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マナー研修

毎年この時期に、市民病院の接遇研修を担当させていただいています。
今は、この病院の看護部で全階層の方を対象にした研修を担当させていただいていますが、そのきっかけになったのは、1時間の接遇研修でした。

夕方5時から約1時間の研修には、たくさんの方が受講してくださっています。勤務を終えて途中から参加される方もいらっしゃるので、最初は空席が目立っていた講堂が、研修が終わるころにはいつもいっぱいになっています。

しかし、一昨年からコロナ感染拡大により、対面での研修が難しくなりました。そこで、マナー研修を実施する日に、各部署でテキスト使って日頃の応対を振り返る時間を持っていただくようにしました。

テキストは、市民病院で作成されたものを使っていただいています。私は、1年間で市民の方から寄せられたご意見をもとに、再発防止のポイントをまとめた資料を作成し、研修実施日に配付してもらっています。

企業や店舗が実施するお客様アンケートの回答や、市民の方から寄せられたご意見(クレームのこと)は、主観的な内容や、何が伝えたいのか意味不明なものも少なくありません。中には、一方的な決めつけや思い込みなのでは?と思う内容もあります。

読んですぐに「ではこのように改善しよう」と改善策が打ち出しにくいものもたくさんあります。
しかし、市民の方は何か不安や不満を感じられたからこそ、投書されたのです。

全て匿名の投書なので、詳しく聞き取ることはできません。
ハッキリと、「何科の〇〇さんが」と特定して書いてあるものもありますが、患者さん寄りに立って、病院の方たちのお話も聞かずに改善を求めることもしていません。

まず、投書を見せていただくことで、患者さんや患者さんのご家族の方に、どのような態度や言葉遣い、声かけを行えば、再発防止に繋がり、よい安心・安全な場づくりができるかを考えるようにしています。それが、私自身の気づきや学びにもなっています。

この資料がとてもためになるから、研修に参加してくださっている方もたくさんいらっしゃいます。
この資料を見ることで、いつものマナーテキストに目が向くようになり、大切な部分をしっかり確認していただいています。

研修には様々なテーマがありますが、ビジネスマナーといえば、「電話応対」「名刺交換」「対面での来客応対」など、『新入社員が受講する研修』のように見えますが、決してそうではありません。

きちんと実践できていないと、どのようなことが起きてしまうのか?
トラブルやクレームを起こさないためには、日頃からどのようなことを実践する必要があるのか?

現状の課題や問題を把握し、その解決や改善に繋げていれば、ただのマナー、ありきたりなマナー研修ではなくなります。

先日から始まった銀行の店舗改善指導も、訪問改善指導の主な目的は、マナー向上です。
今は、窓口だけでなく、ロビーでの客様対応も求められるようになったので、誰が行っても均質な対応ができるよう、その場でチェックリストを作成してお渡ししました。

また、必要に応じて、即興で内容を組み立てて、マナー研修を行って帰ることもあります。
もちろんテキストもプロジェクターもホワイトボードもありません。

私がいただける時間も、短いときは、「15分くらいで」とリクエストされることもあります。

どのようなテーマでも、流れやポイントを押さえるだけでは誰が担当しても変わり映えしません。トレンドやニーズのあるものは、行っている人が多ければ多いほど、その他大勢の1人です。

認定資格が取れたし、カリキュラムもテキストも整備されているからといって担当しても、自分自身が一つひとつの内容をしっかり理解し、どのようにでも調理できなければ、お客様の問題解決には繋がりません。

私は、30年以上、マナー研修を行っていますが、問題や課題が異なれば提供する内容も異なります。受講していただく階層によっても異なるし、全階層一緒に受講していただく場合もあります。
でも、研修や改善指導によって、離職率の低下、クレームの再発防止、社内のコミュニケーションの活性化、キャリア支援につながることもあります。

一言にマナーと言っても、まだまだ奥深く、開発の余地もたくさんあると思っています。

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