チェック帽子の人 小池ウラン(私です)
・エスコート統括:狐の人 アンソニー(@moderate_cat
・大柄女性:豪華なドレスを着た人 暁(@nichonazo
・男装家:ハットをかぶった人 ユナ(@una0902s
・狼人間:狼の人 誠(@TENSAKASAMA
・クレイドール:白いワンピースの人 ゆい(@yui_77314
・アンドロイド:サイバー眼鏡の人 タケやす(@tkys627
キャストとは別に、各テーブルエスコートをしていたバインダーを持っていた男装・女装は、おすかる(@TA_KE_BE)、てづか(@tezuka_at_ie)、たっち(@touch009)、水銀(@760mmHg_ans)、はるひろ(@halhilo)、ポンポン(@makeisloss)、みずき(@pumpkin0111)でした。

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*女の子になりたい話

(読み飛ばしポイント)以降は私の解釈です。単純に男装女装異形の者達を、お祭り感覚で楽しんで頂くこともできたのですが、あの空間では世間一般から弾き出された者たち…身においても心においても、自分の本来の姿を受け入れてもらえなかった者たちが舞踏会のエスコートとなっていたのだと感じてくれたらなぁと思いました。
そして、その中で少年は…少年の姿のままでいたので、異質でした。女の子になりたい、は本当の願いだったのでしょうか?それが本当の願いであっても、本人には本質的な願いではないと、分かっていたのではないでしょうか。最終問題の答えを思い出して頂くと「女の子になりたいんだ」という台詞が、少し違って見えてくるかと思います。

*名前がない話(2016/05/31追記)

各登場人物には、名前がありません。それは名前があると、謎に関係すると思ってしまう場合があるから…ということでした。だから、何人かの参加者には「名前は?」と聞かれましたが「そう簡単に教えないよ」とお答えしていました。

(読み飛ばしポイント)…だた、本当に名前はないのだと思いました。エスコートも、最後までお互いにお互いの名前を言いあうことはしませんでした。それはお互いに名前を知らないからでしょう。名前を持っているということは、願い事によって変身しようとしている彼らの妨げになったはずです。あるいは、現で呼ばれていた名前を名乗ってしまったら、現に繋ぎとめられてしまうから、名前は捨てたのだと。

*文字が読めないエスコートの話

ランダムで「エスコート(夢に住む者達)は文字を読めない」という話を、少年やドール等から聞ける場合がありました。これは能動的にエスコートと会話したり、エスコート同士の会話を聞いたりしても分かります。この理由が分かると、少しだけこの物語の深みが増します。

…この理由についてはTwitterで書きませんでした。理由は「魔法使いとエスコートが接触しないようにするため」。魔法使いは願い事を叶えられない、だから願い事のあるエスコートにその事がバレてはいけない。では一切の接触を断てばいいのか?
会場でお話しする時には、以下のように説明をしていました。「魔法使いはエスコートに接触してはいけない。しかし、魔法使いが接触しなければならない人たちがいる。それは、今回の参加者のように夢へ迷い込んで来た人たち。そこで魔法使いは、『試練』として謎解きの問題を作った。『試練』があることにはエスコートも納得している風なので、魔法使いはエスコートが読めない文字で問題を作ることによって、自分に会いに来れる者達を上手くコントロールしようとした。文字が読めないエスコートは問題を解けない。文字が読める者たちは、瞬殺で問題を解く。問題が難しくないのは、本当の意味での『試練』ではないから」。
因みに、少年やドール等に話しかけると、「問題の文字が読めない。でも同じ形、みたいなことは分かるよ…これとこれは同じ形(同じ文字を指さして言う)」というコミュニケーションができました。形は認識できるけど、読めない…読めないとは?言い換えれば「音読できない」。だから魔法使いは、最初の問題を出した際に「希望の言葉は口にするな」と言っていました。だって『試練』の答えを聞いたエスコートが、自分に接触してくる可能性があるから…なのです。

(読み飛ばしポイント)ここからは私の妄想の話です。完全に深読み的な話題なので、皆様の妄想のお手伝いになればという話ですが…なぜエスコートは文字が読めないのか?魔法使いは魔法使いではないので、「文字が読めなくなる魔法を使うことができないのでは」という話。たぶん、夢の世界とて会話では参加者と同じ言語で話しているので、読めないわけがない。あくまで迷い込んだ人たちを元の世界に戻すことはできても、(この物語中には)自由に魔法を使えるという話はない。必要だから使えるように設定してしまってもいいですが…
で、私の答えは「エスコート自身が読めないように、自分で心を閉ざしている」ということでした。魔法使いが作った段階では単純に解けないだけだったかもしれません。が、その後、舞踏会を続けていく上で文字を読めないようにすることが、エスコートにとって都合が良かったのではないでしょうか。
この夢の世界が夜を繰り返している間、毎晩行われているのが舞踏会。舞踏会の根幹は、願い事を叶えてもらえる『試練』。要するに、『試練』を超えて願い事が叶うことは至極嬉しいことだけれど、それが叶うことで楽しい舞踏会が終わることになる。であれば、文字が読めないから問題が解けない、先に進むためのスタート地点に立てないように自分をすればいい。
アンドロイドの恋や獣人たちの友情を見ると、それらは長い時間の中で生まれた物のような気がします。これは例えば夜を繰り返していることを知らなくても、この舞踏会に至るまでの夢の中の暮らし、あるいは繰り返している意識はなくても繰り返される楽しい時間の積み重ねが、エスコートの心に残っているからだと思います。認識している以上に長い時間、楽しい舞踏会をしていると無意識に感じている。
少年は「あ…でも、僕は問題解けてないから」と答えるシーン。「願いは叶えたいけど、舞踏会は終わらせたくない」、私の演じる少年ではそういうつもりで言っていました。問題が解けていなくても、答えが分かるから願い事は叶えてもらえる。どこかでズルをしたら…という話があったのでしょうか?そんな話はなく、ただ少年が希望を得るのではなく立ち止まっていたい、と思っていたのではないかなと、考えていました。立ち止まるには、問題がそもそも解けない…文字が読めない状態になる方が都合が良い。…という答えになりました。どんだけ深読みしようとしているんだ、私は。
因みにこの考察は、「何故彼らが舞踏会の参加者ではなく、エスコート役を買って出ているのか」という点の答えにもなってきています。

