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現状を正確に捉える ただそれだけ

明け方に、何度もスマホから警報のアラームが鳴りましたが、少しずつお天気が回復しています。
暦の上では季節は秋に変わりました。まだまだ暑い日は続きますが、「立秋」を過ぎると、”もう少しだ!がんばろう!”という気持ちになります。

先週から、銀行の店舗改善指導が始まりました。
訪問した支店でどのようなことを行うかは、支店のご要望によって異なります。でも、どのようなご要望にもきちんと応え、成果につながる取り組みのご提案を行っています。

今回、3店舗目に訪れた支店では、「新入行員から3年目行員が12名いるので、マナー研修を行ってほしい」というご要望をいただいていました。
営業時間内で行う研修で、先輩行員の中には来客や客先への訪問が決まっているため、いただく時間も1時間程度でした。
事前に、どのようなことが気になっているのか?を取りまとめてもらっていました。
内容の中身は、”直接伝えてもらったら、すぐに改善できるのに?”と思うようなことが大半でした。

そのあたりのことを、それとなく支店長にお伝えすると「伝えたことが若手行員のモチベーションを下げることになったり、ハラスメントになるのでは?という不安があるようで言いにくいらしいのです」とのこと。
内定者研修、新入社員導入研修、渉外担当者研修と、彼ら、彼女たちの研修を何度も担当させていただいているので、喜んでお引き受けすることにしました。

身だしなみ、言葉遣い、あいさつ、態度、電話の応対、時間管理…。気になる点は多岐にわたっていました。
これらの内容について実践の度合いをチェックリストにまとめて、まず自己チェックを行っていただきました。
それぞれの結果は10段階評価で6点以上。
みんな、チェックリストに書かれた内容は、「自分なりに意識して取り組んでいる」と認識しているようでした。

「導入研修でお伝えしたことを、皆さんが毎日取り組んでくださっていることがよくわかりました。では、今日は相手がどの程度のレベルを求めているか?補足していきますので、今後のスキルアップの参考にしてください」と伝え、事前に伺っていた先輩や上司の気がかりを絡めて伝えたり、簡単なワークでお互いをチェックしていただきました。

すると、皆さんの目の輝きが変わり、姿勢が前のめりになり、私がお伝えする内容を一生懸命メモしてくださっていました。
特に、会議室に入室した直後は、「忙しいのに」オーラを体中から出していた2年目のHさんが豹変しました。
質問にハキハキと答え、誰よりもメモを取り、隣に座っている後輩の話を熱心に聞いて助言しはじめたのです。彼女は、私が店舗改善指導を終えて帰るときも、とびっきりの笑顔であいさつをしてくださっていました。
一人一人、もっと成長したい、支店に貢献したいと思っていることが伝わってきました。
研修の終わりに、もう一度チェックリストを行っていただくと、みんな最初の採点より厳しめな点数になっていて、取り組む課題も明確になったようでした。

仕事に精通しキャリアを重ねていくにつれ、感覚的であっても、あるべき姿と現状にギャップがあることは認識できるようになります。
職場で部下や後輩を、講師が研修で受講生を指導する際に、ギャップを埋め合わせるためにカウンセリングやコーチング、ロジックな伝え方を用いて改善を図っていきます。

改善指導で訪問する企業さんや店舗でも、先輩や上司である方々がコーチングやカウンセリングなどを習得されていることも増えてきました。
しかし、なかなかそれが活用できていないのが実情だと思います。それはなぜか?

正しく現状を捉えていないからではないかと思います。
正しく現状を捉えていたとしても、相手の行動につなげるためにどのように伝えればよいかが実践できていない。
「言って、相手が落ち込んだり気分を害したりしたらどうしよう」と相手がどう受け止めるかを不安に感じる方も多いようです。
他人の気持ちはその人でしかコントロールできません。どんなに伝え方を工夫しても、いつも自分の望んでいる結果が得られるわけではありません。

「相手にちゃんと受け止めてもらいたい」「願わくば一回言ってわかってもらいたい」
経験を重ねずにそういう思いばかり持っていても、うまくいくはずがありません。伝わらないもの、届かないものと認識して覚悟を持って忍耐強く相手と向き合うことが必要です。
カウンセリングやコーチングを習得しても、手法ばかりに目が向いて現状とゴールをしっかりとらえていない場合が多いのでは?と思っています。

現状を正確に捉えるとは?

①指導対象になっている方の行動や言葉を出来るだけ客観的に正確に捉えること
②その言動が生じている背景を推察すること
③推察を正確な把握にするため、直接指導対象者に確認すること
④あるべき姿を描き、指導対象者が自発的に改善に取り組めるよう戦術を立てること

私はこの4つを網羅していことだと考えています。
どんなに高度な考え方やスキルを学んでも、現状とゴールを見定めて自分がどのように駆使すればよいのかがわかっていないと、宝の持ち腐れです。
自分が学ぶことは大切ですが、学んだことが価値あることであればあるほど、現状に目が向かなくなる場合もあります。

研修講師の仕事は、相手の変容を促し成果や成長に結びつけること。
現状を正確に捉えることが何よりも大切です。

私は、高度な知識もスキルも持っていません。でも、現状を正確に捉えることは、物流会社で業務改善を担っていた頃からずっと大切にしてきました。
社会の変化に応じて、様々な知識やスキルが求められていますが、それらはすべて現状の正確な把握の上に機能させるものと捉え、成果や成長の一躍を担っていきたいと考えています。

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