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選ばれる研修講師なるためには?(2)

講師として独立したのは29年前です。独立する環境は全く整っていませんでした。両親が次々に病気で倒れたため、住み慣れた大阪から、突然広島にUターンすることになりました。高校卒業と同時に広島を離れたので、ネットワークゼロの状態、おまけに二人の娘がまだ乳児で、病気の両親の介護と家業の手伝いをしながら準備をしていました。
当時は、パソコンもスマホも携帯電話すら普及していない時代。必要な情報がすぐに手に入るような環境ではありません。

そんな中、研修という仕事の接点が持てたのは、ひとつ前のブログに書いた、社内講師業務についてまとめた書類があったからです。

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ある日、講座を受講するために訪れた近くの公民館で、女性の活躍を支援している小さな販売促進会社の、人材登録の案内を見つけました。
早速登録カードを作成しました。希望職種の欄には「企業研修講師」と書きました。数日後、その会社の代表の方から電話が入りました。

「講師になることを目指しておられるようですが、実績がわかるものがあれば送ってください」
私はすぐに120ページにまとめた手書きの資料をコピーしてその会社に送付しました。すぐに、代表から電話が入りました。

「ぜひ、担当してほしい仕事がありますが、すぐに担当できますか?」
2人の乳児の子育てとがん闘病していた母の世話があったため、すぐには担当できませんでした。でも、その方は、その会社の取引先である研修会社を紹介してくださり、私はアシスタント講師として第一歩を踏み出すことができました。

何かを準備するときに、誰もが「出来るだけ早く仕事や利益に結び付けたい」と思います。
「研修講師になりたい」「研修を担当させてほしい」「経験を積んできたから私にでも出来るはず」

しかし、世の中そんなに甘くありません。自分のやってきたことは、本当に企業が、お金を支払う価値があるものなのか?
そういう視点で、自分自身の能力や提供したい内容を検証しているでしょうか?

お金をいただいて研修をした経験がなければ、お金をいただく重みを実感することはできません。
アシスタント講師としてスタートしたときに、先輩講師との力の差に愕然とし、プロとして仕事をする現実の厳しさを思い知らされました。
だから、お金をいただくために、必要なことを時間をかけて身に着けていきました。

いつかはメインの講師として、選んでもらえるようになりたい!
そう思って、先輩講師のことを観察し、私にないもの、私に必要なものを見極め、身に着けられるよう日々の鍛錬を始めました。
研修スキルはもちろんですが、研修以外での振る舞い方、講師仲間で勉強会を行う上での準備のポイントや工夫、打ち合わせの進め方、講師の仕事とプライベートの両立のしかた…。
先輩講師からだけではなく、同居していた義母が持っている人生観や仕事を通して培った考え方、言葉の選び方や人への接し方も、全て私にとっては価値ある学びの教材でした。

仕事の機会はなかなか得られなくても、仕事に繋がる鍛錬の機会は至るところに転がっています。それにどこまで気づいて取り組み続けられることができるかどうか?が問われています。

オンライン化が進み、セミナーや勉強会に気軽に参加できるようになりました。勉強会は、受講生として参加するものですが、残念なことに受講生に成り下がっていることが最近目につきます。
ビデオありの場合は、自分のことが相手にも見えています。背景を演出することに気を取られ、カメラの位置、カメラに写っている自分の見え方を全く意識されていない人が少なくありません。
講師やファシリテーターの投げかけに、無表情、ノーリアクションだったり、質問や感想は?と言われても、何も発言せずにいたり…。

にもかかわらず、”頑張っているんだけど認めてもらえない”というのは違うんじゃないかと思っています。立場が変わっても、講師を目指しているのなら、いつでも目に留まる演出や工夫は必要だと思っています。

「選ばれる」「選んでもらう」ためには、そういう工夫や実践が必要だと、考え、私はずっと実践し続けてきました。そして、今の私があります。
29年、営業活動は一切行っていません。お客様との出逢いとご縁に恵まれて、ご紹介、リピートだけで仕事を続けてきました。
ホームページも持っていません。コロナ禍でも延期こそあったものの、これまでと変わらずお仕事のご依頼をいただき、お仕事の機会は増えています。


どんなことをしているときも、自分をどう見せることができるか?そのために何を準備し整える必要があるのか?やることは、できることは数限りなくあると思っています。

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