*絶望(全滅)エンドと希望エンドの話

8公演中1回はあるのではないかと言われた、絶望エンド。結局1度もお披露目せず。その詳細は諸事情で書きませんが、個人的には正規ルートでした。一部の方が希望エンドを見て「フワッと終わった」とおっしゃっていたのとは逆で、絶望エンドはしっかりと絶望で終わります。だから正規ルート、というわけではなく、希望を持った者と絶望で終わった者が明確に分かる残酷な終わり方をするからです。たぶん絶望エンドやってたら、過呼吸どころか、まじで声出して泣いていたと思います…。

(読み飛ばしポイント)一方、希望エンドについて。個人的にはあの終わり方以外、出来なかったと思います。もっと長く時間を取っていいなら、他の終わり方もあるだろうことは認めてしまいますが…実際、少年にかけられた言葉は彼を正気に戻しても、ドールや男装家、狼人間のように打開できる何か…対象物や今後できるような事を見出せるものではありませんでした。この後この夢は、舞踏会は、少年はどうなるのか?その時ふと、思ったんです。この作品の参加者の分身が、本当は私だったのではないかと。だから最後の暗転は、私を分身として見た参加者にとって、明転した先で参加者自身が元の世界で歩む明日こそ、お話の続きなのだ、と考えて演じていました。
…ここでお詫びすることではないのですが、後半の暴れる演技で参加者の足に当たってしまうことがあったと聞きました。本当に申し訳ありません。机に突っ込んでいく、参加者に喰らい付くこと自体は演技としてやっておりました。しかし、観客を危険に晒すことは最もやってはいけないことなので、足を怪我された方がいらっしゃらなかったことは幸いですが、当たってしまって不快な思いをされた方がいらっしゃいましたら、本当に申し訳ありませんでした。

*その他の小ネタ

・私の身長は163㎝です。本当はどうでもいいのですが(苦笑)

・帽子についていたブローチは、蝶ではなく「ヒトリガ」という蛾です。名前も然ることながらですが、ヒトリガは「飛んで火にいる夏の虫」という言葉通り光に集まる習性が他の蛾に比べて強いこと(渦中にいる象徴、光という希望に強く惹かれる特徴)、夜行性であることから、個人的に少年と重ね合わせて、ひっそりと帽子に着けておりました。余談に余談と重ねると、チェック帽子は私チョイス(チェックのジャケットはマーサさんが候補からたまたま選んだ)ですが、ヒトリガの白黒斑の特徴に合わせました。更に、当初は黒の蝶ネクタイにブローチを付ける予定でしたが、赤の入った蝶ネクタイにしたのも、ヒトリガの特徴を汲むためです。

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・衣装は自分チョイスです。その中でも、蝶ネクタイ、べスト、上記に挙げたブローチはクリエイターさんの作品になります。他の作品も素敵ですので、是非よろしくお願いします。

蝶ネクタイ:aka-cho様 https://minne.com/aka-cho
ベスト:Pan a noise様 https://minne.com/pan-a-noise 
ブローチ:Create555様 https://minne.com/create555 

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さいごに

ざーっと書き連ねました、読みにくくてすみません。こんな感じで、A面は終わりにしたいと思います。ここで言いたいのは(?)、公演は終わってしまいましたが、物語を思い出して楽しんで頂けたらなということです。私自身本作を通じて学んだことが多くあるので、もっと謎だけでなく物語も評価してもらえたらなぁなんて。
因みに噂では、どうやらこの公演をXX化すると聞いています。どうかそれが叶って、またこの物語をじっくり読んだり考えたりできる機会が皆様にありましたらと思います。

最後に重ねて、参加いただいた方々ありがとうございました。また、ここまで読んでいただいた方々もありがとうございました。最後に、物語に参加させてくださったAtoZの制作陣・キャスト陣の皆、ありがとうございました。

【A面って?】
毎回、自分の立った舞台やイベントについてワンサカ書いていますが、その時に語ることを2つに分けた方が良いなというと、A面(良かった事や感謝事、閑話休題)とB面(1人反省会、少し容赦のない感想、オチ)に分けています。また、いつもFacebookの方で書いていますが、今回A面は特に小話もあるのでnoteに書きました。個人的な分け方なので、気にしないでください。悪しからず。


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