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スマホのアプリを使ってコミュニケーション

専門学校の講義でインタビュー実習を行うとき、わたしは教卓に立って様子を見守っています。会話が進まなくて困っている様子が目に入っても、私は介入しません。それも学びだと考え、レポートに書かれた気づきや感想を読みながらフォローしています。

でも今回は、私も実習に参加しました。
中国に一時帰国した留学生が、今週から講義に加わるごとになっていました。
事前に日本語の勉強をされているですが、期間が短すぎて、日常会話も十分でないと伺っていました。
その状態では、ペアを組む他の学科の学生も困ってしまう。私の講義についての簡単な説明とともに、他の講義や生活に困っていることがないか聞かせてもらおうとおもいました。

インタビュー実習が始まり、彼女の隣に座ると、明らかに不安な様子が見て取れました。
私が話す言葉がどれもわからないようで英語も同様でした。
少し沈黙がつづきましたが、彼女がいきなりスマホで入力を始めたのです。
画面には
「面倒でなければ、翻訳で会話させてもらっていいですか?」と表示してありました。

そこからは、お互いに入力して日本語と中国語に変換しながらの会話。翻訳アプリのクオリティの高さにびっくりでした。

彼女は、Iさんという23歳の学生さんで、中国で4年間看護について学ぶ中で、日本でさらに医療技術を学びたいと思い留学したと話してくださいました。
日本語はまだまだわからないことばかりですが、講義の内容は看護に共通するものがあるそうで、アパートに帰ると資料やテキストを翻訳し、日本語も勉強しながら毎日必死でついていっているとのこと。担任の先生からも、前期で単位を落とした科目は一つだけと伺いました。
言葉がわからなくても、学ぶ意欲は誰にも負けていない!翻訳機を通して、彼女の熱意が伝わってきました。

不安なことがあれば教えてほしいと尋ねると返ってきたのは

「私がわからないことで、先生や他の学生の方の時間をとってしまうことが不安です。わからなくても、私から言いにくくて黙っています」ということでした。

わたしは、「私でお話しを聞いたり引き継げることがあれば、これからこのアプリを使ってやり取りしていきましょう!私の講義は、皆さんの不安を少しでも解消することが目的なので、安心して、なんでも話してくださいね」と入力しました。

中国語に変換された内容を見たIさんの表情がみるみる変わり、私を見て笑顔で大きく頷いてくれました。
不安の理由は、他のみんなへ申し訳なく思う気持ちだったこと。聞かせてもらって本当によかったと思いました。そして、アプリを使おうと、彼女が提案してくれたことも嬉しかったです。

講義の終わりに、彼女からアプリで変換しながら日本語でぎっしり書かれた感想レポートを受け取りました。
皆さん助けを借りながらこれからも勉強に励みたい!という意欲的なメッセージが書いてありました。

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